ホテル業界に物申す

2009年09月25日(金) 22:24

UXいろいろ, 日本発信四方山話, アメリカ縦横無尽, 東京, サインやUIの話, ラスベガス

この1年間、欧米日のホテルにさんざんお世話になりました。ちょっと小洒落たところから、そこそこのバジェットホテルまで、TPOと予算にあわせて色々と使い分けたつもりです。満足度は…、おおむね金額に比例していたと言っていいでしょう。ホテルスタンダードみたいな面がたくさんあって、個性がないという印象も随所で受けました。もう少し、できることがあるんじゃないかなぁというのが私の感想であり、希望です。

 

[1] 札で願いを伝えます [2] マグネット式も出てきました [3] 枕元で発信する仕組みも

そんなわけで今日は、ホテル業界にもの申〜す第一弾。(第二弾未定)

まず一番になんとかして欲しいのは、掃除のおばちゃん達とのコミュニケーションに使うアレ(写真[1])です。“起こさないでください”の札。ゆっくり朝寝できるときに限って、札を外にかけ忘れ、掃除のおばちゃんが威勢よくドアをノックする音や、「ハウスキーピ〜ング!」と叫ぶ甲高い声に起こされちゃうんですよね。この事態をなんとかしたい。忘れずに札を外に出しておけばイイだけだけど、つい忘れてしまうのが人間です。なんとかそのついを無くす仕組みにすることはできないものでしょうか?

日本では、ドアノブにぶら下げるタイプの札に代えて、写真[2]のようなマグネット2枚を用意しているところが増えてきました。1枚には“起こさないでください”、そしてもう1枚には“部屋を清掃してください”と記されています。どちらかをドアの外側に貼り付けておくというわけで、ぶら下げタイプのお札とすることはまぁ、似たようなものです。一番の違いは、掃除のおばちゃんに対するメッセージが今、どちらになっているのかを、部屋の中で確認できるということですね。ドアの内側に残っているものとは逆のメッセージが、おばちゃん達へ発信されていることになりますから。「あれ?ちゃんと“起こさないでください”の面を外側にしてぶら下げたかな?」と不安になって、何度もドアの向こうを確認するようなことは必要なくなります。

それでも、メッセージを送るためにドアを一度開けなければならないことに変わりはありません。その一手間を省いてくれる仕組みを導入しているホテルが銀座にありました。(でも実は、目撃したのが一年以上前なので、記憶はかなり曖昧です。以後の話には多少の間違いが含まれているかもしれません) そのホテルでは、ベッドサイドに備え付けられている装置(写真[3])から信号を送れるようになっていました。確か、ボタン一つで“起こさないでください”と“部屋を清掃してください”とを切り替えられるようになっていたと思います。細かいところはよく覚えていませんが、枕元で操作ができたことは間違いありません。画期的だぁ〜!と感激したのをはっきり記憶しています。ベッドに入ってから、「しまったっ、札を出し忘れた」と気付いても、もっと極端には、朝になって掃除のおばちゃんがドアをノックした後でも、布団を出ずに「もっと寝かせてくれぇ〜」という主張をすることができます。しかし一方で、この仕様では 部屋を出るときにうっかりサインを出し忘れてしまう可能性が高くなります。操作部がドアから離れてしまっていますから。そういう意味では、ドアに札なり、マグネットなりがあって、出がけに気付くようにしてくれている方が望ましい。

というわけで、今のところはどの仕様も一長一短です。従来の札が、結局いちばん簡単で分かりやすいし、お金もかからないってことでそこに落ち着いてしまうのも頷けます。欧米では、札以外の仕様を見ることはありませんでした。このホテルスタンダードを打ち破る画期的で安価な仕組み、どこかに現れるのを期待したいです。

ちなみに、写真[1]の札はラスベガスで泊まったホテルのものですが、“RELAXATION in progress”は“起こさないでください”と“部屋を清掃してください”のどちらを指していると思いますか? 裏面には“RECUPERATING”と書かれていました。ほんと、札でもイイから、どっちがどっちか分かりやすいようにして欲しいです。まずはそこからです(笑)。

※“RELAXATION in progress”が“部屋を清掃してください”で、“RECUPERATING”は“起こさないでください”を意味するようです。

【2012年12月追記】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ラスベガスの同ホテルに滞在されたykさんからご指摘をいただきました。

“RELAXATION in progress”は、“部屋を清掃してください”ではないらしい…(ガーン)。ホテル側に確認されたykさんによりますと、“部屋の中にいてリラックスしてますけど、掃除はして欲しいかもしれないからノックはしてね”的な意味らしいです。裏面の“RECUPERATING”にしておけば、中にはいるけど寝てるから、不用意にノックとかして起こすんじゃねーぞ…的な意味になる。いずれにしても、部屋の中にいるときにいずれかの面を使うってことか…。

じゃ、出かけるときは? 札を出さずにでかければ、掃除のおばちゃんががっつりノックして、返事がなければ中に人はいないってことでズカズカと掃除に入ってくると。細かいこと気にせずに出かけろってことか…。

でもな~、荷物とか広げっぱなしにしてて見られたくなかったり、仕事の合間でデスクの上に機密書類広げてたりするから、留守中に入って欲しくないってこともあるんだけどな…。ラスベガスで仕事してんじゃね~よってことかな(笑)。

とにもかくにも、実態を確認せずに不用意な情報を掲載してしまいましたことをお詫び申し上げます。ykさん、ご指摘ありがとうございました。