2025年1月の読書記録
2025年02月12日(水) 11:53
本&映画の紹介2025年も順調なスタートです。仕事がなければ2桁は楽勝なのだ。
いやしかし、介護に始まり、介護に終わる読書記録となってしまった笑。これまで他人事だった介護が、自分事に転じたので急いでいろいろ勉強してます。どちらの本も思わず笑ってしまう事件が赤裸々につづられていて、笑ってる場合じゃないんだけど楽しかった。笑えているうちは大丈夫かなーなんて思ったりなんかもして。
小説のおすすめは『塞王の楯』。お城や戦国時代に興味がなくてもきっと楽しめる。プロフェッショナルな働き方を教えてもらえます。『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』を読めば、観察眼や論理的思考を訓練しながら豊か、かつ緩やかに生きるとはこういうことか!という気づきが得られます。流行りそうでなかなか波に乗らない『エフェクチュエーション』は、サクッと読める分量なので、ものづくり界隈の人は読んでおいて損しない感じかなー。
読んだ本の数:13
読んだページ数:3457
ナイス数:172

親の介護生活が始まったので予習。Audibleで聴きました。途中で何度も吹いてしまう面白さ。いや、全然笑い事ではないし、ヘルパーさんのご苦労を思うと申し訳のない気持ちでいっぱいになったけれど、笑えるものはしょうがない笑。「もったいない」からと捨てられずにたまっていく使用済みオムツ。ペットの排泄物にまみれた家。利用者以上にめんどくさい家族。読めば読むほど「うちはまだマシ」だと胸を撫で下ろす。いや、それは今のうちの話だな。便器の水で雑巾を洗うヘルパーという方もいるようで、うーん、どっちもどっちか?
読了日:01月03日 著者:佐東 しお
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中年向けの自己啓発本だった。まー、ある程度の資金を貯めて、運用していくって話ですね。お金の安心感がないと心の安寧は望めないから。最初の資金づくりに、今の時代はいろいろできることあるから、著者を見習ってブログとかどうですかーって笑。本を書けるくらいの人だからブログもマネタイズできたんだろうけど。総じて、新しい話、目を見開かせてくれる驚きは見当たりませんでしたが、これを超える内容をお前が書けるか?と問われたら怯む。けど、まー、資金運用は今年のうちにもう少しチャレンジしてみようかな…という気持ちにはなりました。
読了日:01月05日 著者:中道あん

奈良の古書店で遭遇した切ない本。2人の子どもたちのために、ウクライナを去る決意をした著者。旦那や両親との別れを選んだとも言える。その決断をできずにウクライナに留まっている人たちも大勢いるだろうし、そんな決断をすることを許されもせず闘っている人たちもいる。戦争の結末によっては、もっと苦しい選択や別れがあるのかもしれないと思うと切ないけれど、とにかく早く終わって欲しいという願いは共有していきたい。子どもたちの日常に少しでも笑顔がありますように。
読了日:01月06日 著者:オリガ・グレベンニク

城巡り直後だし、『日本の名城 解剖図鑑』も読んでからの流れだったのがよかった。しかし、城のこと何も理解できてなかったという事実に慄く。戦の最中に縄張り変更とか、武者返しを石垣に追加して武者だけじゃなく鉄砲の弾も弾き返すとか、遊びがある分だけ野面積みの強度が高いとか、見た目の美しさくらいにしか意識を向けられてなかったわー。大津城が残っていないのが至極残念。石の声を聞き、石の目を見られる天才跡取りが要石を見極められるまでになる穴太衆飛田屋の物語。2025年のノルマ小説。最高の滑り出し。
読了日:01月08日 著者:今村 翔吾
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山口からの帰りに寄った奈良の書店で購入。旦那と同じ山校出身の著者。たぶん学年1個下。縁があって嫁いだ台湾と故郷山口とのつながりを紹介してくれてます。山口県内あちこち連れて行ってもらったけれど、未踏の地もまだたくさんあるなー。秋吉台に点在するドリーネだけなぜか私有地として認められていて、所有者がそこでゴボウ栽培しているとか!知らないことも山盛り。山口県民がどれほど知っているのかも気になる。ときわ公園のバオバブの木を今度見に行こう。
読了日:01月09日 著者:栖来 ひかり
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問題は少子高齢化に加えて人口減少が進むこと。前例のない人口減少経済との向き合い方を考えさせてくれる良書。過疎地のインフラ整備をどうするのか、地方創生を旗印に地方への移住を促し続けて良いのか、外国人労働者をあてにした産業構造に落とし穴はないのか、など気になっていたことが掲げられていて安心すると同時に不安も募る。すでに半分高齢者のつもりでいたのに、日本老年学会が提言する高齢者は75~89歳。まだまだ届かない笑。やはり75歳くらいまでは働かねばならぬのか?多少の痛みを許容しながらのDX化。道はそれしかなさげ。
読了日:01月11日 著者:坂本 貴志
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手近な手段を活用して生み出せる効果(effect)を目的よりも重視するという特徴からエフェクチュエーション(effectuation)と名付けられた。のはわかるが、日本で定着するのがむずかしそうなネーミングだな…というのが一番の感想かな笑。すぐに取れる手段を使って、できる範囲で、ピンチはチャンスと捉え直し、周囲からのヒントは無分別に取り入れて相互作用を生み出し、状況を俯瞰しつつ臨機応変に対応するゆとりを持って臨む。つまり、計画や準備に右往左往するくらいならとにかくやってみるべし!と挑戦者の背中を押す書。
読了日:01月12日 著者:吉田 満梨,中村 龍太
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なぜ西日本に縄文遺跡が少ないのか…とぼんやり不思議に思っていましたが、鬼界カルデラの大噴火とその火山灰が混じってしまった粘土が要因だったのか!みたいな、素人が気になるところを適切に教えてくれる有り難い一冊でした。遺跡発掘作業員という学者とはちがう立ち位置で縄文文化に触れている著者だからこその内容かと。そして『土偶を読む』に対する密やかなアンチテーゼなのかもしれない。縄文時代は長いよ。編年を無視しちゃダメよって。とりあえず今年は、山形への土偶詣でを実現せねばな。
読了日:01月13日 著者:今井 しょうこ
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Audibleにて。なので、マンガとしては楽しめず笑、代わりに巻末特典の歌を楽しみました。エフェクチュエーションとコーゼーションを組み合わせた意思決定の指南書という感じ。目標へつづく具体的な道筋をイメージしながら、周囲の支援はちゃっかりあてにして、今できることをきっちりやる。それを続けるための「脳内秘書」が「事務」で、つまり、会社員にならずひとりで生きていきたいならやらなきゃならない雑事もあるけど、そこしっかりやれれば先へ進めるよ!と、若い人たちにお手本を示してくれているのかな。
読了日:01月15日 著者:坂口恭平
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さすがあれほどの物語を紡ぎ出した人だ。街で見かけたポスターをきっかけに年を取ることについて熟考したり、ファンタジーと科学の共通点に思いを馳せたり、猫の観察も細部に渡る。ゆで卵の食べ方からフェミニストへの辛口まで、彼女の思考はひと時も休むことはなかった。サラマーゴに誘われるように始めたブログからの抜粋エッセイ集でした。ちょうど『白の闇』を読んだ後なので絶妙な流れ。彼女がTGAN(偉大なアメリカの小説)として推すTGOW(怒りの葡萄)は読まないわけにはいかない。ゲドも再読しようかな…。
読了日:01月17日 著者:アーシュラ・K・ル=グウィン

毎年M-1だけを見る。YouTube見ないし、舞台に足を運ぶこともない。そんなわたしにとって、M-1で見る漫才はすべて初見。そういう素人観客と、あちこちでお笑い見まくって予習万端な玄人観客、そしてプロの審査員。そのときの観客の割合や前後の漫才師が繰り出すネタとその流れなどによって、盛り上がるかどうかが変わってくる。という分析をもとに、自分たちが優勝するためではなく、M-1そのものを盛り上げるためにどのネタで行くかをその場で決める。そして完璧にこなして笑いを取る。挙句に2連覇。来年は審査員で良いと思うぞ笑。
読了日:01月19日 著者:令和ロマン・髙比良くるま

Audibleにて。地雷を3回連続踏まされてしまう先輩ちょっとかわいそうだったけど笑、1話目で射守矢真兎の発言のすべてに意味と戦略があることがわかり、注意しながら読む(聴く)のだが、腹落ちするまでしばらくかかる。どのゲームもルールの一捻りがむずかしいからそっちにも意識を取られてしまうんだよね。ルールの抜け穴がかならずある!と思っていても、そう来たか……と唸らされる。対戦現場の環境を想像する力が足りないってことだなー、悔しいなー。射守矢が負け知らずの展開になるとわかっていても楽しめるエンタメでした。
読了日:01月22日 著者:青崎 有吾
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横須賀と高円寺の往復か……。近いようで遠い。通える距離だからこそかえって大変。兄弟姉妹がいても、長男ひとりが背負うことになってしまう展開。わたしは「女の子だから」と背負わされることが多くなることに恐怖を覚えていたけれど、考えてみたら長男も「長男だから」と当てにされること多くて大変だよね。お嫁さんに、ケアマネに、お巡りさんに、長男の苦労を理解し、優しい言葉をかけて、さらには助けてくれる人が周りにいてよかった。「自分ひとりで頑張らない介護」を実現できる環境や社会の必要性を痛感しました。
読了日:01月25日 著者:のぼる