自然に学ぼう!

2010年11月29日(月) 17:34

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上野にある国立科学博物館で開催されているネイチャー・テクノロジーとライフスタイル展という企画展へ行ってきました。常設展示や同期間開催の“空と宇宙展”のほうの人気がすごくて、会場の規模や人の入りは正直おどろくほどにこぢんまりしていましたが、展示の内容はかなり興味深いものでした。

 

[1] キツツキの脳構造からの学び [2] シロアリの住まいからの学び [3] 蛾の目からの学び

1秒間に20回という、人間からするとあり得ない速さで木をつつくキツツキはどうして頭痛にならないの? キツツキの脳は三重のクッション構造になっていて、かつ梃子の原理を使ってカラダ全体をまるで1本のハンマーのようにしてクチバシを木に振り下ろしているのだそうです。振動と衝撃から脳を守る仕組みがあるからこそ極上の餌を求めて木をつつく行為を繰り返せるのです。このキツツキの生態をヒントに安全で負担の少ない機械の開発や地震による揺れを吸収する建物の構造開発などへの応用が見込まれています(写真[1])。バイク用のヘルメットや登山用のアイスピックなども、実はキツツキの脳や身体の形状を参考にしているのだとか。

昼夜の温度差の厳しいサバンナ地域で、常時温度をピッタリ30℃に調節して快適に暮らす動物がいるってご存知ですか? シロアリです(写真[2])。巣の材料とされている土には人間の目には見えない10億分の数メートルという小さな隙間がたくさんあって、それが湿度と温度を絶妙に調節する役割を果たしているのだとか。このシロアリの巣が持つ仕組みを住宅に応用すれば“電気のいらないエアコン”が実現できて、それはすでに実用化され始めているって言うではありませんかっ。そんな快適な住まいに住まう日が来ることを願わずにはいられません。

夜、活動を活発にする蛾は微量な光を効率的に目の奥へ取り入れるために光を反射させない目を持っています。蛾の目は、小さな目(個眼)がたくさん集まってできる複眼になっていて、その複眼の表面は凹凸構造になっており、外から入ってくる光を何度も屈折させて光を反射させない仕組みになっているんだって〜。で、この蛾の目の構造を応用すると映り込みのないテレビ画面やコンピュータのスクリーンを作れるかもしれなくて、そうすると長時間のパソコン労働による眼精疲労とそれに伴う肩こりや偏頭痛がなくなるかもしれないのだー。なんて素敵な話でしょう。実際に開発は進んでいて、パネルの一部にモスアイフィルムが使われていました(写真[3])。モスアイフィルムが使われている円の中だけ、まったく何も映り込んでいなくて文字が読みやすい! 写真も撮りやすい! 

自然界の仕組みにヒントを得た環境負荷の低いテクノロジーの卵たちが他にもたくさん紹介されていました。実際に製品化されたものの展示は少なく、多くがパネルでの紹介ですからお子さんにはあまり面白くないかもしれません。でもきっと良い勉強になります。そんなネイチャー・テクノロジーとライフスタイル展は2011年2月6日までの開催です。