『ウォー・ホース』来日公演

2014年08月16日(土) 16:30

本&映画の紹介, 日本発信四方山話, ヨーロッパ所々方々, 東京, イギリス

WAR HORSE HAS COME ON TOUR TO JAPAN: I picked up “Matilda,” not “War Horse” in London, because I knew it would come on tour to Japan for the first time this summer. The life-size puppet horses were amazingly created one by one, and each horse was puppeteered by 3 professionals really carefully and superbly. The scene that Topthorn dies leaving behind Joey, or another that Albert happens to be reunited with Joey at the front might have been shortened too much, but it could not have been helped because of the difficulty of making it happen in a theater. It is still an amazing and compelling story, and the puppet horses make the play better than the best.

東急シアターオーブで来日公演中の『ウォー・ホース~戦火の馬~』を観てきました。

英国が誇る児童文学作家マイケル・モーパーゴの同名小説が原作で、数年前にはスティーブン・スピルバーグ監督が映画化を果たしています。映画に採用された Joey(ジョーイ)役の馬が本当に美しくて凛々しくて素敵だったらしいのですが(映画は観ていないので噂レベル)、その主役の馬が舞台でどうなるのか…が最大の見所。市場で競り落とされる最初のシーンに登場する Joey はまだ仔馬で、そのパペットの足が関節の動かないただの棒だったのでちょっとビツクリしましたが、成長し、農耕馬としての調教が始まる頃には、それはもう立派すぎるほどのパペット馬になりまして感激です。

パペットを操る方たちのプロっぷりがまたスゴイ。パペット馬は、首から上、前肢、後ろ肢の担当に分かれていて3人で操ります。そして馬が発する声や音もその3人が連携して表現する。嘶きはもちろんのこと、餌を食べるときのちょっとした音も丁寧に表現していてスゴイの一言に尽きました。肢を担当する二人は、息を切らして肩を揺らしたりする馬体の様子も見事に演じます。馬が辛いシーンでは演者も辛い表情。人馬一体とはまさにこのことだ(いや、ちと違う…笑)。Joey と共に戦地で活躍する Topthorn(トップソーン)も同様に3人掛かりで素敵に演じられるのですが、2頭のパペットを見比べると、馬体のデザインがきちんと違ってるからまたしても驚きです。Topthorn のほうが歳をとっていて少し細身。お尻のあたりの膨らみを見比べるとその違いがよく分かります。馬なんか全部一緒…ではなく、一頭一頭を丁寧に作り上げている大道具さんのこだわりとそのプロフェッショナルな仕事ぶりにも感心しきりです。

Topthorn が Joey を残して死んでしまうシーンや愛馬を探しに戦地へ赴いた青年 Albert(アルバート)が遂に Joey と感動の再会を果たすシーンなど、原作に比べると少し深みに欠ける演出はありましたが、舞台化の難しさを考えるならそこは譲らざるを得ないところだったのかもしれません。

 

[1] 舞台『ウォー・ホース』へ [2] JoeyとAlbertのカーテンコール [3] ガチョウのパペットも頑張った

劇中は撮影禁止ですが、最後のカーテンコールで突如撮影許可がおりました。ということで Joey と Albert のツーショット(写真[2])。そして農家の暮らしをイメージさせるのに一役買ってくれた ガチョウ(写真[3])なんかを激写して観劇終了です。ロンドンで観た『Matilda』に続く大満足なのでしたー。