2024年6月の読書記録

2024年07月10日(水) 09:15

本&映画の紹介

6月は翻訳仕事と調査案件のダブルパンチで久しぶりに仕事に追われました。合間に潮干狩りも行かなくちゃならなくて笑、忙しかったなー。ってな感じで言い訳からの読書記録です。2ヶ月連続のギリ2桁。

お気楽読書と小説が多めの中でも、川内有緒さんの『晴れたら空に骨まいて』はやっぱり良かった。ちょっと海外旅行気分も味わえる内容になっております。テーマは散骨ですが笑。

リサーチ界隈の人には『口下手な人は知らない話し方の極意 認知科学で「話術」を磨く』がおすすめ。認知科学の知見が話したり、話を聞いたりするときにしっかり役立つということを教えてくれます。

7月も、ギリ2桁を目指して読もう。今のペースはリアルにヤバイ。



読んだ本の数:10
読んだページ数:2692
ナイス数:97

口下手な人は知らない話し方の極意 認知科学で「話術」を磨く口下手な人は知らない話し方の極意 認知科学で「話術」を磨く
『やわらかな知性』からのコレ。すごい良書でした。わたしがインタビューやセミナーをするときに、理由はうまく説明できないけど実践しているアレコレの理由をたくさん教えてもらいました。相手と九十度の位置に座るのが良い理由とか、笑わせることがなぜラポール形成につながるのかとか、アクセサリはつけないほうが良いよねとか、おかげで全部キレイに説明できるようになりそう。リサーチ界隈の方々へのオススメ図書として追加決定ですわ。
読了日:06月01日 著者:野村 亮太

翻訳に生きて死んで: 日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ翻訳に生きて死んで: 日本文学翻訳家の波乱万丈ライフ
若い頃、実は「翻訳家」になりたいと思ってました。でもそれだけで食べていくのはたぶん無理だろうな…と思って、その道は諦めてしまった口です。しかしこの著者は「それだけで食べていく」道から逃げることを考えずに、翻訳料をかすめ取られても、自分が翻訳した本が別の翻訳者の名前で出版されても、諦めずに食らいついて、韓国ではすっかり名の通った翻訳家さんになったらしい。苦しかった時期を笑い飛ばせるようになって良かったね。韓国の考え方や生活事情もチラ見できるのと、彼女オススメの日本文学作品も知ることができて楽しい読書でした。
読了日:06月02日 著者:クォン・ナミ

空芯手帳空芯手帳
6月のノルマ小説。「女子がお茶出しするの当然」と考える男性陣に対してリアルに吐き気をもよおして妊娠してしまう女子が、妊婦として送る日々を綴った物語。は?という感じだと思うが、キレた職場の連中だけでなく、妊婦仲間たちも煙に巻き続けるシバタッツァンの気合いとやり抜く根性にオバサンは感動した。ひと昔前の小説かと思いきや、めちゃくちゃ最近の刊行。翻訳されて海外に飛び出しているようだけど、日本社会の男性優位がいまだにこのレベルなんだと思われつつ、共感を呼んでいるということは世界もまだこんな感じなのかね?
読了日:06月08日 著者:八木 詠美

香川にモスクができるまで香川にモスクができるまで
高松の本屋 ルヌガンガで購入した一冊。ムスリムにとって日々のお祈りがどれほど大切なことなのかを教えてもらいました。インドネシア政府や行政の人たちも、大半はムスリムのはずなのに、どうして汚職まみれになるのだろう?こんなに家族や同胞を大切にする精神性を持っている人たちがどうして争いをやめられないのだろう?とイスラムについて勉強するたびに思ってしまう。まぁ、ちょっと本を読んだくらいでわかろうとするのもダメだけど。とりあえず、香川にいるムスリムの皆さんが穏やかにお祈りを続けられる場所ができてよかった。
読了日:06月11日 著者:岡内大三

北条政子北条政子
『炎環』からのコレ。図書館でお借りしました。ぶ厚くておののいた笑が、難なく読了。源家が武家の棟梁として長く続かなかったのは、頼朝と政子の子育てがイマイチだったというか、子どもを「乳母」に育てさせたことで、乳母一族の権力争いを誘引したせいではないかという視点で鎌倉時代の様相が綴られていました。なるほどだわ。「どうしてこうなってしまったのだろう?」と、人生の後半は後悔ばかりになってしまった政子。子にも孫にも先立たれてからの日々もまだ終わらないんだよな。切ない。それにしても、永井路子さんが最高。
読了日:06月15日 著者:永井 路子

晴れたら空に骨まいて晴れたら空に骨まいて
ちょいはまりしている川内有緒さんモノ。病院のベッドではないどころか日本ですらないところで死にそうになったり死んでしまったりしたいろんな家族の弔い方を追いかけながら、自らの父との別れに決着をつけようとする著者の語り口は、死をテーマにしながらも軽快で痛快。登場人物たちのぶっ飛んだ経歴や性格がそれを可能にしているというのもありますが。死後のことは正直どうでも良いので、残された旦那(自分が先に逝くつもり)が好きなようにしてくれれば良いけれど、まくなら日本海側ではなく太平洋側にしてほしいという希望は伝えてみた笑。
読了日:06月17日 著者:川内 有緒

文庫本は何冊積んだら倒れるか文庫本は何冊積んだら倒れるか
まえがきを読んで、ゆるーく読める本だと確信を持てたので読んでみたら、実にくだらない実験や調査をゆるーく行った結果をダジャレ混じりでどこからどこまで本当かわからない感じでゆるーく報告してくれていて、そんな中でパールライスの『大地』ではなく、パール・バックの『大地』だけ二度三度と褒め倒していたので読まないわけにはいかないぞ!ってことになりました。どんなくだらない本にも学びはあるものです笑。
読了日:06月22日 著者:堀井 憲一郎

リチャード・サッパー・デザイン うれしい体験のための論理と感性のデザインリチャード・サッパー・デザイン うれしい体験のための論理と感性のデザイン
ラミー社のボールペン…のために作られた専用の木製ケースとアレッシィのチーズグレーターがとても美しい。パソコンのヒンジとか、シュガーボールの取っ手とか、細部へのこだわりも巧み。写真のキャプションが「シューガーボール」になってるとかいうタイポにもつい気づいてしまったが、サッパーがこだわり抜いたデザインに添えられた文章が全般的にあまり美しくないというのがやはりすこし残念な気がする…。著者の顔を思い浮かべながら、失礼承知で書いてしまいました。
読了日:06月23日 著者:山﨑和彦

かえるの哲学かえるの哲学
一瞬で読み終わるけれど、英語だけを通して読んでみたり、日本語と併読して訳にいちゃもんつけたり、どんな文脈から切り離されたのかを考えたり、編集者がどんな気持ちで抜粋したのかを想像したり、いろいろと楽しめる大人のための哲学書。一番好きなのは#19の We have to make a third try. かな。何度失敗しても次があるよ。#17の訳はまったく気に入らない。直したい。というか、良い機会なので原著を読み返したい…と思ったけれど、#12 I have many things to do.なのだ。
読了日:06月23日 著者:アーノルド・ローベル

パーク・ライフパーク・ライフ
吉田修一さんって芥川賞を受賞してたんだー、へぇ~ってことで読んでみたのですが、なんか芥川賞のイメージが変わったというか、こんなポップでスルスルと読める作品が受賞することもあるんですね。ラストで彼女が何を決めたのかをわからないままにするとか、わたしの知ってる吉田修一作品ではない感じもあって、もやもやの残る読書でした。『flowers』のほうは、生け花に、ちょっとトライしてみたくなったりなんかして、いやしかし、その部屋で男女が同僚の奥さんとどうのこうのとかあり得んわーとか、そっちもなんとなく消化不良。
読了日:06月29日 著者:吉田 修一