2020年11月の読書記録

2020年12月04日(金) 19:46

本&映画の紹介

11月も読みまくりました。とは言え、『仁義なきキリスト教史』も含めて小説が6冊と、北海道のは漫画だし、ちょっとお勉強本が少ないことは否めない。それに、自著『ユーザーインタビューの教科書』を再読していろいろ反省したので笑、読書ばっかりしてないで書こう!と少しだけ思いました。

さて今月のおすすめは、しつこいようだけど『仁義なきキリスト教史』と、思わぬうれしい出会いとなりました『粗忽長屋の殺人』です。この著者さんはじめてだし、この本はどちらかという異色の一冊らしいし、お得意なのはミステリーだっていうから、人気シリーズをまとめ買いしたったで。中山七里さんの刑事犬養シリーズが終わったら、速攻で河合莞爾さん祭りスタートの予定です。年末年始はコレだなーワクワク。

あと、子育て中の方には『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法』を。子どものころからメタ認知力を上げることを意識して育てられたら、きっとすごい仕上がりになることでしょう。


読んだ本の数:15
読んだページ数:3329
ナイス数:70

仁義なきキリスト教史仁義なきキリスト教史
『完全教祖マニュアル』からのコレ再読。著者同じ人だった笑。キリスト組が生まれ、ヤクザ教会と極道の伝道師達が暗躍する様を描く前半は歴史の知識もあってスッと入ってくるのだけれど、叙任権のあたりからは再読でも厳しい。ドイツがこれほどキリスト教史に絡んでくるってのがあまり頭になかった。そういえばルターはドイツ人でしたね。「わしゃ何をやっとるんかのう……」なる内省の弁が数え切れないほど登場する十字軍の章は読んでてツライ(笑えもするけど)。争いの種はどこの国でもカネですなー。
読了日:11月01日 著者:架神 恭介

東大名誉教授がおしえる やばい世界史東大名誉教授がおしえる やばい世界史
『やばい日本史』が面白かったので勢いで買ってしまった雑学本。日本史と比べると女性の登場比率が高いのが興味深いところ。男装してまで君臨したハトシェプスト、女王クレオパトラ、猫嫌いの則天武后、夫を倒して皇帝になったエカテリーナ大帝、お庭大好き西太后などトップに君臨して歴史に名を残した女性がこんなにいるのに、日本史のほうは紫式部や清少納言など文化人止まりですものね。とりあえず、偉人は等しく変人であることが世界的に見ても正しいことがわかりました笑。
読了日:11月04日 著者:滝乃 みわこ

騙し絵の牙騙し絵の牙
<大泉洋という俳優をあてがきする新しい小説の形>という変な企画はその後も別の俳優で続いているのかどうか知りませんが、主人公の顔が最初から浮かんでしまうのは個人的にはNGだった。大泉洋が濃すぎるからかもしれんけど。『罪の声』の真実にジワジワと迫っていく緊張感が印象的な作家さんの筆が、大泉洋という一見軽い俳優をあてがきするとこんなにふわふわとゆるい流れになるのかー(ちょっと残念)とか思っていたらエピローグにしっかり重たいのを放ってきてたので読後感は悪くない。本編は長すぎる導入という感じ笑。
読了日:11月07日 著者:塩田 武士

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。
こういうことを本に書ける人が現れたことが、日本社会のまず大切な一歩なのだろうなー。効率よく仕事を片付けて定時で帰ろうとしたら追加の仕事をふられたり、無意味な事務処理に改善提案をしたら「とりあえず今までどおりで」とか言われたり、「後輩に示しがつかない」とかいう理由で休みを取れなかったり、どれもこれもが通った道だった笑。そして、会社員は向かない!と自覚してフリーランスになってやったぜ、それがかれこれ17年前。この17年で会社員の置かれた状況あんまり変わってないみたいですね。早めに見切りをつけたの正解だった。
読了日:11月08日 著者:日野 瑛太郎

マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書マーケティング/商品企画のための ユーザーインタビューの教科書
再読して、書き足りていないことが山盛りだということに気づく。特に目的設定と分析報告のところはペラペラなのでかなりの補充が必要。実施のところも、挨拶でラポールつくれなかったら? ラポール崩れないようにするには? もし崩しちゃったら? 誘導しないようにってどうするの? 深堀りってどこまですれば良いの? 上手になるには場数を踏むしかないの? などなど読者からの質問があれこれ聞こえてくる……ような気がして震えた笑。「人間中心設計のプロセスを回して改善していく」って著者あとがきに書いてあるし、そろそろ動くか。
読了日:11月13日 著者:奥泉 直子,山崎 真湖人,三澤 直加,古田 一義,伊藤 英明

Mina Första FåglarMina Första Fåglar
スウェーデンの自然を子どもたちに教えるために書かれた絵本シリーズの鳥編。我が家の庭にやってくるウソ、シジュウカラ、クロウタドリなどがバッチリ登場しました。鶴やカンムリカイツブリ、ズアオアトリなどの渡り鳥は春まで会えないだろうけど、ゴジュウカラやカワセミ、アカゲラあたりに会うチャンスはあるかもしれない。森へジョギングに行ったついでにバードウォッチングもできるよう、まずはメガネを買おうか笑。
読了日:11月13日 著者:Emma Jansson

北海道民のオキテ北海道民のオキテ
「おはようございました」の用法を確認したくて笑、本棚の奥から引っ張り出してきて再読。横にいた旦那にも勢いで読ませてみたら、エバラ黄金の味を食べたことないとか、日本一きびだんごを知らないとか、イモ餅を食わせろとか、彼も再読のはずなのに新しい発見が目白押しでした。そして、北海道とスウェーデンがやっぱりそっくりだということも再確認。日本に帰任して、スウェーデンの暮らしが恋しくなったら北海道へ行けば良いだけっぽいぞ。さて、どうでしょうでも見るかな笑。
読了日:11月14日 著者:たいら さおり

ファーウェイと米中5G戦争ファーウェイと米中5G戦争
本書を読むかぎり、アメリカのほうがよっぽど真っ黒なのだが、やはりどこかで中国を信用しきれない自分もいて、そしてそれは多くの国(特にヨーロッパ)に共通の感覚なのではないだろうか? 5Gをはじめとするいろんなことで後手後手に回り、すでに追いつけないどころか相手にもされていない日本の未来はかなり厳しいということを再確認しただけの気がする。出版後1年と少しのうちに、世界中がコロナ禍に戦慄し、香港問題に世界が注目し、大統領選挙でいよいよトランプが破れてといろいろありましたが、ファーウェイ問題は動くのでしょうか?
読了日:11月15日 著者:近藤大介

粗忽長屋の殺人粗忽長屋の殺人
こりゃ、てえへんだ!こんな面白い本に今まで気づかなかったなんて!『危険な読書』からの抜粋11冊目。河合莞爾さんの著作もお初です。古典落語に隠れている奇妙な事件を長屋のご隠居が華麗に解いていく展開。植木屋の熊さんや大工の八っつぁんらとの軽妙なやり取りの中に、現代風ダジャレが山盛りで笑いが止まりません。特に、ハレハレのヒラヒラじゃなくて、モハメド・アリではもちろんなくて、八っつぁんの中で最終的に「アリババの股ぐら」と記憶されるのは歌人、在原業平でありましたってな具合です。河合莞爾祭り、近々開幕決定しました。
読了日:11月17日 著者:河合 莞爾

図説 地図とあらすじでわかる!聖書図説 地図とあらすじでわかる!聖書
『仁義なきキリスト教史』からのコレ。前半の旧約聖書の解説がありがたい。イエス誕生以前から物語(というか歴史?!)は続いているわけで、そこを飛ばして処女マリアからイエスが生まれましたってところからだけじゃなんかちがう。で、マリアには婚約者がいたんですよね。それなのに「神の子です」とか言われてよく信じたな笑。そして何よりも、人類が紀元前からずーっと争い続けている事実を突きつけられて滅入る。物語の舞台である中東の地へ呑気に観光に行ける平和な日は果たして来るのだろうか?(その前にコロナなんとかしてくれ神よ)
読了日:11月18日 著者:

ドッグレースドッグレース
娘からの尊敬や信頼をキープするために冤罪くらいどうってことないとか考えてる刑事砂川はクズ中のクズだな……と思っていたら、矢能がきっちり片づけてくれた。しかもかなりかっこよく。それにしてもこのシリーズに出てくる刑事は全員ダメなヤツだな。ヤクザもんのほうがまだ信頼できる。河村から受け取った「友情の証」をきっと矢能はきっちり覚えているし、著者もぜったい忘れない。ってか、コンタクト方法しっかり言い残していったしな、河村。二人が再会する日が今から楽しみ。美容室のおねえさんと矢能の色恋も。
読了日:11月20日 著者:木内 一裕

Made in Sweden: 25 Ideas That Created A CountryMade in Sweden: 25 Ideas That Created A Country
宣言どおりの再読。改めてとても勉強になりました。著者はハンガリーとイギリスのハーフ。スウェーデン人ではないからこそ客観的に、スウェーデンやスウェーデン人の良いところも悪い面も書けてる。IKEAの創業者とヒトラーやナチスとの関係、第二次大戦のときの国の立ち振る舞い、女性を虐げていた過去、衛生管理に対する意識改革を狙って家で靴を脱ぐ習慣を国が意図的にもたらした事実、マイナンバー制が徴兵から逃れようとする男子を捕まえるために始まったことなど、きっとスウェーデン人自身も知らないことが詰まっているにちがいない。
読了日:11月23日 著者:Elisabeth Åsbrink

切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人
刑事犬養隼人シリーズを大人買いしたので祭りスタート。事件の凄惨さと社会問題に対する問いかけはカエル男に共通するけれど、コイツが犯人だろうな…と思わせる伏線がカエル男よりわかりやすすぎはしないか?と思いながらやっぱりなオジサンが捕まってしまったー、なんか物足りないぞ……からのひっくり返しにはビツクリしたなーもう笑。それにしても、犬養の相棒となった古手川くんはカエル男でボッコボコにされてた彼ではないかー。犬養の相棒としては良い仕事してました。中山七里さんのシリーズ跨いで登場人物を被せてくるところ結構好き。
読了日:11月24日 著者:中山 七里

メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法
効率よく確実に学びを深めていくためにメタ認知がどれほど大切な役割を果たすかを教えてくれる一冊です。子どもの学習過程をターゲットに書かれていますが、大人の学びにもおおいに役立つ内容。ユーザー調査という文脈に落とし込んで、事例を織り交ぜ、わかりやすく腹落ちするように解説できるようになりたい。そのためには自分なりの外化をくり返してメタ認知的知識を拡充しつつ、メタ認知的活動を適切なタイミングで機能させるためのメタメタ認知を増強して……ってことで、勉強すること盛りだくさんだということを自覚しました。
読了日:11月27日 著者:三宮 真智子

七色の毒 刑事犬養隼人七色の毒 刑事犬養隼人
それにしても短編でここまでひっくり返し続けられるのがスゴイ。しかも、日本社会に蔓延る問題の数々が次から次へと出てくる。公害、危険運転、いじめ、出版業界の闇に結婚詐欺、老々介護に生活保護、幼児虐待、企業の資産隠しをはじめとする隠ぺい体質とそれを許す国の仕組み。表面化してからでは遅い根の深い問題ばかり。苦しむ人たちの傍で善人の仮面をかぶって殺人教唆をもくろむ人が本書に登場するくらいの割合でいるとしたら、まったく油断できない。同じくらいの割合で犬養のような刑事がいてくれないと困るよホント。
読了日:11月29日 著者:中山 七里