ボストンの地下鉄T

2009年04月15日(水) 05:18

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, サインやUIの話, ヒトについて, ボストン

ボストン観光の話が尽きたので、続いてはボストンで気づいた諸々について。 まずは地下鉄のお話です。

 

[1] 上り路線図 [2] 下り路線図 [3] 中心部では方角表示

ボストンの地下鉄、通称ティー(T)には路線が4つあります。ブルー、オレンジ、レッド、グリーンの4色に色分けされていて、車両の色やホームの標識もそれぞれの路線カラーになっていますから比較的わかりやすいです。ただし、グリーンラインは途中で4本に枝分かれしていて、郊外へ向かう場合には注意が必要。私たちが利用していた学会会場近くの駅(PRUDENTIAL)は、グリーンラインが枝分かれした内の一つ、Eライン上にありました。写真[1]の路線図を見て、現在地であるPRUDENTIAL駅がどこにあるか、分かりますか? ちょっと分かりにくいですよね。郊外へ向かう路線図(写真[2])ならまだマシなので多少は分かりやすいです。

路線図の空欄に後付けで記されている“IN”や“OUT”の文字は、それぞれ“INBOUND(上り)”と“OUTBOUND(下り)”を表しています。ボストンの地下鉄は、町の中心部にある4つの駅(GOVERMENT CENTER/PARK TREET/DOWNTOWN CROSSING/STATE)へ向かう路線を“INBOUND(上り)”、中心部から郊外へ向かう路線を“OUTBOUND(下り)”と表すことになっていて、“街へ出るときはIN”、“ホテルへ戻るときはOUT”という具合に覚えられますから簡単。と最初は思ったのですが、実際に使ってみると案外そうでもありませんでした。

なぜかと言うと、たとえば町のど真ん中にあるPARK STREET駅でグリーンラインからレッドラインに乗り換えて、郊外のHARVARDまで行くとしましょう。郊外へ向かうのだから当然、“OUTBOUND(下り)”に乗ることになると思いますよね。でも、PARK STREETから出る地下鉄はどちら向きも「OUTBOUND(下り)」ですから、下り方面、下り方面と思って乗り場を探しても見つかりません。先に記した町の中心の4駅に限っては、“EASTBOUND(東方面)”や“WESTBOUND(西方面)”という具合に地下鉄が向かう方向(方角)で記されているのです(写真[3])。それまでINかOUTかしか考えていなかった頭に、突然方角を考えろと言っても頭はなかなか切り替わりませんよぉ。路線図を見直して、「地図上で左だから西だな」みたいな感じで考えなければなりません。住んでしまえばどうということはないのかもしれませんが、観光客にはすこ〜し負荷が高いです。

ボストンの地下鉄はアメリカでもっとも古いもので、あちこちガタが来ているし、ホームも車両もお世辞にもキレイと言える感じではありません。でも、少しずつ新しくしているそうなので、改良の過程でそんな分かりにくさも改められるとイイですね。

ちなみに、空港と街とを結ぶシルバーラインという路線が2002年に開通しているようです。車両はバスだけど、地下の専用車線を走るから“地下鉄”に区分するという訳の分からない話に笑いました。そのシルバーライン、町の中心部まで走っていないので慣例にならってINやOUTで行き先を表すことができないと思うのですが、どのように表示しているのでしょう?