馬のおかげ

2009年07月01日(水) 07:02

アメリカ縦横無尽, スタンフォード, パロアルト暮らし

引き続き、スタンフォード大学関連のご紹介。スタンフォード大学がなぜこの地に建てられたのかを知りたい、という旦那の要望に応えて調査結果をご報告します。

創設者であるLeland Stanfordは、ニューヨークで法律を勉強し、ゴールドラッシュの頃にカリフォルニアへ移住してきました。サクラメントを通る鉄道会社を興して巨額の富を築き、現在スタンフォード大学があるあたりの土地650エーカーを購入して、“Palo Alto Stock Farm”という牧場を作ります。そこで趣味の一環として馬の繁殖と調教を手がけ、その方面でもかなりの成功を収めたようです。1876年に東海岸の牧場で買い付けたElectioneerという馬は、Lelandの見立てどおり、種牡馬として大きな功績を残します。当時の世界記録を塗り替える競走馬が彼の牧場から13頭出たそうですが、そのうち9頭はElectioneerの産駒。血が優秀だったことも確かでしょうが、この記事によると、仔馬には生後5ヶ月からtrot(速歩)の練習をさせて調教するなど成果を出すための努力も惜しまなかったようです。

650エーカーの土地から始まった牧場はその後も発展、拡大を続け、最高で8,000エーカーを超える規模にまでなりました。その土地が、今あるスタンフォード大学の広大な敷地の礎となっています。そして、大学設立当初の財政難を支えたのも、この牧場でした。Leland亡き後、妻のJane Stanfordは自身の財産を投げ打って大学の経営にあてますが、それでも足りず、牧場の土地や馬を売却することでなんとか危機を凌いだのだそうです。スタンフォードで勉強している皆さん、この素敵な環境で思う存分に勉強できるのは、お馬さま達のおかげでもあるのです。馬を大切にしましょう。

スタンフォード大学が男女共学なのも、Lelandが馬の調教に熱心だったことによる恩恵らしいです。優秀な仔馬を育てようと思ったら、母となる牝馬をしっかり調教しないとならない。人間も同じで、次世代を担う子供たちが幼少の頃にしっかりと学べるよう母となる女性にも確かな教育を施す必要がある、と。男女共学校、今では当たり前に存在していますが、当時は女子の入学を快く思わない方々もたくさんいたのでしょう。その反対を押し切って女子にも門戸を開いてくれた創設者Lelandと、彼にその大切さを教えてくれた馬たちに、私たち女子は感謝しなければなりません(私はスタンフォードで勉強してないけどね…)。

 

[1] Electioneerの銅像と厩舎 [2] 道路の名前にもなった名馬 [3] 日向ぼっこ中のサラブレット

大学敷地の北側に、現在は“RED BARN”と名前を変えた厩舎と乗馬練習用の馬場があります。門を入ってすぐのところには、どど〜んとElectioneerの銅像(写真[1])。ちなみに、近くの道路も、Electioneerの功績を称えてか、彼の名前が付けられています(写真[2])。馬場の様子を少し見学してきましたが、思ったより頭数がいて驚き。馬は暑さを嫌がるのが通例ですが、太陽が燦々と降り注ぐところで休憩中のサラブレッドを発見しました(写真[3])。そそられますね、昼寝(笑)。