ビューティフル アイランズ

2010年07月22日(木) 17:53

本&映画の紹介

地球温暖化の影響を強く受ける3つの島の“いま”を見つめるドキュメンタリー映画『Beautiful Islands』(ビューティフル アイランズ/写真[1]は映画のチラシです)を見てきました。

 

[1] 映画のチラシ [2] 映画館のチケット

南太平洋に浮かぶ小さな島国ツバルは、海抜平均約1.5メートルで、このまま地球温暖化が進み、海面が上昇し続けると、今世紀中に、そして世界で最初に沈んでしまうと言われています。

アドリア海の宝石、イタリアのベネチアは”アクア・アルタ”と呼ばれる高潮の被害に見舞われる頻度が昨今高くなっているそうです。

アラスカ最西端の島シシマレフ。永久凍土の上に暮らす人々は、海の氷塊が年々小さく、薄くなり、永久凍土の土壌も溶解が進むなどして、単純に居住できる地域の減少と家を失う恐怖に苦しんでいます。

映画にはナレーションもBGMもなく、島に暮らす人々が奏でる“音”を中心に聞くことになります。島の人々の会話、子ども達の笑い声、動物の鳴き声や波の音。うっかりすると心地よい音に誘われてウトウトしてくるので注意が必要です(笑)。インタビューの映像などもあるのですべてが生活直結の自然な音ではありませんが、“いま”の島の様子を体感できるようにと制作側が苦心したのは伝わってきました。

「神様がこんな美しい島を沈めるはずがないから大丈夫!」と口々に言うツバルの人々。「堤防を作るって言ってたのに政府は何をしとるんじゃ?」と政府の危機管理体制に不満を述べるベネチアの市民。このままここでは暮らせないと判断し、移住を決意したものの、行き先が決まらなくて困っているというシシマレフの大人たち。いずれにしても緊張感はまださして高くないように感じました。やはり心のどこかで、自分たちの生活どころか命までをが危険にさらされるかもしれない事態になるはずはないと信じているのだと思います。

“私たちは普段、戦争や災害が起こった後の状況しか見ることがありません。被害が起こる前に、そこにどんな人々が暮らし、どんな笑顔があったのか、それを知って、はじめて失ったものの大きさを本当に理解できると私は信じています”

監督からのメッセージです。失って初めて気づくこと、私たちの生活にもたくさんありますよね。時間とか、若さとか…(笑)。でも時間や若さを失うということは経験的に分かっている事実。しかし、住んでいる家や日々歩いている道や太陽の光を遮って木陰を作ってくれる木々が消え失せるだなんて、そういう日が来ると言われて易々と信じられるものではありません。3つの島に暮らす人々だって同じです。そうやって私たちと同じように日々の生活を送る人たちのために、そしていつか自分が(あるいは自分の子孫が)同じように直面するかもしれない事態を回避できるように、何かできることはないかな…と考えさせてくれる映画でした。でも普通の生活を送っている分にはなかなか行動に移せなかったりするのも事実でして、それもやっぱり島の人たちと同じなんだよな…と思ったりしました。

ちなみに関東は恵比寿ガーデンシネマで公開中です。その他、各地の劇場情報は映画のオフィシャルホームページで入手してください。恵比寿ガーデンシネマ、久しぶりに行きましたが相変わらず無駄に人件費つかってる感じでした(笑)。入場券の作り(写真[2])とか入場時の段取りとかをもう少しナントカしたらイイのに…。ずっとそうしてきたから、やっぱりなかなか変えられないのでしょうけどね。