2018年11月の読書記録

2018年12月11日(火) 01:10

本&映画の紹介

前回の一時帰国で買ってきた本が6冊というのは、また一時帰国して買い足す理由が必要だったから笑。スウェーデンに来てから、積読本がなかなかの勢いで減っていくのが快感である。でも、つい楽しめる本ばかりになってしまっていることに後半気づいて、仕事関連勉強本をぎりぎり放り込む流れ。『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』にならってお料理がんばる…というか、がんばらずに作れるようになりたい!と、本気で思ったことを記して自分を追い込む作戦スタートです。小説は『蜜蜂と遠雷』がずば抜けて素晴らしかった。ピアノももう少し弾くことにしよう。

 

読んだ本の数:11
読んだページ数:3142
ナイス数:172



空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)
「今思い起こすと、私が書きたかったのは自分自身のひとりよがりな物語だった」とご自分で回顧しておられましたが、途中まで読んでいて思ったことはまさにそれ笑。自分に酔ってるなー、この人って思いつつ、ツアンポーで命を落とした武井さんの冒険物語のほうがドキドキ感ハンパなくて、あれ?誰の物語だ?とか思った。とは言え、この人も物書きとしてスゴイし、細部に至るまでどうやって記録してきて書き起こしたのかとか妙に気になるけど、大事なのはぜんぜんそこじゃない。無許可で行ってしまうというところが何よりも命がけの冒険であった。
読了日:11月02日 著者:角幡 唯介


この椅子が一番!: 椅子に関わる専門家100人が本音で選んだシーン別ベストな椅子とは…この椅子が一番!: 椅子に関わる専門家100人が本音で選んだシーン別ベストな椅子とは…
スウェーデンでの生活をより豊かなものにするために、椅子まさに探しているのですわ。で、参考になるかと思って読んだけど、有名どころの超高級椅子ばっかりで買う勇気を出せそうにないものばっか。同じ椅子が何度も出てくるところを見ると、アンケートの設計がいまいちだったのではないかと職業病も疼く。そして旦那と意見があったのは、トヨさんの椅子、スポークチェア、riku、BLITZと、ぜんぶ日本人デザイナーによるものだという落ち。つまり、あまり参考になりませんでした。
読了日:11月03日 著者:西川 栄明


海の見える理髪店海の見える理髪店
表題作は、途中でわかっちゃったけど、それでも素敵な親子の物語を読ませてもらったと思えた。「いつか来た道」は心がざわついた。あまり好きじゃない。「遠くから来た手紙」はもっと好きじゃない。そんなにすんなり受け入れられない。「空は今日もスカイ」は悲しくなった。その人、悪くない。「時のない時計」の時計屋のおやじは気に入らない。でも“私”がいい気分でお店を出られてすっきりした。そして最後の「成人式」がダントツで良い。子どもを亡くした夫婦がその事実をついに受け止めて、二人で支えあいながら前へ進むための成人式。
読了日:11月04日 著者:荻原 浩


生きていてもいいかしら日記生きていてもいいかしら日記
時おり登場する家族の会話が北海道弁丸出しで、まるで我が家の会話を読んでいるようでして、父ちゃんマジおもしろいけど、この娘にうるさく言わない親でいられているところがスゴイよ。いや、書いてないだけかもしれんけど。とりあえずペンネームの由来とかも含めて大爆笑でしたわ。実は知り合いなんじゃないか?とか思うくらいに親近感わいたけど、はやいとこ東京に出て良かったな、わたし……と、自分をほめたくもなった。いやしかし、わたしも昼酒大好きです。
読了日:11月05日 著者:北大路 公子


「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。
「女の子なんだから」に反発を覚えて夢中で女子の輪から抜け出そうとしてみたり、一方で「女の子だから」に寄りかかって役得をねらったり、そういう子ども時代だったと記憶してる。あの頃(言いたくないが30年くらい前…かな)に比べれば発言しやすくも、闘いやすくもなったのだろうと思うし、むしろ男子のほうにも言いたいコトはたくさんあろうと思う。でもやっぱり、性暴力に関してはどうしても女子が弱い。ステレオタイプな見方や物言いは減ってないんだろうな。勇気を出して発信する人が増えてきていることが救いってのもおかしいな話だ。
読了日:11月08日 著者:小川たまか


蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷
曲のタイトルを聞いてメロディが浮かぶほども音楽を知らないのに、文字を追っていくと曲が聞こえてくるような錯覚すらおぼえた。さらに、その曲を弾いている奏者や聞いている聴衆の頭の中に描かれている風景すらも見えているような幸せな勘違いを終始楽しみながらすごい勢いでの読了です。若き天才たちは分刻みで成長していくのだな。天才であることに甘えず努力を続け、葛藤し、競う相手の才能を借りてさらに一段あがり、エンドレスにその繰り返し。天才に生まれなくてよかった。聴衆側が程よいわ笑。


読了日:11月15日 著者:恩田 陸
緑のアイデア緑のアイデア
後半のチェルシーフラワーショーの話は正直おもしろくなかった。西欧と日本では植物との接し方は違って当たり前だろうし、だからこそ「ラブリーさが足りない」とか「外からよく見えない」とかいう理由でシルバーメダルに甘んじる結果になる。それでもゴールドを取りたいからって、西欧の好みに寄せていった結果の庭にしか見えなかった。その土地の木々や花々が一番と言いつつ、コケはノルウェー産なんだ…とか細かいツッコミどころもあるし笑。でも、前半の植物との接し方や屋内に緑を取り込むコツはとっても参考になったのでいくつか挑戦してみる。
読了日:11月17日 著者:石原和幸


レシピを見ないで作れるようになりましょう。レシピを見ないで作れるようになりましょう。
スウェーデンに住んでいるので手に入る野菜が少なかったり、お魚とかはぜんぜん手に入らないし、魚焼きグリルもないので、すべてをすぐに参考にできるわけではないけれど、お野菜の下準備や火の通し方、いろいろなお料理の味付け方、ひとつずつ身につけていきたいと心から思いました。それに、お料理のような「手続き記憶」を言葉にして他者に伝えるのはとてもむずかしいはずなのに、それを容易く、美しく達成していて大感心。そういう意味でも勉強になる本でした。連続して二回読んだので2冊にカウントしたいくらい笑。
読了日:11月20日 著者:有元 葉子


ラプラスの魔女ラプラスの魔女
青江が甘粕才生のブログを読むくだりがやけに丁寧で長いからなんかあるな…とか思ってしまった。どうもこの著者の物語は伏線を拾いやすいところが残念。と、他の本を読んだときにも書いた気がする。そのあたりが逆に映画化ドラマ化しやすかったりするんだろうな…、と物語とは違うところに引っかかりまくり。映画のキャストを知ってしまったのも読書の邪魔になったな。物語としては、程よいスピード感で娯楽としては上々でした。
読了日:11月22日 著者:東野 圭吾


本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録
松本がとてもよい町だということがわかった(なんのこっちゃ笑)。荻窪界隈はすこし因縁があってあまり近づきたくないエリアなのだけど、今度わざわざ行ってみようかな、Title。本屋にくる客のことを丁寧にさりげなく観察していることを知っていて、観察されに行くというのはちょっと気持ち悪いけど笑、ま、そこはお互い様なので。最近、本屋という場所や仕事を紹介する本がとても増えていて、読者としてはそれがとても楽しい。Titleがどんな本屋本を置いているのかも気になるし。それにしても、本屋というビジネスはやっぱり大変そう。
読了日:11月24日 著者:辻山 良雄


ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論
物語仕立てとは…、と最初とても驚いたけれど、よくよく考えてみたらUXやらサービスやらをデザインするときにストーリーテリングを使うことは多いし、それができるということは、同じようにプロセスを物語として伝えることもこの著者にとってはさほどの苦労ではないに違いない、と。一人じゃ無理でも仲間がいれば頑張れるかもよ、会社の外にメンターを作るといいよ、日本企業だとやっぱりトップダウンも大事、ポンコツ中間管理職との攻防は避けて通れない、みたいなあるあるの連続でした。会社員じゃないから実は知らんけど笑。
読了日:11月25日 著者:松波 晴人