天童木工ショールーム
2016年05月13日(金) 17:05
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 山形, モノ+コトの話TENDO MOKKO: Furniture lovers should have heard of the name of Tendo Mokko, which could have been famous for butterfly stool designed by Sori Yanagi. Tendo Mokko was established in 1940, and produced cartridge boxes ordered by the government. After the war, the founders found it hard to survive, but got through by producing tables for Japanese and chairs for Americans. Tendo furniture mostly made of formed plywood are all really beautiful and durable, and I’m now wondering if I should buy one of the classic designs, the ring stool for my daily use.
天童木工さんの本社ショールームに立ち寄りました。それがすごく楽しかった。普通に生活している分にはなかなか手の届かない、というか手を出そうとすら思わない高級家具がずらりと展示されているのを眺めたり、柳宗理さんのバタフライスツールに代表される歴史に名を刻む名作の試作品を拝んだり、ショールームなので、見るばっかりで終わるの当たり前ですし、それだけでも十分に楽しい時空間でした。そこで幸いにも、とても親切な社員さんに居合わせ、工場見学の前に提供される天童木工の歴史やこだわりの数々をご紹介していただくという幸運。
天童木工の歴史は1940年、大工、建具、指物などの職人さんが集まって組合を組織したのが始まりだそうです。国からの半ば命令で組織して、弾薬箱などの軍需品や“おとり飛行機”の製作などを担うことが求められていたと。腕の良い職人さんたちが集まって、きっと良い仕事をしていたに違いありません。しかし、終戦を迎え、国から入ってくる仕事は幸か不幸か期待できなくなります。そこで当時の創業者たちは知恵を絞りました。焼け野原の東京へちゃぶ台を運んでいって売ることにしたそうです。飛ぶように売れたらしい。次に目を付けたのは、戦後の日本で羽振りの良かったアメリカ人の皆さん。彼らにはちゃぶ台よりも椅子だ!ということで、椅子を皮切りに洋家具にも手を出し始めたというわけです。出来過ぎな響きすらあるストーリーですが、戦後の高度経済成長を支えた世代の時代を見る目と行動力に驚かされる逸話ではありませんかー。
成形合板を作るときのこだわりやコツ、型作りに込められた気合いや隙間を埋めるための職人技の妙、高級車の内装への展開など、歴史と技術を後世に伝えるべく続けられている努力と現状に甘んじることなく高みを目指し続けようとする精神が心に刺さる、そんな素敵な会社でした。
1955年当時の工場長だった加藤徳吉さんデザインの“リング・スツール”が復刻していて、完全に魅了されてしまって、素晴らしいデザインというのは一時の流行で終わらず愛され続けるものなのだな…と感心しながら、買おうかどうしようか迷っている今日この頃。毎朝、お化粧するときに腰掛けるくらいの利用頻度だったら贅沢しちゃっても良いですかねー。