死角に柱

2009年02月20日(金) 02:38

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, パロアルト暮らし, モノ+コトの話

パロアルト入りして二日目。天気は晴れ。気温は低くて寒いくらいでしたが、空が青いって本当に素敵なことです。昨日の憂鬱な気分は、清々しい空気に溶けてなくなりました。

Yさんからの自動車譲渡手続きが思いの外あっさりと済んで、気分はいっそう晴れやかです。昨日、曇天とフライトによる疲労の中で見た新居は正直イマイチでしたが、今日は、半年の住み家として申し分ないように見えました。各所の寸法を測ってメモを取り、必要な家財道具の買い出しに出ようとしたその時のことです。Yさんから譲り受けたばかりの愛車(まだ大した愛してないけど…)を新居で割り当てられた駐車スペース(写真[1])から出そうとした、本当に一瞬の出来事でした。ゴンッと鈍い音。と同時に、旦那の口から「ぁぁぁぁ〜〜〜〜」と力のないうめき声。車は、一瞬にして修理の必要な身体へと転じたのでした(写真[2])。当てられた方の柱はちょこっと擦りむける程度でしたが(写真[3])、車の方のダメージは、音から想像した以上でした(泣)。

 

[1] 新居の駐車スペース [2] 車、凹んじゃいました [3] 柱は軽傷

頭から入庫した状態で出庫をしようとすると、運転席からちょうど死角となる位置に木の柱が立っているんですよね。入庫の際にはきちんと気をつけていたはずですが、出庫までの間に、その存在に関する記憶はすっかり薄れていたようです。日本で駐車をする際は、お尻から入れることが多かったので(旦那の場合。私はそもそも駐車をほとんどしたことがありません)、慣れない入れ方をしたのはよくなかったかもしれない。それから、先述のとおり、柱の位置が出庫時に死角に入るということ。これも大きい。さらに、私と二人で車内という閉じられた空間にいることは、今やあまりにも”普通のこと”となっていて、普段と違う環境にいるという緊張感が少なからず薄れてしまっていたとも思われます。発進、出庫なんてこれまで数えきれずやってきたこと。まさか自分がこんな凡ミスを犯すなんて夢にも思っていなかった旦那の凹みかたは、車の凹み以上に深いものでした。こんなときは、余計な出費を嘆きたい気持ちを全力で我慢して(笑)、「相手のない事故でよかったじゃないか」、「入国早々にやらかした分、この後は今まで以上に注意できるよ」などと声をかけて励ますしかありませんよね。私も頑張りました。

幸い、保険に加入していなければ車の譲渡を受けることができない、というのがカリフォルニア州の法律で、Yさんから車を受け取るためには入国早々自動車保険に加入することが必須でした。よかったです、本当に。保険に入らないと車を持てない仕組みを作っておいてくれて。アメリカはよく出来た国だ(これだけで、評価急上昇(笑))。

頭を抱えたまましばし、自分の為した所行を反省した旦那は、気を取り直して保険会社に電話をし、この後に必要となる手続きと手順を確認。全部英語で。よく頑張りました。事故車は、なんとか自走できたので、この足で修理工場へ持ち込んで修理することになりました。査定に少々の時間はかかりましたが、修理工場のおばちゃんは「このくらい、よくあることよぉ〜」という雰囲気でテキパキ仕事をしてくれました。査定が終わるのとほぼ同じタイミングでレンタカー会社のお兄ちゃんが迎えに来てくれて、レンタカー屋へ連行、もとい連れて行ってくれて、代車を借りる手続きです。フローは大変よくできていました。レンタカー屋へ行く途中、お兄ちゃんが「車、どうしたの?」と聞いてきたので、旦那が残っている元気をふり絞って、「昨日アメリカに到着したばかりで、今朝、車を買ったばかりで、それで慣れない車庫の柱にぶつけちゃって、本当にとっても悲しいんだ…」なんて話をしたら、「それは気の毒に…」と言葉を詰まら せてました。聞いてる私はもう笑うしかない(笑)。

でも、レンタカーに乗ってお店を出るとき、お兄ちゃんが「Have a good day!」と声をかけて立ち去ろうとしたのだけど、すぐに立ち止まって、振り返り、「I hope you have a BETTER day!」と笑顔で言い直してくれたのが、とてもとても嬉しかった。そう言ってくれる彼のためにも、今日が最悪の日となって、これからは何事もなく充実した日々を送れるように注意しながら、頑張りたいと思ったのでした。

天気のよい日の出来事だったのがせめてもの救いです。前日のような雨だったら、立ち直れなかったかも…。