2017年6月の読書記録
2017年07月14日(金) 16:27
本&映画の紹介そろそろお気づきの方もいるのではないかと思うが、月間目標二桁を月間目標10冊に改めました。なぜなら、11冊目は翌月に回そう…とズルい自分が囁いてきて、その囁きに勝てずに毎月10冊止まりになってるんだもの。
そういうわけで6月も順調に10冊クリアしまして、今年はこれで60冊です。順調順調。5月の小説読書がゼロだった反動で、6月は小説多めになりました。藤井大洋さんの小説は本当に面白いなー。でも『オービタルクラウド』のスケール感と面白さが尋常じゃなかったので、それに比べると劣ります。『君の膵臓をたべたい』からの3冊がキツイ並びでした。私も病んでいたのかもしれない(笑)。
読んだ本の数:10
読んだページ数:3189
ナイス数:96
言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)
“本を読まない人って現実べったりで考えに奥行きがないんだよね”とは米原万里さんのお言葉。それそれ私が言いたかったこと。対談相手のお一人、児玉清さんは“面白い小説は、ある意味においては社会というものを全部すくい上げていますから”とおっしゃった。これは5月に某所で若い人たちに「ノウハウ本なんかよりも小説読みなされ」と言った私の想いと100%重なります。米原さんの本、若い頃にたくさん読みました。捨てられずに取ってあるはずだからまた引っ張り出して読んでみよう。あー、本当にもっと長生きしていただきたかった。
読了日:06月03日 著者:米原 万里
ビッグデータ・コネクト (文春文庫)
往路の機内で一気読み。『オービタルクラウド』には少々見劣りするというのが本音ですが、それでも一気読み。武岱が虎に食われたことにされてしまうとは…なんとも泣けて仕方のない終わり方。彼の名前があまり見かけない漢字だったのは伏線なのか? それにしても劉の悪役感、最初から半端なかっただろ?これはすぐにわかってしまったぞ。我々の個人情報を中国に売るとかあり得んから。そーいえば、オービタルクラウドにも日本人スパイ出てきたな。日本人だからって信用できるとか、日本政府なら安心とか、そういう妄信が危ないという警告か…。
読了日:06月05日 著者:藤井 太洋
アンダーグラウンド・マーケット (朝日文庫)
復路の機内で読了。これまた一気読みなり。舞台は東京オリンピックを2年後に控えた2018年…って、もう来年ですがな。移民が急増して、貧富の差は半端なくなって、裏の経済を支える仮想通貨の隆盛と闇っぷりがリアルにコワイ。とりあえずビットコインとか少し勉強しておかないとマズイような気になってきました。正義は勝ったけど、そのご褒美は仮想通貨であった。若者たちの未来が心配。
読了日:06月10日 著者:藤井太洋
アマゾンと物流大戦争 (NHK出版新書)
もう少し早く読んでおくべきだった一冊。アメリカでのアマゾンの立ち位置、アメリカだからこその事情、一方の日本での競争、怪獣アマゾンに立ち向かう挑戦者たち。ネット通販の今が網羅されているし、オフラインへの視点も抜けてない。自分の足できちんと調査をして書いているようなので信憑性も高いし、説得力がある。ネット通販ちょっとでも関わっている人は読んでおいて損はないでしょう。ほんと、3月に読んでおくべきだった。反省。
読了日:06月13日 著者:角井 亮一
君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
青春です。早すぎる死へと向かう自分の人生を受け入れて、限りある時間を大切に過ごす彼女に突き付けられた別な形の死はあまりにもむごい。違う形で訪れた彼女の死を受け入れるのに時間がかかるのは仕方ないよ。それにしても、出番めっちゃ少ない彼の両親が素敵すぎて、そんな変なところでウルッと来たわ。彼女の親友と、楽しくお墓参り行けるくらいになった彼の青春の続きを応援します。
読了日:06月15日 著者:住野 よる
ケモノの城 (双葉文庫)
あの事件がモチーフになっているとは知らずに読み始め、事件の描写が始まって間もなく、気づく。事件はかなり忠実に転用されていて、つまりかなりグロい。これが本当にあった事件だということを知らずに読めば、おそらく信じられないだろう。いや、知っていて読んでも信じたくないと、普通の神経なら思うはず。フィクションの部分がどう絡んでいくのか、そしてどう終わらせるのかが気になって結局一気読みでした。ちなみに読後感は最悪ですので、グロいのがイヤな人は絶対に手を出してはダメなやつ。
読了日:06月19日 著者:誉田 哲也
でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相 (新潮文庫)
モンスターペアレントというのが実在するということを目の当たりにさせてくれるノンフィクション。巻き込まれた先生は本当に災難でしたが、モンスターの子どもも含め、子ども達の心に刻まれたであろう深い傷も心配です。モンスターの言動は意味不明で悪意にも満ちているように思われるけれど、ここまで行くともう病気なのではないかとすら思う。でも“病気”で片づけられたら、当事者は悔しすぎますしね。難しい問題です。とりあえず一番むかついたのは校長。次に許せないのは教育委員会。
読了日:06月20日 著者:福田 ますみ
自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)
自分が何をわかっていて、何がわからないのかを13歳にして把握している。スゴイ。自分の思考と身体の反応が一致しない現状をぼんやりとではあっても理解し、受け止め、そして伝えようと努力したり、しなかったり(できなかったり、というのが正確かな…)。他者の目に映る自閉症の彼の行動からはまったく想像できない確固たる思考が頭の中にあるということを、自閉症の人たちが伝えたくても伝えられずにきたことを、文字にして伝える術を努力の末に手に入れた著者が教えてくれます。
読了日:06月23日 著者:東田 直樹
ウソはバレる―――「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング
人の購入判断に影響する3つの情報源、P(過去の嗜好、信念、経験)、O(他者や情報サービス)、M(マーケター)がゼロサム・ゲームになるという主張は実にすっきりと、理にかなっているように思う。Oへの依存度が今後も増していくことは必至で、ゆえに曖昧な消費者の嗜好を予測するのではなく、Oをじっくりと観察することが重要になってくる、と。Oへの依存度でインフォーマントを選ぶことがユーザー調査の肝になっていくのかもしれない。ユーザー調査界隈の方は読んでおきたい一冊。
読了日:06月25日 著者:イタマール・サイモンソン,エマニュエル・ローゼン
地震イツモノート (ポプラ文庫)
はやく読まなくちゃと思いつつ、後回しにしていた一冊。かつて辛い想いをした方々が共有してくれた知恵を、いざという時に思い出せる気がしないので、避難備品の袋にこの本も放り込んでおこう。確実に言えるのは、いざという時、私はまったく使い物にならないであろうこと。ビビリだからね、基本。でもこの本を読めば、少し気持ちが落ちついて、「よし、何かしよう」という気になれるのではないかと期待している。まずは自分が無事じゃないとならないのだが、その瞬間にがむしゃらに“生”を掴みにいけるかな?まずはそこが不安だったりもする。
読了日:06月29日 著者:地震イツモプロジェクト