募金させる工夫
2010年03月11日(木) 16:48
UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, イギリス, モノ+コトの話昨日ご紹介したルノワール展、入場料は大人一人1,500円でした。けっこうなお値段で…。展示されていたルノワールの名画はすべて、世界中の美術館からの借り物ですからね。借りるのにも、輸送や維持にも、そして会場の運営にもお金がかかりますから、お客さんに観覧料を払ってもらうのは当然といえば当然です。
でも、ロンドンの大英博物館やテート・モダンは入場無料なんですよ〜。すごい太っ腹。素晴らしいコレクションの数々を無料で見せられるのは、もちろん自分で所有しているからってのがあると思いますが、加えて欧米では、日本に比べると寄付が集まりやすいというのもあるのではないかと思います。イギリスなんか特に、大金持ちの貴族とかから巨額の寄付があるに違いない。でも興味深いのは、そんな大入りばかりをあてにするのではなく、一般観覧客からの小銭集めもしっかり頑張っているところです。
写真[1]はテート・モダンの出入り口付近で見かけた募金箱です。透明の巨大な貯金箱の中に小銭の募金が貯まっているの、分かりますか? 少し寄った写真が[2]です。ところどころに穴が開いていて、そこからお金を落とし入れるのですが、ただ落とすだけじゃ面白くないってことで、障害物(カラフルな水玉や棒の部分です)が用意されています。その障害物にはCとかUのような形になっているものもあって、募金する人たちのお目当ては、そのCやUの凹み部分に上手にお金を乗っけることです。写真[3]のように。観察していたら、みんなこれをやりたくて仕方ない感じで続々募金していました。こんな遊び心を加えることで、普段なら通り過ぎてしまう人たちの足を止められるんですね。そして募金を集めるという目標も着実に達成している。思わず感心してしまうエクスペリエンス・デザインでした。