2018年7月の読書記録

2018年08月08日(水) 16:47

本&映画の紹介

出発前の予習本としての最後を飾った『The Almost Nearly Perfect People』はすごく勉強になる本でしたが、なにせボリュームがすごいのと、読み始めてから翻訳が出ていることに気付いてスピードダウンしてしまった笑。スウェーデンに来てから、Anita Shenoiさんという人が書いた『Spectacular Sweden』と『Sweden — Just amazing』という本も読んだから本当は12冊なのよ。どちらも美しい写真がならぶ眺めるだけで楽しい本ですが、とくに後者は、スウェーデンが世界に発信してきたイノベーションの数々を、それらを生み出した街や地域の特色とともに紹介してくれていて勉強にもなります。スウェーデンと言えばVOLVOかIKEAしか思い浮かばないという人(わたしとか…笑)にとっては、あれもこれもそれもスウェーデン生まれでしたか、へぇーってなる良本です。

読んだ本の数:10
読んだページ数:2359
ナイス数:75


磯野家の危機磯野家の危機
福岡天浪院にて気になっていた本書を発見。読み始めて波平さんの出身が福岡だったということを知る。なんというご縁。たまにアニメで見る程度だったサザエさん。原著を丹念に読み込むと当時の世相が分かるのはもちろん、現代とのギャップもいろいろな意味で勉強になる、らしい。けどそんな時間ないわぃという私は、東京サザエさん学会(そんな学会があったとは…)の皆さんがまとめてくれた本書を読んで、さくっと勉強です。まさか、サザエさんが昭和27年の段階で株投資を始めていたとはね…。おサイフ忘れても株は読めるとは、お見逸れしました。
読了日:07月03日 著者:東京サザエさん学会


「上から目線」の構造<完全版> (日経ビジネス人文庫)「上から目線」の構造<完全版> (日経ビジネス人文庫)
日本には「人」=「人間関係」という受け止め方があると言われて、これをすんなり受け入れられるってことは思いっきり日本人だということなんだな。日本には過敏型の自己愛や対人恐怖が多いこと、相手任せのマゾヒズム的な自己愛の満たし方が多いことなど、すべては個としての独立した存在以上に、相手あっての自分なのだと。母性原理と父性原理を分けて考える最終章もなるほど…と納得する部分が多いぞ、とさんざん頷きながら読みつつ結局「上から目線」の構造は何なんでしたっけ?という感じでそのうち要再読。
読了日:07月08日 著者:榎本 博明


The Almost Nearly Perfect People: Behind the Myth of the Scandinavian UtopiaThe Almost Nearly Perfect People: Behind the Myth of the Scandinavian Utopia
予習⑪ – デンマーク人が直接間接に支払う税金は58~72%にもなり、私企業に勤めていても毎週木曜の朝くらいまではお国のために働いているといって良かろう。みたいな英国人らしい皮肉った物言いが頻出。フィンランド人から見たら、デンマーク人なんて家具を選ぶセンスの良いドイツ人に相違ないとか。スウェーデン人喋らなくて何考えてるかわからんとか。ノルウェーはオイルマネーのおかげで人口の一極集中をなんとか食い止めている、みたいな大真面目な話のほうが多いけども、とにかく、北欧を一括りに考えてはダメってことが分かりました。
読了日:07月12日 著者:Michael Booth


水が流れている―屋久島のいのちの森から水が流れている―屋久島のいのちの森から
今夏、もしまだ日本にいる羽目になったら、ながらく行きそびれてきた屋久島へ向かおうと思っていた。ところが一転、スウェーデンから滞在許可がおりたとの知らせ。屋久島との縁がまた遠のいた。<直進してやまない文明の時間>が流れる東京からスウェーデンへの引越しは、<永劫に回帰する文化の時間>が流れる森の中の谷川のほとりに暮らす著者の屋久島での時間感覚に近い何かを感じさせてもらえるものになるのではないか…と、期待に胸を膨らませています。出立まであと5日。
読了日:07月18日 著者:山尾 三省,山下 大明


教誨師 (講談社文庫)教誨師 (講談社文庫)
二十代にして教誨師としての役割を引き受けた渡邊普相という人の語りにもとづくノンフィクション。広島に原爆が落ちたその場に居合わせた若き日、自らもアルコール依存症と闘うことになる壮年、教誨師としての仕事やそれに対する想いを語り継ぐことを選んだ晩年、彼が向き合ってきた重苦しい人生が著者の丁寧な筆致で綴られています。高野和明さんの『十三階段』を読んだときにも思ったけれど、死刑は、執行する側の人たちのためにやはり廃止すべきだと思う。死刑に関わるという任務はあまりにも辛い。しかしそれも第三者だから言えることか…。
読了日:07月18日 著者:堀川 惠子


僕の姉ちゃん (幻冬舎文庫)僕の姉ちゃん (幻冬舎文庫)
まず『ブラジャー』で爆笑した。姉ちゃん結構ズボラなのに、ブラジャー手洗いしてるなんていきなり負けた(そして今、何かがバレた笑)。「アクセント? 人生の」なるフレーズも最高だった。そういうアクセントは大切だ。弟のことをよくわかっている姉ちゃんと、姉ちゃん観察に余念のない弟の遠慮のいらない対話が軽妙であったかくて、わたしも弟との二人暮らしをしてみたくなった。ウソ。もうオッサンだからしたくない。わたしもオバサンだけど。
読了日:07月21日 著者:益田 ミリ


自殺うさぎの本自殺うさぎの本
シリーズ3冊一気読み。でも1冊ですら「読んだ」とすることに抵抗を感じるので、登録はこの1冊にしておこう。死ねそうな方法と苦しいだけで死ねそうにない方法といろいろだった。疲れて死にたくなったときにボケっと読んだら、死のうとすることがアホくさくなって思いとどまれるという副作用の期待できるくだらない絵物語でしたとさ。
読了日:07月22日 著者:アンディ ライリー


とりつくしま (ちくま文庫)とりつくしま (ちくま文庫)
自分の死を、残された人たちがどう受け止め、乗り込えていくのかを知りたいと思う気持ちは誰にでもあるのかもしれない。特に病や突然の事故でこの世を去れば、そんな気持ちはより大きくなるのかな…。とりつくことができるのはあくまでもモノなので、捨てられたり、壊れたり、ロージンのように飛び散ったりして、いつか必ずお別れのときがくる。そのときまでのほんの時間稼ぎ、自分の死を受け入れるための猶予をくれるという係の方のお取り計らいですよ。もし私がとりつくしま係さんにお会いしたら、旦那の宝物のアレにとりつくんだー。アレ。
読了日:07月22日 著者:東 直子


ジャンプ (光文社文庫)ジャンプ (光文社文庫)
あんな形で姿を消されれば、それは気になる。愛の多寡にはたぶん関係ない。むしろ、そうして置いてきぼりにされた事実を受けとめられない男がいて、そこを乗り切るためには事実を突き止めるべく奔走するしかない。結果的に妻となり、母となったフルーツパーラーの彼女と彼の、二人して大きな隠し事を隠し通さなければならない残りの人生が辛そう。消えた彼女の潔さは確かに素敵だけど、でも、ああいう形で消えることで恨みを晴らしたとも言えるわけで実は意地悪なのではないか?とも思う。いずれにしろストーリーに絡めとられて機内一気読みでした。
読了日:07月23日 著者:佐藤 正午


「今」こそ見るべき海外ドラマ (星海社新書)「今」こそ見るべき海外ドラマ (星海社新書)
2年前の刊行か…。すでに古かったな、情報が笑。とりあえずマッチング表の結果に素直に従って、『SHERLOCK』は見ることにしよう。あとはやはり『HOUSE OF CARDS』か。とか言いつつ、スウェーデンに来てからまだ一度もテレビの電源を入れていないという…笑。たとえ言葉がわからなくても、雰囲気とか、CMとか、そういうのを体験するのが大事だとは思うので、近々かならず電源いれます。スウェーデンのドラマを見られるようになる日は来ないだろうけど。そしてぜんぜん書評になってない笑。
読了日:07月24日 著者:池田 敏