人生初のロストバッゲージ

2018年03月28日(水) 14:20

UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, サインやUIの話, スウェーデン, リサーチャーの知恵袋
FIRST TIME LOST BAGGAGE
Our suitcases didn’t come out on the turntable at the Copenhagen airport, what a shock! Because it was the 3rd time for my husband (1st time for me), he was able to take an ideal action, and we were soon ready to leave the airport though. The tracking system, World Tracer, was useful to learn the fact that somebody is trying to find them on behalf of us, but not useful enough to know the ongoing situation because of the bad usability. In addition to correcting the usability, it would be really nice if all passengers have an access to the system right after we check the baggage at the check-in counter. This would allow us to know if they have come with us on the same flight, if they were able to transit with us, and if we should expect them to come out on the turntable. Is there any dirt not to provide such a great UX beyond usability?

19歳のときに一人で英国旅行をしたときからこれまで、数々の航空会社の数えきれない便の国際線フライトに乗ってきましたが、ただの一度もロストバッゲージという悲劇に見舞われたことはありませんでした。出てこないな~と思っていたら、隣のターンテーブルで回ってたとかいう笑える経験はありますが、ロストは無しです。

で、このたび、JAL から FINNAIR に乗り継いで Copenhagen まで行った先でのロスト…。なんと幸先の悪い……。しかしこんなことでめげてはいられないのは、ロスト経験三度目を誇る旦那です。急いで行動を起こして挽回しておかないと、なんの因果もないのに俺のせいにされてしまう…とでも思ったのでしょうか、素晴らしい行動力でした。おかげで早々にロスト認定されまして、ホテルまで届けます!と一筆された書類をもらって、身軽に空港を後にしましたとさ。

それにしても、機内アメニティを持ってきておいて良かった。おかげで歯ブラシにはありつきました。しかし夜は、下着で寝るしかありません。ホテルに着いたのは20時を回っていましたから、ホテルから目と鼻の先にあるH&Mでパジャマを買うこともできず。とりあえず、布団をもう一枚もらってこようぜー笑。

翌朝、過去のロスト経験を生かして、旦那が手荷物追跡システム(World Tracer)にて状況確認をしてみましたところ、我々の荷物は “Delivery process initiated” という状況らしいことがわかり、これは“すでにホテルに向けてのデリバリーが始まった”ということだろうと、意外とすんなり届きそうだね、とホッと胸を撫で下ろしつつ、なんとなく信用しきれないので笑、念のためH&Mで下着類とパジャマになりそうなものを確保してみた。なぜ信用しきれないのかというと、追跡システムのユーザビリティが低いから。

[1] ロスト認定書類 [2] 手荷物検索サービス画面 [3] 検索結果の意味解説

追跡システムに記載される荷物の“検索結果”は次の5段階らしいことをJALのサイトにて突き止めました。追跡システム自体には明記がなくて、まずそこ直してほしい。

——
①TRACING CONTINUES. PLEASE CHECK BACK LATER.
引き続きお手荷物を捜索しております。

②ITEM LOCATED. AIRLINE IS CONFIRMING.
お客さまのお手荷物と思われるものがございます。現在、弊社にて確認しております。

③RECEIVED AT AIRPORT.
お手荷物はお申し出いただいた空港に到着しています。

④DELIVERY PROCESS INITIATED.
配送手続きを行っております。

⑤RECEIVED AT AIRPORT / DELIVERY PROCESS INITIATED.
お手荷物はお申し出いただいた空港に到着しており、配送手続きを行っております。
——

“Status/検索結果”欄には上記のいずれかの文面(英語)が常に記されていることになるわけですが、その経過が見られないのも問題。ロストの申し出をして、この追跡システムに登録した時点で即座に状況確認を始めれば、①だったものが、②に変わり、③になったところでホッと胸を撫で下ろすのでしょう。コペンに来るはずの荷物が間違えてスペインに行っちゃったとか、そういう悲し過ぎる状況ではなくて、少なくとも自分が降り立った空港までは荷物も来てくれたことを確認できるから。そのうえで④の “Delivery process initiated” を見れば、「もうホテルに向かってるってよ!」とさらに喜び度がアップして、H&Mで念のために下着を買うという予備的な行動も取らずに済んだはずです。しかし我々がこのシステムではじめて状況を確認したときにはすでに④の表示だったので、ん?と思ってしまった。“Delivery process” というのが、どこからどこまでの“Delivery”を指しているのかが文面のみからははっきりしないからです。おまけに⑤のステータスがあることも戸惑いの要因になりました。これは明らかに③と④の合体版です。なぜコレが必要なのか? これがあるおかげで、理解が難しくなってしまっている。と思う。

そんな細かいところを直して欲しいと思いつつ、できることなら、この追跡システムをもっと早い段階で乗客と共有できないものか…と、ぼんやり思ったりして。空港でスーツケースを受け取れないのは本当に困りもので、そうなってしまったときにこうして追跡できるようになっているだけで昔に比べれば相当の進歩なのだと思うし、そもそも誰かが確かに探してくれているということを知れるだけですごい安心感。けれど、手荷物を預けた段階で自動的にシステムへの登録が済み、ターンテーブルで出てくるのを待っている間にも追跡できるようになっていれば、もしかしたら出てこないかもしれない荷物を乗客最後の一人(ちかく)になるまでドキドキしながら待ち、やっと諦めてクレームカウンターまで行くという悲しい時間を過ごさなくて済みます。ロスト認定を受けるまでのロスタイムと緊張感も補償しろと言いたくなってくる。

この仕組みを導入すれば、責任の所在も明確になるんじゃないかな? そもそも出発地で積み込むときにやっちゃったのか、乗り継ぎで間に合わなかったのか、到着地で失敗したのか、といったあたりが。この責任の所在を敢えてボンヤリさせておきたい…という裏の事情があったりするのでしょうかねぇ…。