シングルス決勝戦は波乱

2009年08月03日(月) 14:48

アメリカ縦横無尽, スタンフォード, パロアルト暮らし

スタンフォード大学にあるTaube Family Tennis Stadiumで、USオープンテニスの前哨戦 Bank of the West Classic(バンクオブウエスト・クラシック) が開催されました(2009年7月27日〜8月2日)。初戦のシャラポワ対杉山の試合に続き、決勝戦を観戦です。

 

[1] コート間際で決勝戦観戦 [2] ビーナス・ウィリアムズ選手 [3] マリオン・ブラトリ選手の背筋

シングルス決勝戦は、今大会第2シード、世界ランキング3位のビーナス・ウィリアムズ選手に、今大会8番手でぎりぎりシード選手に名を連ねたフランスのマリオン・ブラトリ選手が挑むという組み合わせになりました。ブラトリは初戦で日本の森田あゆみ選手、準々決勝でエレナ・ヤンコビッチ選手を破り勝ち上がってきました。初戦からずっと、タイブレークの末にやっとものにするセットがあったり、フルセットにもつれ込んだりするギリギリな感じで文字通りガンバッテ勝ち上がってきました。対するビーナス・ウィリアムズは、1セットも落とすことなく順当に決勝に辿り着きました。ちなみに準々決勝であたったマリア・シャラポワもあっさりストレートで下しています。

そんな二人の対戦ですから、ビーナスのリードで進むことを誰もが予想していました。しかし結果は、ブラトリの粘り勝ちです。ライン際いっぱいにまで伸びるボールを根気強く打ち込んでいくブラトリに揺すぶられて、ビーナスはミスを連発しました。サーブのスピードも、リターンのコースも、随所で見せる技の数々は素人目にもビーナスの方が一段上でした。観客も、アメリカのエースの一人であるビーナスを応援する声のほうが圧倒的に多かった。それでもブラトリは、焦らず、気負わず、ひとつ一つのボールを丁寧に返し続け、その結果として優勝トロフィーを手にすることに成功したわけです。

スゴイ精神力でした。相手が上り調子になると、引っ張られて自分の調子を崩してしまう選手が多いですが、この日のブラトリは違いました。相手の調子に関係なく、自分のペースを自分で作っている感じ。ビーナスよりも気負いが少なかったのも確かだと思います。負けが混んでくると、会場の大声援がかえってプレッシャーになるのかもしれません。たとえ、何度も世界を制してきた超一流選手であったとしても。

表彰式でのビーナスの残念そうな表情は印象的でした。しかしそれ以上に、「ずっと貴女を目標にしてきたのよ」とビーナスに声をかけるブラトリの表情や気持ちが、そしてその言葉を笑顔で受け止めるビーナスがとても素敵で、大枚はたいて見に行って本当に良かったぁ、と感慨にふける私でした。