乗る前にこそ情報提示

2013年01月28日(月) 18:44

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 広島, サインやUIの話, ヒトについて, モノ+コトの話

LOADING ZONE THAN LANDING AREA: When we get on the escalator, we turn our eyes down on the ground to watch our step. As we focus more on what to do after getting off the escalator when we are about to get off it, the information given on the ground at the escalator landing is not paid attention. It doesn’t work, anyway, when it gets crowded. Rather than providing an information on the ground at the escalator landing, it is a great idea to provide it on the ground at the loading zone as Hiroshima station does.

エスカレーターを降りたら右へ行くべきか、左へ行くべきか、あるいは直進か、と慣れない場所では迷うもの。そんなわたし達を支援すべく、“くだりエスカレーターを目指す人は右へ進んでください”という案内を床面に記してくれているのはビックカメラ有楽町店です(写真[1])。でもこの床面情報、混雑しているときには行き交う人々の足の下に埋もれてしまうため見えにくくなりますし、立ち止まってその情報を確認しようとする人が出た場合には大変危険です。エスカレーターの降り場は流れるように人が捌けていくようになっていないとなりません。降り場付近に人々が詰まるとエライことになりますから。

 

[1] 床面に動線情報 [2] 床への注意が向きやすいのは… [3] エスカレーターに乗る前なり

そんな事態に陥ることを回避しつつ、ユーザーの行動を巧みに誘導するための工夫を広島駅にて発見しました。エスカレーターを降りた後に考えられる主な動線を、エスカレーターに乗る前の段階で提供しているのです。

写真[2]:このエスカレーターに乗って上階へ行った後、JR線の改札へ向かいたい人は左折、新幹線の改札口へ行きたい人は直進
写真[3]:このエスカレーターを降りた後、出口を目指す人は左折、きっぷうりばへ向かう人は右折

確かに、エスカレーターって、乗り込むときのほうが足元をよく見ている気がしませんか? 動いているモノに乗り込むときのほうが、動いているモノから降りるときよりも注意が必要だと本能的に感じるからでしょうか。それとも、降りるときには、“エスカレーターを降りること”よりも“エスカレーターを降りた後にどうするかを決めること”のほうが上位の目的となり、意識がそちらに強く向いてしまうからでしょうか。いずれにしても、そんな人間の認知傾向に着目して、動線案内をエスカレーターに乗る前の段階で、乗り込む人の視線が向きやすい床面に配置している広島駅はなにげに優れモノです。