複雑怪奇なバスの仕組み

2009年08月25日(火) 07:35

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, カナダ, サインやUIの話, トロント, モノ+コトの話

トロントへ行ったついでに、ナイアガラの滝を見てきました(どっちがついでだ?笑)。 滝は本当にすごかった。大迫力です。そんな大自然はどう書いても伝わらないと思うので省略。体感したい人は現場へ足を運んでください。それが無理な人のためにウェブアルバムを作りました。写真で我慢するという方はこちらへどうぞ

それにしても、労せずして観光客を呼べるというか、放っておいても観光客が寄ってくるところはユーザビリティなんて考えないってことがよく分かりました。今日はそんなお話です。

 

[1] ナイアガラのバス路線図 [2] バス停には番号ありますが… [3] 南方向行きのバス

駐車場はすぐに満車になるらしいので、People Moverと称するバスを利用してナイアガラ・パークを見て回ることにしました。が、これが非常に分かりにくい仕組みで、大勢の観光客が文句ひとつ言わずに利用していることに私は本当に驚きました。川に沿うようにバスが走っていて、一日乗車券を買えば、何度でも乗り降りできるようになっています。そこまでは難なく理解できるのですが、問題はそこからです。

バスの路線図(写真[1])には、バス停が黒丸と赤丸で示されています。赤丸はメインアトラクションの近くにあるバス停で、たくさんの観光客が乗り降りするところです。情報に強弱をつけて読み取りやすくしてくれています。まぁまぁの配慮。でも、バス停に番号を振ったりしたらもっと分かりやすく、覚えやすくなるのにな…、と思っていたら、バス停の方には番号が振られているではありませんか(写真[2])。なんで路線図にもこの番号を載せないのだ?

で、一つのバス停に二つの番号が振られているという奇妙な現象が気になりますよね? はてさて、何故でしょう…。

もう一度、路線図(写真[1])を見てください。各バス停のマークの横に、緑色や黄色の四角形があるのが分かりますか? これは、北方向へ走るバスが停まるバス停(緑)と南方向へ走るバスが止まるバス停(黄)を表しています。黄色い四角形しかないバス停は、南方向へ走るバスしか停まりませんから、そこで降りたければ、一旦北の端まで行って、そのままバスを降りずに乗り続け、バスが折り返して南へ向かう途中で目的地に停車するのを待たなければなりません。かなり非効率です。おまけに路線図からそれを読み取るのがものすごく大変です。

写真[2]のバス停に二つ番号が振られているのは、単純にバス停に番号を振っているのではなく、停車する順を表しているからです。南の端を1番として、停車するバス停を順番にカウントしていくと、このバス停は、北方向へ走るときに停車する8番目のバス停であると同時に、北の端で折り返して南方向へ向かう途中で停車する16番目のバス停にもあたるのです。どうですか? ワケ分からなくなってきましたね?

さらに腹立たしいことに、このバス、単に南から北へ、北から南へと走っているわけではありません。

A地点(Queenston Heights Restaurant & Park):北の端
B地点(Whirlpool Aero Car)
C地点(Table Rock)
D地点(Rapidsview Parking):南の端

A地点とB地点を往復するバス、B地点とC地点を往復するバス、そしてC地点とD地点を往復するバスの3種が常時走っていて、B地点とC地点で連絡しているのです。A地点(北の端)からD地点(南の端)へ行くには、B地点とC地点で2回、乗り換えをしなければならないということになります。

そんなこと、路線図にまったく書いてませんけどもぉ〜(怒)。

バスにも、SOUTH(南方向行き)と情報があるだけで(写真[3])、乗り換えに関する情報は欠片もありませんでした。北向きに折り返すときは案内板を裏返してNORTH(北方向行き)という表示にするだけです。車内アナウンスは流れますが、英語が分からなければ完全にお手上げ。「あれ?なんで折り返してるの?」となってしまっている観光客、きっとたくさんいると思うし、バスの運転手や車掌さんも、日に何度も似たような質問を受けるのではないかと思いますが、路線図を改善しよう!とかっていう方向に話は進まないのでしょうか?

ちなみに、バスのみならず、各種人気アトラクションのチケットの扱いも本当に分かりにくかった。どういう条件のときにどのラインに並ばなければならないのかとか、予約が必要なのかどうかとか、とにかく分からなくて、一日中、本当に手探り状態が続きました。そして毎度イラっとしました(笑)。努力せずとも観光客が集まる観光地には、まだまだUXデザインの余地が残っているということのようです。営業に行くならこういうところですよ、皆さん。