2017年8月の読書記録

2017年10月02日(月) 15:56

本&映画の紹介

8月分の読書記録をあげ損ねたまま10月になってしまって、読書メーターさんからのコピペができなかった…ので、表紙画像なしのテキストオンリーですが、今さらの8月分。夏の北海道旅行の途中でお邪魔したいわた書店にて買ってきた本を読むのに夢中な後半。5/12冊まで読み終えて一番のヒットは『イモータル』かな。小難しいので、小説読み慣れていない人にはオススメできないけども。もう少し気楽に小説を楽しみたい人には『田村はまだか』、史実と照らし合わせてドキドキしたい人には『罪の声』といったところ。『教養としての社会保障』は、ほんと教養としてのおさらいにとても役立つ一冊かと。


教養としての社会保障
とても勉強になりました。スウェーデンお手本として登場すること多いですが、医療の待機問題は解決に向かっているのですかねぇ?関係ないけどなんとなく不安。国土交通白書から引用されている人口規模別サービス図がとても面白い。面白がってる場合じゃないけど。平均寿命の伸長に見合った現役期間の延長、年金保険料支払期間の延長が必要。そうですね。働けるうちは働いて、年金の受給開始年齢を先送りして、働けなくなってから受け取る額を増やす。まさかの長生きに備えるのが年金、と。すっきり理解できました。でも財産課税の復活はイヤです。
読了日:08月02日 著者:香取 照幸

デザインの次に来るもの
もう流行り言葉は要らないなぁ~、なんてぼんやりと思っている今日この頃ですが、“意味のイノベーション”は無理して流行りそうな表現をあてた感じがしなくていい感じですね。“意味は同じモノやコトでも人々の生活様式や文脈によって変わってきます”し、解釈の仕方も人それぞれだったり文脈次第だったり、そんなあたりを感度高く拾ったり掘ったりひっくり返したりしていくことで何か見つかるといいですね。ま、今までもできる人や会社はやってきたアプローチなのではないかと思いますが。
読了日:08月05日 著者:安西 洋之,八重樫 文

メタ思考トレーニング (PHPビジネス新書)
メタ認知を上げるためのトレーニング方法を具体的に教えてくれる教科書的な一冊です。反射的にアクションを起こすのではなく、立ち止まり、メタに考えを巡らせて、上位にある目的を捉えてから次の一手を考える思考の習慣を身につけましょう!という問いかけと実践するためのお題を提供してくれています。思考や行動に幅や奥行きが足りないことを自覚できている人にはきっと参考になります。自覚できていない人が、これを読んであっさりメタ思考できるようになる…わけではなさそう。自覚が先にないとな…。その自覚がメタ認知なわけで、堂々巡り笑。
読了日:08月06日 著者:細谷 功

日本発「ロボットAI農業」の凄い未来
超高齢化社会への変遷とともに離農する農家が増えるであろうこと、一軒の農家が抱える農地面積が巨大化していくこと、それを支えるためにAIが果たそうとしている役割など、ぼんやりとしか見えていなかった日本の農業の未来がくっきりとした輪郭を持って見えてきました。ビッグデータ分析によって変わる新たな農業経営が日本のあちこちで生まれつつあることを知るのはとても喜ばしいことだけれど、政府やJAの古い体質がそれを阻む方向に強く振れないことを切に願う。
読了日:08月12日 著者:窪田 新之助

田村はまだか (光文社文庫)
【自分で一万円選書①】いわた書店で買っていた1/12冊目。ススキノに集うかつての同級生たち。皆揃って40歳を過ぎ、それぞれが、それぞれに人生を一生懸命生きてきて、そして誰よりも懸命に生きて、一人前になっているであろう田村を皆で待つ。舞台と年齢が絶妙にマッチしてしまって安易にいろいろ共感できてしまったわ。しかし私は同窓会なんて行かないけどね(その前にそもそもお呼びがかからない笑)。そういうわけで、とりあえず、田村はスゴイ。これからも頑張って生きろ!
読了日:08月18日 著者:朝倉 かすみ

慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件 (文春文庫)
【自分で一万円選書②】いわた書店で買っていた2/12冊目。ずっと気になっていた一冊を砂川にて発見。羆に人間の味を覚えさせてはいけない。羆相手だと火煙や灯火は武器にならないこと、“食べかけ”にとんでもなく執着する習性を持っていること、死んだふり(気絶)が功を奏するのは他の獲物(他の人)がいるときだということ、冬眠しない羆もいるということ、そして、羆がそもそも出会っちゃいけない相手だということなど、とりあえず想像するだけで縮み上がる凄惨な事件のルポを通じて、一生、役立てずに終わりたい知識を得ました。
読了日:08月20日 著者:木村 盛武

イモータル (中公文庫)
【自分で一万円選書③】いわた書店で買ってきた3/12冊目。難しいんだけど読める。苦しいのにやめられない。サラリーマンの心を蝕む会社と社会と家庭からインドへ、そしてムガル帝国の内乱と激動のフランス革命とを行ったり来たり。導くのは『智慧の書』。学ぶことをやめず、伝えることを諦めず、不条理な社会のあり様に躓き、悪に直面して涙しながらも果てず、立ち上がり、次の時代へ、世代へ、世界を繋いできてくれた先達に敬意の念を抱きながら、しかしよくわからないままに読了…笑。ほんと難しかった。でも意外にも読めるのでお試しを。
読了日:08月20日 著者:萩 耿介

日本史は逆から学べ (知恵の森文庫)
【自分で一万円選書④】いわた書店で買ってきた4/12冊目。日本史苦手な人です。遡りながら歴史を振り返るとはこれ斬新。前項ですでに語られたことが改めて出てくることになることが多く紙幅の無駄のようにも一瞬感じますが、これが巧妙な復習にもなっていてイイ感じでした。ただ特に後半、室町時代のあたりからかな?!飛び感が大きくなって、あれ?あそこのつながりどうだっけ?と戸惑うところが増えました。欲を言うなら最後にもう一度、昔から現代に至るまでを通常の時系列で総まとめしてくれたらすっきりしたかもです。
読了日:08月26日 著者:河合 敦

アメリカ人はどうしてああなのか (河出文庫)
【自分で一万円選書⑤】いわた書店で買ってきた5/12冊目。2013年に執筆されたものが『アメリカ的、イギリス的』と題して日本で刊行されたのが2014年の春。文庫化の際の改題がトランプ政権誕生を背景に部数を狙っている出版社の思惑ムンムンで軽く抵抗を覚える。そして自分がいかに英語と米語をごちゃ混ぜに使っているかを思い知らされて少したじろぐ。辛辣にまくしたて続けてきた著者が締めに選んだアメリカという国家についての朗報と凶報が予言めいていて本気でコワイです。気楽に手にとってはダメ。タイトルと表紙絵がミスリード。
読了日:08月28日 著者:テリー・イーグルトン

罪の声
事件があった頃、私は小学生だったと思う。人質の一人…という捉え方はマスコミが煽ったもので適当ではないが、なぜか選んではいけないお菓子があるくらいに認識していたという朧げな記憶。はっきり覚えているのは、近所のグ社営業所の前を通ると呪われるとか、死ぬとか、根も葉もない噂が子ども達の間に立ったということかな。本書で描かれているような知らずして巻き込まれていた子どもや情報を知りつつ口をつぐんでいた大人がその後の人生をどう生きたのか、そこはフィクションだと分かっていても止まらなかった。読み応えのある物語でした。
読了日:08月30日 著者:塩田 武士