小さな見本で大助かり
2012年06月29日(金) 18:32
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, サインやUIの話, モノ+コトの話SMALL TAG HELPS A LOT: I was looking for an elegant and stylish brocade for a secret reason, and finally found my choice. The draper’s I visited provided a small tag showing sample of its brocade with its price and minimum unit. This helps not only the shoppers who have to pull out each roll to check the texture one by one, but also the shop which wants to keep the brocade nice and tidy. The tags also make it easy to sort the products with rough color coding. I promise I will come back to this draper’s when I need to buy some much more brocades in the future.
浅草橋のとある人形屋さんにて、金襴(きんらん)という生地を購入しました。ちょっと事情がありまして。金襴いうのはですね、繻子(しゆす)や綾などの地に、よこ糸に金糸を織り込んで紋様を表した豪華な織物のことで、室町時代に中国大陸から伝わったと言われています。手芸用品店などでずっと探していたのですが、好みの柄がなかなか見つからず、京都の卸問屋さんからの情報を頼りに辿り着いた人形屋さんにて、ついに出会いがありました(写真[1])。赤やピンクの地色に小花を散りばめた…みたいなフェミニンな生地が多いなかで、こういう渋くて粋なのを見つけるのは大変でしたが、粘った甲斐はあった、うん。
で、今日はその出会いを自慢…したいのではなくて、その人形屋さんの商品の見せ方がすごく配慮の行き届いたものだったのでご紹介したいのです。
金襴は普通、表地を内側にして巻いてあります。だから外側から見ただけでは柄をはっきりと確認できません。棚から筒を引き出し、コロコロと回しながら生地の端を引っ張り出して、柄を見ます。「どんな柄かな~」と、ワクワクできてそれはそれで楽しいのですが、何本も何本も柄を確認しようとするとけっこう疲れます。店側としても、雑に扱われると生地が傷んだり、変な折り目がついてしまったりという事態になりかねませんから、客の常識ある行動を期待しつつ、同時にその常識ある行動を促すような工夫をしたい。
そこで、人形の田辺です。まず生地の一部を切り取った“見本”を筒の端からぶら下げて、いちいち筒を取り出さなくてもどんな柄なのかをざっと確認できるようにしてくれています(写真[2])。金額や最小切り分け単位も一緒に提示してくれているので、自分の予算と照らしながら候補を絞っていくことができます。また、ざっくりとではありますが、同系色の商品をまとめて積んでくれている(写真[3])ので、私のように“赤・ピンク系は嫌”、“緑かベージュ系が欲しい”と大枠が決まっているときはとても探しやすい。
ちなみに、金襴は正絹で織ったお高いものと化繊で織った扱いやすいものとがありまして、それらも棚を分けてくれているので、奮発して正絹を買いたい人と、節約しつつ、たくさんの候補の中から選びたい人と、見るべき棚が分かれていて助かります。とは言え、正絹の中にもこっそりお値頃の反物が混ざっていたりするし、化繊の中にも手の込んだ柄で値の張るものもあったりするので、両方の棚を見ることをオススメします。それにしても人形の田辺さん、品揃えだけでなく、商品の見せ方にも配慮が行き届いていて本当に感心しました。次に買うときも(果たしてその日は来るのか…)ぜったいに田辺へ行きます。