世界のトイレ

2010年03月19日(金) 15:19

UXいろいろ, 本&映画の紹介, モノ+コトの話

ロンドンのデザイン博物館で見つけて衝動買い(最近、衝動買いが多いな…)した『Toilets of the World(世界のトイレ/写真[1])』です。すごく面白かった!

 

[1] 世界のトイレ。面白いです [2] 北京の公衆便所。開放感 [3] インドの和洋折衷トイレ

読み始めて間もなく、カナダにあるという女子用立ち小便器を見てまず軽く衝撃を受けます。ちょっと使ってみたいけど、衛生的にどうなのよ?という作りで、その場に立ったらおそらく躊躇することでしょう。でも立ち小便、男兄弟を持つ女の子ならきっと誰もが一度は憧れたことがあるはず…(わたしだけか?)。ちなみに現場は、モントリオールのとある飲み屋らしいです。

パナマのナルネガ島。桟橋の先っぽにある掘っ立て小屋みたいのが実はトイレで、排泄物はすべてそのまま海へ。そうと知らない観光客が、下を泳ぐ姿を見かけることがあるらしいです。桟橋付近での水泳は気をつけましょう。

フィリップ・スタルクなど有名デザイナーや洋食器でおなじみのビレロイボッホなんかがデザインした便器もヨーロッパにはあるようですが、世界一高級なトイレは香港の“黄金のトイレ”だそうです。

オランダの飲み屋街に必ず設置されていた男子用公衆立ち小便器はこの本には紹介されていなかったけど、同じ出で立ちのものがロンドンでも採用されていることが分かりました。ロンドン版はさらに進化していて、普段は地面に埋まっていて、週末の夜になるとニョキニョキと現れるらしい。そうと分かっていたら、出張中に見学に行ったのに…。見逃しちゃって残念です。

中国のトイレは個室になってなくて…という話はよく聞きますが、家にトイレがなくて公衆便所を使うのが当たり前、という生活をされている方が中国の首都北京にはまだ大勢いらっしゃるらしく、そんな家庭では“携帯便座”を軒先にぶら下げておいて、家族はそれを持って公衆便所へ行く仕組みになっていたりするようです(写真[2]/開放感たっぷりの公衆便所(左)と軒先にぶら下がっている携帯便座(右上))。

インドの“和洋折衷トイレ”には感心しました(写真[3])。座って用を足したい人は便座を使えばイイし、便座に座るのは不潔だから嫌だ!という人は便座を上げて足場に乗り、かがんで用を足すべし、という作りになっています。足場は少し大きめになっているのでそれほど不安定感はなさそう。けっこうよく出来たデザインですね。使ってみたいかも。

これまで知る術もなかったので知りませんでしたが、男子トイレの小用便器には実はかなりのバリエーションがあるんですね。なんだか少し羨ましいです。でも、使い方をいちいち考えなくてはならなくて、緊急時にはあまり嬉しくないのかな? それとも、男の子なら直感的に分かるのでしょうか? そんな男子トイレのお話も豊富だったので著者は当然男性だと思って読んでいましたが、女性でした。フリーのライターさんとフリーのカメラマンさんが、世界中を旅して集めたネタだそうな。トルコの公衆便所で二人並んでズボンを下げて、笑顔で用を足している巻末の写真が最後の笑い処です。