2024年12月の読書記録

2025年01月06日(月) 15:19

本&映画の紹介

12月は前半がお仕事山盛りだったのと、そのおかげで年末年始のアレコレ(主に掃除)も年末に山盛り残った状態だったので、呑気に読書してる時間があまりなかった。そして、そんなときにこそAudibleですよ。掃除しながらでも、買い物の道中でも読める(聴ける)というのがかなり良い。そのためにイヤホンを2つも新調しちゃったわい。

Audibleで聴けるものが小説やエッセイなどに限定されるのは多少の難点で、Audibleに頼りっぱなしになると直接本業の足しになる本が少な目になってしまうのは気を付けないとですね。

小説からは、コロナ禍を経た今だからこそ考えさせられる『白の闇』と、二度目でもまったくすんなり読ませてくれない『ユージニア』がおすすめ。恩田陸さんの著作にはこれまでハズレがひとつもない(たいした数は読んでないけど)。ので、恩田陸まつり近々開幕するかもしれない。

昭和人間として自虐を楽しみたい方は『昭和人間のトリセツ』がふつうに楽しいです。家族で昭和人間度テストをやったら盛り上がったよ笑。昭和人間から令和を生きる若者たちへのメッセージとしては『仕事を人生の目的にするな』が秀逸。それでいてさらっと読めます。



読んだ本の数:11
読んだページ数:2957
ナイス数:152

行動経済学の真実行動経済学の真実
ゆるい新書と思って読み始めるとなかなか大変。基本的には、昨今「再現性がない」という理由でやり玉にあがりがちな「行動経済学」が本当に再現性がなくて信用ならないのか、実験の建付けによっては信頼性が上がるのか、研究論文を引用しながら検証する超マジメな内容。行動経済学は実は「合理的選択理論」で、「伝統的な経済学では矛盾とみなされる現象もプロスペクト理論によれば合理的な選択として説明できる」というあたりを何度も検証してくれる感じ。研究好き向け。結論だけでお腹いっぱいという人(自分を含む)には不向き笑。
読了日:12月01日 著者:川越 敏司

富士山富士山
Audibleの1.7倍速で読了。短編集なら聞きやすいかなーと思ったけれど、パラレルワールドとか、負の連鎖とか、テーマが重たかった笑。なにかうまくいかないことがあると、あのときあーしてれば!とか、あそこの判断が…とか、人生一度きりだからこそ慎重な意思決定をしてきたつもりでも、別の展開があったのではないかと悔やんだり、そっちの展開を妄想したり、するよね。そういう誰もがすこし身に覚えのあるあれこれが紡がれていました。もうすこしゆっくり、ゆったりと日々を重ねていけたら、後悔は減るのかな……。
読了日:12月04日 著者:平野 啓一郎

日本の名城解剖図鑑日本の名城解剖図鑑
12の現存天守へ登城を果たしたので読んでみた。復習を兼ねて読んでみたら、細部のおもしろいところを見逃してきたことに気づくなど。登城前に読むべきだった笑。しかし、現存天守のみならず興味深いお城がたくさんある。穴城として世にも珍しい小諸城、海を天然の要害とした高松城、木造復元天守の先駆けとされる掛川城あたりは近々行こう。五稜郭と熊本城と和歌山城はもういちどゆっくり行きたい。そして、大阪城と広島城にはなぜか行ってないような気がするので行こう。来年も忙しくなるなー。
読了日:12月07日 著者:米澤 貴紀

母という呪縛 娘という牢獄母という呪縛 娘という牢獄
ノンフィクションかぁ……。信じられんな。うちも勉強しろとさんざん言われて育ったし、外的動機付けしかしてくれない親だったけれど、比べ物にならないレベルでヒドイ親だ。父親も。父の愛が彼女を救ったような終わりになっているけれど、もっと早くに手を打てなかったのか?とそこが果てしなく気になる。海外にいて学資だけを送ってくるという祖母や叔母もどうなのよ?ふつうに考えて、9浪して医学部へ行ったところで国家試験でまた躓くだろうに。と、部外者は思うわけだが、子育てとサンクコスト効果。あってはならない掛け合わせなのだった。
読了日:12月10日 著者:齊藤 彩

仕事を人生の目的にするな仕事を人生の目的にするな
一般社員として入社して、社長まで昇りつめた平井さんの言葉は重いですな。「数を打つ」努力よりもまずは「努力の的」を定めること。自分は「なにをどのくらいわかっていないのか」を知ることが先。これつまりメタ認知の話。自分が間違えたときにそれを「素直に認める勇気」を持てるように自信をつけろと。これは認知的不協和に負けない自分をつくるべしという話。わたしがセミナーで言ってることじゃないかー(文脈がちょっと違うけども)。来年のセミナーから引用させてもらおう。本の内容は若者…というか、素直に読める人向け。
読了日:12月14日 著者:平井一夫

ユージニアユージニア
今年のノルマ小説の中で唯一の既読本だったので食指が動かず結局ラストになったが、初読のように楽しんだ。以前思った「母親は緋紗子に対して負い目を感じていたから宗教に逃げた」というのは間違えてんなコレ。むしろ諸悪の根源なのかもしれない(自信はない)。家族全員どころか居合わせた人たち全員を殺めることを悪と思わないほどに「一人に」なりたかったのか緋紗子?一人になれて幸せなのか?いや、彼女を一人にすることが究極のお仕置きだとでもいうのか母よ?語り部だった満喜子が熱中症で死亡ってマジ?つまり、二度読んでも謎だらけ。
読了日:12月17日 著者:恩田 陸

深海問答深海問答
海関連の仕事が入ったので、筋違いの予習になるとは思いつつも攻めてみたら期待以上のおもしろさ。たしかに「絵心は大事だ」。リービッヒの最小律を伝えてくれる桶のイラスト最高。イラストがラストスパートの後押しになったという気持ちがよくわかる。内容かなり小難しいけど、イラストでわたしもかなり救われた。イラストに添えられてるキャプションにボケやツッコミが混じってるから忘れずに読んでね。海のおかげで地球温暖化が多少緩和されているのは確かだけど、海に頼り過ぎたら海底生態系にどんな影響が出るかわからない。という戒めが骨子。
読了日:12月18日 著者:川口 慎介

茶柱の立つところ茶柱の立つところ
Audibleにて。自分よりも7歳年上の小林聡美さん。その昔『やっぱり猫が好き』に三女役で出られていた頃から大好きな女優さん。肩ひじ張らずにゆるゆると生きている感じがとても魅力的だと思う。そんな彼女の無理のない日常と、足腰の動くうちにとすこしだけがんばって挑戦するアレコレが愉快に語られます。共感しまくり。見習って、もうすこし挑戦を増やそうかなーって、自然と思わせてもらいました。まぁ、無理のない範囲で。
読了日:12月20日 著者:小林 聡美

昭和人間のトリセツ昭和人間のトリセツ
わたしの昭和人間度は70%でした。まぁ、仕方ない。何が悪い?って思っちゃうし。よっこいしょういちって言いながら立ち上がるし笑。女の子のいちばん大切なもの…は「真心」です(by 山口百恵)。それにしても産労総合研究所が毎年発表する「新入社員タイプ」というのがスゴイ。2024年度は「セレクト上手な新NISAタイプ」だって。言葉選びが絶妙でおもしろ過ぎる。総じて、昭和人間が自虐を楽しむための本でした。若者が「トリセツ」とするのは厳しそう。読めば読むほど昭和人間との付き合いをかったるく感じるようになると思われる。
読了日:12月22日 著者:石原壮一郎

白の闇白の闇
年末にヘビーな物語を読んでしまった…。突如視力を失う感染病に見舞われた人類。理性を保って助け合う人々はごくわずかだが、感染せずに視力を持ち続けられた女がひとり混ざっていたからこそ実現した共助に過ぎない。著者はなぜ女性にその役回りを担わせたのだろう? 夫を守るために見えないふりをして収容所へ同行した妻。その後も嫌なものを見続けてしまう過酷な運命。見えるからこその辛苦。見たいものだけを見ることは叶わない。見たいものだけを見ていないか、それで世の中を見えてるつもりになっていないか、そんな問いかけなのかな…。
読了日:12月28日 著者:ジョゼ・サラマーゴ

ツバキ文具店ツバキ文具店
Audibleにて。『白の闇』で1年を締めくくるのはあまりに苦しいので急いで多部未華子の朗読を聞きました。たまに遊びに行く鎌倉の町が舞台なので、情景を想像しながら没入。代書の依頼があるごとに、丁寧に依頼の内容や背景を聞き取り、依頼主の想いを込めるために最適な紙と筆記具を選び、そして言葉が降りてくるのを待ち、書く。絶縁状みたいなむずかしい依頼にも真摯に取り組む鳩子の態度は、先代による厳しい躾のたまものですね。途中で軽くグレちゃうくらいだから厳しかったことでしょう笑。わたしもキレイな字を書けるようになりたい。
読了日:12月30日 著者:小川 糸