見られているという意識
2013年07月22日(月) 12:15
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 福島, 東京, サインやUIの話, ヒトについて, リサーチャーの知恵袋BEING WATCHED: 1st sign says “Don’t Cross!” which is quite a strong negative order, but wonder how much it works. 2nd handwritten note, found near a visitor center in Oze, asks smokers not to flick a cigarette ash on the ground. What count is the saying “everybody’s watching you” with glistening eyes of cat’s. As is well known, feeling of “being watched” influences human behavior. Now the 3rd one, a granddaughter with teary-eyes looks up and tells to her grandfather (or grandmother) “Don’t Cross, ‘cause it’s dangerous.” This should affect how elderly people thinks and behaves.
近所をジョギングしていて見つけた極めてダイレクトな禁止命令(写真[1])。そう遠くないところに横断歩道はあるのですが、常時、交通量は少なめなため、安全を過信する歩行者の横断が後を絶たないに違いありません。警察の威信を懸けて(というほどではないでしょうけど…)、力強く横断禁止を命令してみましたとさ。さて、効果はいかに?
尾瀬の散策中に休憩をした尾瀬沼ビジターセンターの入口脇に、喫煙者に携帯灰皿の利用をお願いする貼り紙がありました(写真[2])。たばこは吸ってもイイけれど、吸い殻はもちろん灰も地面に落としていくのは御法度ですよ~と警告するとともに、“みんな見てます!”と他者の視線を意識させる一言が記されていました。さらには、ギラリと目を光らせる猫のイラストも添えられています。“見られている”ということを象徴的に意識させることで人間の行動が無意識のうちに影響を受けることは、2006年に発表された論文『Cues of Being Watched Enhance Cooperation in a Real-World Setting (Melissa Bateson, Daniel Nettle, and Gilbert Roberts)』に記されているとおりで、最近ではこの研究結果を知ってか知らずかは分かりませんが、警察車両や防犯ポスターなどに大きな目のイラストが添えられているのをよく見かけるようになりました。尾瀬沼ビジターセンターのスタッフさんも、論文のことを知っていたかどうかはともかく、グッジョブです。
そして最近、近所で見かけて感心したのが3枚目の写真のポスターです(写真[3])。弱者であることをいいことに、というか省みずというか、無理な横断をしがちな高齢者の行動を戒めるために、孫、登場。大人に手を引かれている孫が、手を引いてくれているおじいちゃん(または、おばあちゃん)を見上げて、潤んだ瞳で「あぶないよ」と訴えるという斬新な構図。これはきっと、力いっぱいの禁止命令よりも効果があるに違いありません。いや、あって欲しい。