2024年1月の読書記録

2024年02月05日(月) 10:43

本&映画の紹介

年初の1週間、風邪で寝込みつつ、しかしさほど眠れず、結局読書ばっかりしていたので余裕の2桁スタートとなりましたー。

だったら小説をもう1冊くらい呑気に読んでも良かったかもな……。再読でオススメするのもなんですが『嘘ですけど、なにか?』はエンタメとして最高。『工場』もおもしろかったのだけど、小説読み慣れない人には厳しいかもしれないので、気楽に読むなら木内さんのほうです。

お勉強本としては、ノーマン先生の『より良い世界のためのデザインー意味、持続可能性、人間性中心』はおそらく、業界の人は読んでおいたほうが良いのだと思いますが、こんなに紙幅は要らなかったのではないかと思ったりもする仕上がり。時流としては『Good Service[グッド・サービス] DX時代における”本当に使いやすい”サービス作りの原則15』のほうが軽快に読める参考書となるでしょう。

中でももっともお気楽な一冊をお求めの方には『郷土玩具ざんまい』、すこしくらいなら頭を使っても良いよ!という方には『道具のブツリ』あたりがオススメです。

この調子で、今年もガンガン読むぞー!



読んだ本の数:13
読んだページ数:3412
ナイス数:122

Good Service[グッド・サービス] DX時代における"本当に使いやすい"サービス作りの原則15Good Service[グッド・サービス] DX時代における”本当に使いやすい”サービス作りの原則15
よいサービスは、ユーザーの期待に応えるためにある。ユーザーにとって馴染みのある仕組みで機能し、誰もが、初見でストレスなく使えて、目的を果たせる。万が一にも袋小路にぶち当たることはない。組織構造にとらわれず、一貫性が保たれているおかげで必要最小限の手順で目的を達成できる。ユーザーのみならずサービスを提供するスタッフにも正しい行動を促すと同時に説明責任を果たす。必要な変更には柔軟かつ迅速な対応が約束されており、必要があれば対人サポートが適切に提供される。そんなサービスに、我が国の行政が満たされる日はいつか?
読了日:01月01日 著者:ルー・ダウン

パイプの中のかえるパイプの中のかえる
大阪の本屋でタイトル買いした一冊(サイン本だ!)。作家さんの日常をぼんやりと想像させてくれるエッセイ集でした。カマキリ先生と『昆虫すごいぜ!』の終焉を予言する書と言っても過言ではない笑。今年の月1ノルマ本にこの作家さんの一冊もあったはず。日常を丁寧に観察し、考察しながら生きている作家さんが紡ぐ物語へつづくステキな導線になりました。病床で読むのにほどよい温もりもありました。
読了日:01月03日 著者:小山田浩子

道具のブツリ道具のブツリ
物理の本なのに美しい! 物理やっている人に果てしなく失礼かもしれないけど笑、日常生活の中に潜み、人知れずわたし達の生活を豊かにしてくれている物理のアレコレを、かくも美しくわかりやすく読み応えのある文章と装丁で示してくれる本があり得たとは、驚きと喜びに満ちた読書でございました。弾性力、てこの原理、慣性の法則、作用反作用の法則の4つ。学校でも、モノや人の動きを観察してその背後にある理屈や定理を考えさせる授業をしてくれれば良かったのになー。本書を読めば、物理が生活に活きるということをもっと身近に感じられます。
読了日:01月03日 著者:田中 幸,結城 千代子

13歳から鍛える具体と抽象13歳から鍛える具体と抽象
良い本だった。説明の仕方とかとても参考になる。具体と抽象を行ったり来たりする思考法は、おそらく13歳になって考え始めるのでは遅い。幼少時からすこしずつ刷り込んでおいて、13歳になる頃に「具体と抽象」という言葉を含めて整理して頭に叩き込み、手続き化するところまで持っていくのが理想なのではないかと。つまり、もっと小さいお子さんを持つ親にこそおススメしたい。
読了日:01月06日 著者:細谷 功

REAPPRAISAL(リアプレイザル) 最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法REAPPRAISAL(リアプレイザル) 最先端脳科学が導く不安や恐怖を和らげる方法
自らの感情と考えと行動をメタ認知し、素通りせずに外化して、再評価することで負のスパイラルにはまるのを未然に防ぐという話。言うは易く行うは難しといったところでしょうか。メンタルヘルスに対する社会の認識やカウンセリングとの距離感などが日米で大きく違うと思うので、そっくりそのまま日本に持ち込むのはむずかしそうだな。それとタイトルが良くない笑。Appraiseという単語を知ってる日本人がおそらく少ないので日本社会に浸透するまでにはかなり時間がかかる。
読了日:01月08日 著者:内田 舞

話す力 心をつかむ44のヒント話す力 心をつかむ44のヒント
『聞く力』が学びの宝庫だったのに比べると、こちらは「楽しい読み物」感が強かった。あと「自慢」も多め笑。「人の話は九十パーセントが自慢と愚痴である」という東海林さだおさんの名言どおり笑。結局は良家の子女なんだよな…と思わせるようなエピソードが多い。ふつう、皇室の方々と食事を共にする機会は逆立ちしても手に入らないですから。とはいえ、そうした生まれや育ちを受け入れ、隠さずのびのびと生きてきたからこそ、周囲にも恵まれて、対話から多くを学び、それらを自分の血肉に変えてここまでになられたんだろうなーと。
読了日:01月09日 著者:阿川 佐和子

ある大学教員の日常と非日常ある大学教員の日常と非日常
診断を受けたことで自分を「障害者として認識し、障害者モードでゆっくりと考え、慎重に体を動かし、自分をケアしてストレスを減らす」生活を送ることで意識的に失敗を減らしているという、曰く「究極のライフハック」がスゴイ。診断を受ける、受け止めるっていうのが重要な分岐点になるということを改めて知った。海外旅行からはすっかり遠ざかっていたけれど、サバティカルと称して海外短期留学とか楽しそうだなー。著者は、浮かれずにビルケナウとか行って非日常を浴びていてスゴイ行動力と意思なのだ。見習えない笑。
読了日:01月11日 著者:横道誠

工場工場
2024年のノルマ小説1冊目。町の人ならだれもが知っている「工場」で契約社員としてひたすら紙をシュレッダーにかける女子。その兄はいつの間にか書類の校正担当派遣社員になってるし。その彼女の「正社員」というだけの理由で上からになれる態度には反吐が出るが、『いこぼれのむし』に出てくる女子職員たちは全員あり得ない。こういう世界が無理だったんだ。だから会社員は諦めたんだという自分の歴史を思い出した。でもひとりで屋上緑化担当なら頑張れるか? すべてがあり得なくて、同時にすべてがいかにもありそうな不思議な物語でしたー。
読了日:01月16日 著者:小山田 浩子

嘘ですけど、なにか? 嘘ですけど、なにか?
「気楽に楽しめる」とわかっている既読本を毎月1冊ずつ読むっていうのをやろうと思う。1冊目がコレ。久しぶりに八郎兵衛に会えて、あたしはうれしい笑。ファミレスに居合わせた小田島環とその一味がなにげに人情味あふれる気骨のある連中で、最後にサリンジャが八郎兵衛へかけた言葉にはうっかり涙が出そうになったわ。犯罪者を応援するのもなんだけど、うまく逃げおおせてほしい。そして、その場しのぎの対応でいろいろなんとかしようとして破滅した優秀なはずの警察官僚にはもっと地獄をみせてほしかった。
読了日:01月21日 著者:木内 一裕

答えより問いを探して 17歳の特別教室答えより問いを探して 17歳の特別教室
かつての私たちのように、「正解」を探す教育しか受けられない子はかわいそうだ。問いを、相手を、状況を、そして自分と自分の受け止め方を疑ってみよう。まず疑ってかかる。そして考える。直してもらおうとしない。吐き出すこと、外化することの大切さにも気づこう。正解はない。なんならすべてが正解。あと、本の中には「先生」がいるよ。という感じで、文学と哲学とを絡めて、楽に生きるヒントをくれる「5と4分の3時間目の授業」はとても楽しかった。金沢文庫のとあるカフェで借り読み。
読了日:01月24日 著者:高橋 源一郎

より良い世界のためのデザインー意味、持続可能性、人間性中心より良い世界のためのデザインー意味、持続可能性、人間性中心
人間だけでなく生態系全体に焦点をあてること、長期的視点に立ち、人間を含む生態系の懸念に応えるデザインとなるよう継続的にテストと改良を行うこと、そして、コミュニティの人々が自分事としてデザインに向き合えるようデザイナーがファシリテーターとして場と活動を支援すべきこと、というあたりが「人間性中心設計」の肝というか、人間中心設計からの変更点。言わんとしていることはわかるし、すでにそういう方向性になっている現状に「名前」を付けてくれたんだと思うのだが「人間性」という表現にはモヤモヤするし、スッと入ってこない…。
読了日:01月25日 著者:D・ノーマン

郷土玩具ざんまい郷土玩具ざんまい
佐賀のお宿で借り読み。特に九州生まれの郷土玩具たちの深みとユーモアが半端ない。ゲラゲラ笑いながら、コレ欲しい!コレ買いに行こう!とか言いながら読みました。表紙に選ばれているゴン太はホント笑える。福岡空港とかで出会ったら買っちゃうなー。みそ五郎にも会いたい。数あるダルマの中から選ぶなら宮城の松川だるまかなー。まゆ毛ボーン!ですよ。川越張子を求めていよいよ川越にも行かねばだ。あと、宮島張子の起き上がり鳥シリーズ、集めたい。
読了日:01月27日 著者:瀬川 信太郎

多様性の科学多様性の科学
「認知的多様性」という言葉は初耳だった。わたし達はただ「状況を見る」だけでも文化的背景によるバイアスに引っ張られる。認知的な盲点は多角的視点がないとあぶり出されない。小規模な大学へ行くほうが結果的に多様な人々と交わることになるとは、おもしろい実験結果。同じ意見の人たちと対話をくり返すことで特定の信念が無意識下で強化されることを「エコーチェンバー現象」と呼ぶ。覚えておこう。ネットで目にする情報はほぼほぼエコーチェンバーの中にあると思ったほうが良い。多様な組織づくりを目指す人には必読の書。
読了日:01月30日 著者:マシュー・サイド