自然享受権と犬
2020年06月16日(火) 16:38
UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, Skåne, サインやUIの話, スウェーデン, マチとヒトの観察- RIGHT OF PUBLIC ACCESS FOR DOG OWNERS
- Swedes love dogs. And a Swedish proud, Allemansrätten, the right of public access, has clear rules for dog owners who want to enjoy being in the nature with their dogs. It's also well considered to prohibit bringing dogs to the beach when people become crazy about sun bathing and swimming. At the same time, Malmö municipality offers a spacious enough area for dogs to run and swim freely as long as they behave.
スウェーデンの人たちは犬が大好きです。ご近所も森も、犬を連れた人だらけ。犬を飼うのが人生の目標のひとつと言っても良いくらい(だと多くの本に書いてありました)。
スウェーデンでは「だれもが自由に自然を享受する権利を有する」とされています。Allemansrätten(英語では“The right of public access”、日本語では“自然享受権”と訳されます)と呼ばれ、憲法で守られています。
誰かが所有する土地だとしても、許可を得れば一晩キャンプをすることが許されます。でも、いきなりドアをノックして「お宅の裏の庭でキャンプして良いっすか?」なんて社交をするスウェーデン人はいないはずなので、明らかな私有地で自由にキャンプというのは考えにくいとは思います。所有者がぼんやりしている森や湖畔なんかは、他人や環境に迷惑をかけなければ自由に過ごして良しとされているので、たまに「こんなところで?」と思うような場所にテントを張っている人は見かけます。
犬の話に戻りますが、とうぜん愛犬と一緒に自然を享受しようとする人は多いわけで、スウェーデン自然保護庁が自然享受権についてまとめているWebサイトにも「犬」のページがあるくらいです。ざっと次のようなことが書かれています。
- 3月1日から8月20日までの期間、犬が危害を加える可能性のある動物がいる区域ではリードなしで犬を連れ歩くことを禁ずる(鳥の雛などに害を及ぼすことを防ぐのが目的)
- 期間に関係なく、犬は常に飼い主のコントロール下になければならない(狩猟解禁期間は犬が撃たれる危険性もあることを認識すべし)
- 国立公園ではリードなしでの侵入を禁ずる(場所によっては犬を全面的に禁止している場合もある)
- 自然保護区等ではエリア管理者や地方自治体の指示に従うべし
- 犬がもたらした危害はすべて飼い主の責任とする
人生の目標を達成すべく犬を飼う場合は、法律や条例をきっちり勉強し、責任を持って飼育者となるべし!ということがまあまあ厳しく書いてあります。
一方で、お犬様と一緒に日光浴や海水浴を楽しみたくないという人もいるわけで、短い夏の間の日光浴を生きる糧とするスウェーデン人のために、夏の間は犬を水べりに連れていくことを禁止しているところもあります。バルト海に面した国立公園 Stenshuvud の海水浴場は6/1~8/31まで[1]、LundとMalmöの中間あたりにある高級住宅街Lomma(ロンマ)の海水浴場は5/1~8/31まで[2]、そして、Malmöの海水浴場は3/15~9/15まで[3]だそうです。なんか、期間がぜんぜんちがうのがおもしろい。それほど気候は違わないはずだけど、人出の差かな?
犬をこよなく愛する人たちが多いとは言え、やっぱり人間様が優先されるのか……と思っていましたが、「好きなだけ犬を遊ばせてあげなさい!」というエリアもあるのを発見しました↓。
このエリアは、犬が良い子でいられるならリードから解き放して、思いっきり走らせたり、泳がせたりしてあげてOK。しかも一年中だそうです。せせこましく囲まれたドッグランではなくて、このあたり一帯でどうぞ!って感じが良く言えばおおらか、悪く言えば適当です。Malmö以外では今のところ見たことないですが、こうして犬も思いっきり楽しめる場所があるのはステキなことですね。犬がイヤな人はこの場所を避ければ良いわけですし。