メモリアルチャーチ見学ツアー

2009年06月30日(火) 00:51

アメリカ縦横無尽, スタンフォード, パロアルト暮らし

スタンフォード大学のド真ん中に教会(メモリアルチャーチ)があります。

 

[1] こだわりのステンドグラス [2] たくさんの天使が舞う祭壇 [3] ライトアップされたチャーチ

スタンフォード大学の創設者であるLeland StanfordとJane Stanford夫妻は、たくさんの子供を作って大家族を作ることを夢見ていましたが、なかなか子宝に恵まれなかったそうです。Janeが念願の一人息子、Leland Jr.を腕に抱いたのは、彼女が40歳を過ぎてからのことでした。溢れんばかりの愛情を注ぎ、大切に彼を育てたことは言うまでもありません。しかし、家族でイタリア旅行をしていたとき、悲劇が訪れます。Leland Jr.が腸チフスを患って帰らぬ人となってしまうのです。享年15歳でした。カリフォルニアに戻った夫婦は悲嘆に暮れますが、「カリフォルニアに暮らす子供たちが皆、自分たちの子供だと思うことにしよう」と、亡き息子の代わりにカリフォルニアの子供たちを何らかの形で支援していこうと決意します。そして創設されたのがLeland Stanford Junior University。“Stanford University”と略して称されることが多いですが、正式名称は実は“Leland Stanford Junior University”です。

Jane Stanfordは、大学の敷地内、しかもその中央に教会を置くことを強く推進しました。大学の中に教会があるというのは当時(今もかな?)とても珍しいことで、多くの関係者がそこには図書館を置きたいと考えたそうです。しかしJaneは、研究活動は精神的な礎があってこそだと言って一歩も引かなかった。そしてメモリアルチャーチが今の場所に建設されることが決まったのだそうです。

毎週金曜日の午後2時からメモリアルチャーチのガイドツアーが催行されています。先に書いたような背景のお話、Leland Jr.がイタリアで亡くなった際に尽力してくれた知人を介してイタリアからモザイクを輸入し建物を彩ることになったこと、数あるステンドガラスのうち、祭壇に向かって右側、もっとも入り口側にあるもの(写真[1])にはJaneのLeland Jr.に対する思いが詰まっていること、教会の中の装飾にはたくさんの天使たちが描かれていますが、これも亡き息子があの世で天使に囲まれて健やかにいら れるようにと願うJaneの思いに寄るところが大きい(写真[2]/祭壇の様子。周囲の壁は天使で満ちています)、などなど教会の生い立ちや装飾の意味合いをみっちり聞かせてくれる約1時間のツアーです。

夜になると、ライトアップされて厳かな雰囲気を増したメモリアルチャーチを見られるというウワサを聞きつけたので、日を改めて夜のスタンフォード大学に足を運んでみました。確かに厳粛な雰囲気(写真[3])。教会の中へは入れませんが、暗闇に浮かび上がるメモリアルチャーチの様子、わざわざ見に行くだけの価値はあると思います。

ガイドさんによると、教会内部の装飾は、夕方、西日が差す頃がいちばん美しいのだそうです。これから行かれる方はぜひ、そんな時間帯を選んで行ってみてください。そして、夜もお見逃しなく。