糸通し済み

2010年06月17日(木) 21:53

UXいろいろ, 日本発信四方山話, ヨーロッパ所々方々, 神奈川, ポーランド, モノ+コトの話

ホテルネタ、続きます。

減る傾向の強いホテルのアメニティですが、昨日紹介したように差別化に使われるケースもチラホラ見られるようになってきました。また、日本のホテルでは真っ先に削減の対象になりそうなアメニティが、欧米系のホテルでは根強く残っていたりして、宿泊客のニーズが文化の影響を受けているのかな?と思わせるようなものもあります。たとえば写真のSEWING KIT(ソーイングキット/裁縫セット)です。

 

[1]最近見かけなくなったアメニティ [2] お裁縫セット [3] 針に糸が通っています!

最初にこれを見かけたのはポーランドで利用したQubus Hotel Krakowでのことでした。カンファレンスセンターを備えたホテルでビジネスマンの利用が多いせいかもしれません。ボタンのとれたYシャツは格好悪いですからね。その後、これを紹介するのを忘れて長らく放置していましたが、先日箱根で利用したハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパのお部屋に、同じソーイングキットが備えられていました。言わずとしれたアメリカの大手ホテルチェーンで、長期滞在されるお客様も多いようです。こういう ホテルで優雅に過ごすアメリカ人旅行客は、きちんと正装を用意してくるのが当たり前ですから、ちょっとボタンがとれたりしたときのためにソーイングキットを部屋に備え付けておくのはきっと欠かせないことなのでしょう。

このソーイングキット、何がスゴイって、針に糸が通っているところです(写真[3])。使いたいときにスグ使えるという優れもの。ケースを開けて、針を静かに引き出せば、糸が絡まることなく、スルスルスル〜って出てきてくれます。6色の糸を6本の針にそれぞれ通しておくことになりますから、針は無駄に6本も入っていることになりますが、その分、糸を切るための小さなハサミや糸通しなどは省略されています。ハサミや糸通しの方が、余分な5本の針よりもきっとコスト高です。つまり、コストを抑えつつ、針に糸を通すというユーザーにとっては少々厄介な動作もカットしてユーザーの満足度アップを実現しているというわけですね。お裁縫嫌いな私も、これなら「ボタンくらい付け直してあげようかな」という気になります(笑)。