2021年8月の読書記録
2021年09月02日(木) 14:28
本&映画の紹介箱根本箱へ行ったこともあり、2桁楽勝でした。ちょっと小説が多すぎだけど。
そんな小説の中からのオススメは『間取りと妄想』です。たしかに「間取り」を踏まえて読むだけで、その家で繰り広げられるアレコレを想像しやすくなり、物語がするりと入ってくるし、読後も「間取り」を見るだけで思い出せるから面白い。借り読みだったので手元にないのが残念なくらい。買ってしまおうか……。
ブックカルテの選書サービスを使って手に入れた本たちの中では、今のところ『ほぼ命がけサメ図鑑』が一番かな。サメと一緒に泳いでみたいとは思わないけど、その生態はとても興味深い。興味なかったことを興味深く読ませるだけの本でした。ただただ楽しく読みたいエンタメとしては、宮田 珠己さんの『いい感じの石ころを拾いに』ですね。くだらないけど真剣な旅をしたくなりました。あー、旅に出たい(近場に行ってるけどさ)
読んだ本の数:15
読んだページ数:4031
ナイス数:113
第三の時効
『64(ロクヨン)』からの勢いで同著者の名著と名高い一冊を買っておいたことを思い出し、読み始めてみたら面白すぎて止まらなかった。捜査一課でしのぎを削る3班が、それぞれに事件を追い、解決へ導く様を畳み掛けるようにつなげた短編集。退官する先輩のために珍しく密かに協力しあう筋も良かったけれど、書名にするならやはり変人嫌われ班長が主役の第二話かなー。
読了日:08月01日 著者:横山 秀夫
ほぼ命がけサメ図鑑
ブックカルテ選書1/7冊目。自分では絶対に買わない一冊との出会いでした。サメについては完全なる無知だったことが判明し、勉強になりました。特に魚類でありながら「子宮」で子ザメを育てる「胎生」のサメがいること、しかも「卵生」よりもはるかに多く7割のサメが「胎生」なのだそうな。へー。さらに「卵黄依存型」と「母体依存型」と「卵食型」があり、ラストの亜種としては孵化した子ザメ同士の共食いパターンもあるとか。著者のサメ愛を凌ぐ勢いでサメを愛してやまないキッズたちの紹介が挟み込まれていてすごく良かった。
読了日:08月03日 著者:沼口 麻子
弱っていても行ける! 家からすぐの旅(1~3合本)
ブックカルテ選書2/7冊目。著者は歌人らしい。でもそれだけで食べていけないからってアルバイトもしているっぽい。心身ともにあまり丈夫なほうではなく、しかし旅が好き。「自分の家じゃないところで寝る」と「自分の家じゃないところで、朝めしを食う」が成立すれば「旅」ということに(自分で)決めて、お金と体力を節約しながら旅をして、それについての本を自費出版するという趣味全開で幸せそうな人。コロナ禍で他県へ旅しにくくなったけれど、彼女の場合は今までどおりって感じですね笑。わたしも横浜へ泊まりに行ってみようかな……。
読了日:08月09日 著者:平田真紀
地域とともに未来をひらく お寺という場のつくりかた
お寺ビジネスをちょっと真剣に考える機会がありそうなので予習。まず「日本のお寺は二階建て」論の納得感がスゴイ。一階はすでに亡くなった方と檀家のための「先祖教」、二階は生きている人たちの穏やかな生活を守る「仏道」の領域と考え、入り口とターゲットを分けること。そしてそれぞれでの収益性を考えるべきこと。これまでの檀家ありきのお寺ビジネスでは、二階まで回していく収益にはなりそうにないから、お寺のサステナビリティを考えた施策を売っていく必要がある。そしていち早く取り組んでいるお寺の数々が紹介されています。
読了日:08月10日 著者:松本 紹圭,遠藤 卓也
東京輪舞
小樽商科大学というマイナー大学出身(つまり同窓)の先輩砂田がSPとして田中角栄を警護していたところから物語が始まる。その後、公安の外事に配属となり、ロシアやら北朝鮮やらアメリカやらが密かに仕掛けてくる表に出にくい事件を解決したり、しなかったり。あの事件の裏でこんなことがあったのかー(いやフィクションだけど)の連続でした。信用していた上司も一度は愛した(かもしれない)元妻も上昇志向オンリーの腐った刑事に成り下がって残念この上ない展開でした。老婆となっても美しいクラーラとの静かな再会がうれしいラスト。
読了日:08月11日 著者:月村 了衛
「定年後」はお寺が居場所
お寺ビジネスを考える機会に備えての予習その2。お寺さんの生き残りをかけた取り組みが数々紹介されていて勉強になった。いずれも「生き残りをかけて」るつもりがないところがポイント。寺という場や立場を地域住民のためにどう活用すべきかを考えてこその結果なのだ。「毎月150万円の持ち出し」で続けられるってどういうこと?とも思ったけれど…。どの取り組みも多かれ少なかれ赤字らしいが、そのままではサスティナブルではない。どうすれば寺も住民もそして行政もが笑顔になれるだろう?マジで難しい問題。ホント「定年後」要らないし笑。
読了日:08月12日 著者:星野 哲
いい感じの石ころを拾いに
ブックカルテ選書3/7冊目。「いい感じの石ころ」がどんなものを指すのかをまったく説明できない割に、他の人の言い分は辛辣に否定したりスルーしたりする。買うなんて邪道だと言っていた割にたっぷり買って帰るし。磨くなどして手を加えたものは違うとも言っていたのに磨いてもらって喜んだり。石に限らず収集癖のある人は、こぞって負けず嫌いなのではないか?という仮説が立ちました。すごく楽しくて一瞬で読み終わるほどでしたが、石ころを拾いに行きたくはなりませんでした。それを聞いて旦那がホッとしています。
読了日:08月14日 著者:宮田 珠己
判断のデザイン
トイレで読書5冊目。再読して改めて「不可解度メーター」が不可解。翻訳もいまいちのような気がしてきました。著者がデザインした装丁が事例としてちょいちょい登場するのだけど、それらがさほどステキじゃない。特に『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英語版の装丁(世に出たものかどうかは不明)なんてヒドイ気がする笑。なにより、この本の装丁もそれほどではない。まー、グラフィックデザイナーが町中観察してヒントを得ているという事実とその事例紹介という枠で読めば勉強になる……ところもある、くらい。
読了日:08月16日 著者:チップ・キッド
お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門
ブックカルテ選書4/7冊目。なぜコレが選ばれたのかはよくわかる。でも「フェミニスト」という自覚はそれほどないのでちょっとした行き違いも感じる。とは言え、興味深く読めました。未読本や見たこともなければ見ようとも思わなかった映画や舞台を題材にフェミニスト批評をするというから、目次の段階ですこし腰が引けたけれど、この著者はめちゃくちゃ要約が上手い! 見た気、読んだ気になるところまで引き上げてからの批評なのですんなり読めましたわ。知らんかった文言もたくさん登場して勉強になりました。どこに活かせるかわからんが笑。
読了日:08月19日 著者:北村紗衣
Fine Little Day: 好きなものと楽しく暮らすアイデアとインテリア
箱根本箱での借り読み1冊目。ヨーテボリ郊外のお店へ行ってアレコレ買い過ぎた日のことを思い出す。彼女のデザインやセレクトはとびきり洗練されているわけではなく、素朴で、つかみどころがなく、なんとなくボケーっとしてる笑。それがスウェーデンの田舎や雰囲気にインスパイアされたものだということがじわじわと伝わってくる素敵な写真集でした。ハリネズミの針刺しや壁のポンチ絵など、スウェーデンで暮らした日々を思い出させてくれるもの達が写り込んでいて楽しかった。
読了日:08月20日 著者:エリーサベット・デュンケル
牧師、閉鎖病棟に入る。
箱根本箱での借り読み2冊目。精神科受診のハードルは徐々にではあるが下がりつつも、誰かに相談しようと思うことすらできず、死の淵へと引き寄せられ、そのまま落ちてしまう人が後をたたないのが日本という国である。同じく精神を患う、著者が「助けてあげている」つもりだった嫁の一言で入院を決意し、幸運にも素晴らしい主治医と出会い、自分の内面と徹底的に対話をして退院と社会復帰を果たしたに著者が、自分に関わり、助けてくれた人たちへの感謝の形としてまとめたのが本書。自分には無関係だと思う人こそ手に取るべき1冊。
読了日:08月20日 著者:沼田 和也
間取りと妄想
箱根本箱での借り読み3冊目。間取りから妄想するエッセイだと信じて読み始めたら小説だった笑。想いやこだわりの詰まった自分の家、ちょいとお邪魔するだけの親戚や友人宅、本当なら中を拝見することの叶わない赤の他人の家などを題材に人々の暮らしとそこに見え隠れする悲しいことや辛いことや小さな幸せや喜びを少しずつ読ませてくれる物語たちでした。間取りを見ればストーリーを思い出せる。この手があったか!と膝を打ちました。「浴室と柿の木」のおじいさんの家というか、部屋の間取りがお好みです。覗き見用の密かな窓は除く笑。
読了日:08月20日 著者:大竹 昭子
繊細な人が快適に暮らすための習慣 医者が教えるHSP対策
箱根本箱での借り読み4冊目。あまり本屋へ行けてないので流行りワードのチェックできてなかったけど「HSP=Highly Sensitive Person」なる表現が生まれてたらしい。程度問題だから誰にでも一部は当てはまる気もするが…。著者が勧める対処法はストレスをためないこと。そのためには自分に過度の期待をしないこと。相手にも期待しないこと。他者よりも自分のことを優先すること。つまり、Lagomですよ!スウェーデン🇸🇪人の生き方を知れば日本人も生きやすくなりそうなのに、Lagomいまいち流行らないね笑。
読了日:08月20日 著者:西脇 俊二
ヤイトスエッド
箱根本箱での借り読み5冊目。どこで誰にオススメされたか忘れたけど、以前から気になっていたコレを発見して読んでみたら変態と変人のオンパレードだった笑。ウ◯チなんて見るのも触るのも嫌なんだけど、食べたことある人、実は結構いるのかな? 3人くらい出てきたんだけども…。HSPの人たちが自分の価値観最優先で楽に生きるようになると、変態や変人が世に溢れ出して社会は収拾つかなくなるよなぁ、なんて流れで考えてしまったが、価値観は人それぞれだから、とりあえず押し付けるのはやめたいね。と意外と考えさせられる物語たちでした。
読了日:08月21日 著者:吉村 萬壱
新装版 ぼくらの時代
『ニッポンの文学』からの抜粋8冊目。旦那が読んでいた『グイン・サーガ』にキャッチアップする気はまったく沸き起こらなかったけど、どんな物語を書く人だったのかは気になっていたので興味深く読了しました。長髪男子なんて信用ならん!とオジサン達に思われていた時代がたしかにありましたよねー。アイドルの追っかけや反社とつながる芸能プロダクション、人の生き死によりも視聴率!なテレビ業界など、おそらく今も無くなっていない日本社会の恥部みたいなものたちが青春小説の中にサラリと描かれていて、これが新しかったんだなきっと。
読了日:08月29日 著者:栗本薫