2025年8月の読書記録
2025年09月02日(火) 16:27
本&映画の紹介夏場はお出かけ少な目になるから読書が進みますよねー。でも、紹介記事を書くために「読まなければ……」と追い込まれると読書を楽しめなくなる自分がいることに気づいてしまった……。やはり、趣味を仕事(ってほどのものでもないけども笑)にするのはよくないのかもしれない。
いやしかし、そういう追い詰められた読書の合間のエンタメ読書は、1.5倍くらいの楽しさになることもわかった。たとえば『はじめての老い』とか、新幹線の車中でなんど吹き出しそうになったことか。
小説はぜんぶ面白かったけれど、あえて一冊選ぶなら『流人道中記』かな。歴史小説やっぱりかなり楽しい。来年以降も月一冊は歴史ものにしよう。
ものづくり界隈の人たちへのオススメは『未来のモノのデザイン』ですかね。ノーマンの先見の明に驚かされながら読むのが楽しかったです。以下の書籍は詳しい書評がnoteにありますので、良かったらそちらもぜひ。
- アルケミスト 夢を旅した少年
- LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
- アジャイルプラクティス― 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣
- 未来のモノのデザイン
- 社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門
読んだ本の数:15
読んだページ数:4470
ナイス数:181
アルケミスト 夢を旅した少年『存在しない女たち』の直後なので、旅に出る主人公が「少年」で、彼の旅を導く登場人物がほぼオールおっさん笑で、男子の冒険を受け入れ、静かに(家事しながら)帰りを待ってるだけの女子ファティマと家庭を築くんだろうな…という終わり方などが若干気になるが、「現状に甘んじることなく違う世界へ飛び出すことで見えてくるものがあるよー!」ってことを教えてくれる物語でした。親の敷いたレールに乗ることを拒むところからの出だしも秀逸で好き。巣立ちで冒険できるかどうか、その道を選ぶ精神性を子どものうちに鍛えられるかどうかも鍵。
読了日:08月02日 著者:パウロ・コエーリョ
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)1972年生まれなのでジミー世代ドンピシャだけど、ふり返ってみればジェーン世代の生き方をしてきたぞ。エライなわたし。20代は探求しまくりで先が見えなかったけれど、30代前半にはインディペンデント・プロデュースをはじめられた。残るはこの先、ポートフォリオ・ワーカーになれるかどうか……。でも、85歳まで働くのは嫌だー。とは言え、次世代の重荷にならないようにはしないとならない。そういうことを考えるように促してくれる本です。子育て真っ最中の方々におすすめ。
読了日:08月04日 著者:リンダ グラットン,アンドリュー スコット
はじめての老い 福山の本屋で迷わず購入。帰りの新幹線で一気読み。老いにも男女差があるなーとか、こちら50代ですでに症状でてますし…とか、年齢関係ないっしょ!と思うところもあったり、しかし総じておもしろかった。著者が入学前レベルだとしたら、わたしは保育園レベルかもしれないけど、女子代表で老い考したくなってしまった。それはそうと、著者らしい軽妙な調子はとても良いのだけど、プロ編集者の割にタイポ多すぎないか?とは思いました。いや、わざと、なのか?
読了日:08月05日 著者:伊藤 ガビン
アジャイルプラクティス― 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣とあるエンジニアさんの推しってことで読んでみました。「適応力と協調を重んじる人々」がひとつの目標に向かって継続的に取り組むことをアジャイル開発と言う。ぼっちでガンガン回していくってことじゃないし、計画一辺倒でガチガチに突き進むことを奨励するものでもない。全員がプロフェッショナルである必要はないが、プロフェッショナルなアジャイルマインドは全員が持っているべきだと。まー、つまりチームビルディングが要ということのようです。悪魔の囁きに負けず、内なる天使の導きに従うための45個のプラクティス。
読了日:08月10日 著者:Venkat Subramaniam, Andy Hunt
流人道中記(上)月一ノルマ歴史小説8月分。江戸時代は長いのだ。家康の頃と、もうすぐ幕末という時代では同じ武士でも仕事の有り様や価値観がかなり違う。破廉恥な罪を犯して(ホントかどうか怪しいが…)切腹を言い渡された青山玄蕃はそれを拒否。飛び級で与力へと思わぬ出世を果たした石川乙次郎が奥州を北上して蝦夷地まで押送する。で、道中いろいろあるわけです。上巻にしてもういろいろあり過ぎるわけです。そのたびに、青山は賢く立ち回って事態を収拾し、石川はなにもできずに落ち込んでは、嫁に強がる手紙を書く。ふつうに面白いので休まず下巻へ。
読了日:08月12日 著者:浅田次郎
未来のモノのデザイン単に「便利さ」を追求するのではなく、人間の心理や行動、感情に寄り添うデザインが不可欠になっていくよコレから!と、20年前に主張していたノーマン。ChatGPTや自動運転のあり方にまで通じる深い洞察に満ちた内容で、古さを感じさせないどころか、今こそ読むべきだと思った。「人はなぜ、その機械を信じるのか?」という問いに真正面から取り組むノーマンの議論がとてもわかりやすい。『誰のためのデザイン?』で紹介されているデザイン原則の理解を深めるのに役立ちます。
読了日:08月15日 著者:ドナルド・A・ノーマン
コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート2021年3月まで海外にいたので、日本がコロナ禍とどう対峙してたのかをよく知らないのだ。福井新聞が掲載していた「相関図」とか、東京都がつくった「コロナ対策東京カルタ」とか、そんなことなってたんだーって、今だから笑い飛ばせるけど当時はきっと本気だった的なアレコレ。日本があれこれやりすぎてしまったのは「日本文化の型」に起因するという医療人類学者の見立て。次のパンデミックで同じ轍を踏まないように、しっかり「コロナ禍と出会い直す」べく、鹿児島県の介護施設の取り組みとか、参考になる事例も語られてて勉強になりました。
読了日:08月17日 著者:磯野 真穂
流人道中記(下)敵討ちも、公儀の許可状があれば正義。しかし諦めて村へ戻ることも許されない。病を得た旅人が故郷へ戻りたいと願ったなら、沿道の宿駅はそれを叶えてやらねばならないという宿村送り。そりゃー仮病人も現れるって。「なんかおかしくないか?」という法や政やしきたりを、我流で打ち砕きながら北上する玄蕃。随所で良いこと言ってた。たとえば「おなごが台所に立って男が据え膳を食うなどと、誰が決めたのだ」と。そうだそうだー。切腹を拒否ったのは武士道をぶち壊すための闘いだった! 乙次郎、帰り道はつらくて寂しかっただろうな……。
読了日:08月18日 著者:浅田次郎
社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門自分にはあまり関係ないかなーと思いながら読み始めたが、5章(取材の心得)はユーザー調査の心得に通じてて面白かった。事前に質問を共有しないほうが良いとか、冒頭で流れを共有して不安を払拭してあげようとか、「自分とは違う」と思ったときこそ深掘りチャンス!とか、用意した質問をこなすことに腐心するべからずとか、間を恐れずに考える時間をあげよう!とか。”「いい素材」がなければ、美味しい料理はできない”はすばらしい格言だ。”「いいデータ」を集めなければ、イカしたインサイトは現れない”ってことで、どこかで使わせてもらう。
読了日:08月22日 著者:竹村 俊助
面白くて眠れなくなる流体力学ふつうに眠たくなった笑。全般的に図解がちょっとわかりにくいのかなー、テキストと図の合わせ技だからこそ、テキストで言ってることを図で確認しようとするときに戸惑うことが多かった。まぁ、わたしの科学の素養に問題があるかもしれんが。それにしても、流体力学の研究者たちはイグノーベル賞を狙いすぎだと思った(研究が楽しそうで良いけどね)。
読了日:08月22日 著者:石本 健太
善き書店員なんちゃって本屋を始めるにあたって…というわけではないけれど、本気本屋で苦労されている書店員さんたちの歴史と想いを読んでみました。「本屋ってすごく立体的な場所だと思う」と語る長﨑書店さんのお話が印象的。敷居が低くて誰でも入れるけど、やりようによっては深みや奥行きをつくれる。恵文社さんが言うように「慣例で続いてきた構造そのもの」がおかしいという面があり過ぎて、そこに手を付けるのが遅すぎたからたくさんの書店が姿を消すことになったのではなかろうか?とは言え、おもしろい書店も増えてきてるから期待しちゃうけどなー。
読了日:08月24日 著者:木村俊介
火明かり ゲド戦記別冊「私は魔法に、いえ、呪いにかかっていた」と、著者が気付いたことの意義は大きい。ジェンダーの見直しがなければ『帰還』以降のゲドの物語は違っていたのだろうな…(そもそも存在していない可能性もある)。「成熟と想像力」についての凝り固まった誤解から解き放たれて『ゲド戦記』を再読しよう。ベッドから”火明かりと優しげな影”を眺める年老いたゲドの物語を読んでから、『影との戦い』を再読したい。そんなゆったりしつつもワクワクしながら過ごす自分の老後を想像してすでにワクワク。想像力を鍛えるためにファンタジーは欠かせない。
読了日:08月25日 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン
ままならぬ顔・もどかしい身体: 痛みと向き合う13話ガン闘病しながら研究者としての仕事も継続する中で綴られたエッセイ集。8歳のときに「跡取りは男子」と祖母に言われて強烈なパンチを喰らった著者が、「男女の性役割への抵抗」として密かに家事手伝いから距離を置いていた自分をふり返り、「家事という基本スキル」を学ぶ機会を逸したと後悔するまでになっているって、果てしなく共感してしまったー笑。2019年来のKuToo運動とか、マイナンバーカードに旧姓併記できるようになったとか、知らなかったぞ泣。日本を留守にしてた間のアレコレ含めてとても勉強になりました。
読了日:08月26日 著者:山口 真美
ブレイクショットの軌跡Audibleでうっかり再生スタートしてしまってよくわからないうちに超大作を聴くこととなる展開でしたが、これを聴くために暑い中ジョギングに出ちゃうくらいに面白かった。そして、エピローグでの伏線回収が見事すぎて、めちゃくちゃスッキリした。LGBTQ+や投資詐欺などに、非正規雇用や貧富の格差などもうまく絡めて、昨今の社会問題がおおむねカバーされていた印象。後藤晴斗のような優秀で正義感たっぷりで行動力と決断力もある若者の存在もリアルであってほしいぞ。
読了日:08月28日 著者:逢坂 冬馬
締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか 「先延ばし」と「前倒し」の心理学早く提出されたレポートは「さっさと終わらせた」感が強い。なるほどー。わたしは典型的な前倒しタイプで、旦那も同様なので、空港に早く着き過ぎます、そのとおり。「終わらせなければ…」という認知的な負荷を軽減したいというのもよくわかる。後を快適に過ごしたいからね。先送りタイプは「考えること」を楽しみたい!と思っている可能性。それこそ考えたこともなかった。先送りにもメリットがあるって?なんだとぉ? 前倒しのデメリットはその非効率性ね。それまたよくわかる。ま、うちは前倒し同士の夫婦なのでそれほどもめない。それで良い。
読了日:08月29日 著者:安達 未来
