DESIGN TOUCH
2009年11月04日(水) 21:55
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, イベントの話, サインやUIの話, モノ+コトの話昨日11月3日まで、Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2009なるイベントが開催されていました。(飛び石)連休中に旦那と二人で行こうと思っていたのですが、旦那が連休前の金曜日に風邪でダウン。病人のためのお食事作りに洗濯、そして絶対に風邪を移されないよう私まで常時マスクを着用してせっせと手洗いとうがいを繰り返す日々へと大切な連休は変身してしまったのでした…とほほ。
でも連休最終日の昨日、旦那の調子もずいぶんよくなっていたので、一人で東京ミッドタウンまで行かせてもらいました。いっきにたくさんのネタを仕入れたので、少しずつご紹介していきます。
まず今日は、DESIGN TOUCH 2009のメインイベントとも言える“夢を叶えるデザイン展”について。今年は、時代の最前線で先端的なデザイン活動を行うイノベーション&デザインファームIDEOの作品とデザインプロセスの展示が最大の売りだったようです。会場は東京ミッドタウンのガレリアB1Fにあるアトリウム。知ってて集まった人なのか、通りすがりの人なのか分かりませんが、会場はものすごい人でした(写真[1])。日本でのIDEO人気はスゴイですね、相変わらず。“展示品にはお手を触れないでください”ってことでしたが、多くの人がお構いなしに触っていました(笑)。そのたびに係の人が、「申し訳ありませんが、お手を触れないようお願いします…」と言ってまわるというなんだかな〜な感じ。別に“お触りコーナー”みたいなのが用意されていたのですが、そこには全作品があるわけじゃないし、作品の説明を読みながらそれを確かめるように実物を触ってみたいという気持ちも分かりますよね。UCD(ユーザー中心設計)を当たり前に実践するIDEOの展示だからこそ、そんな展示を見る人たちの気持ちにも少し配慮して欲しかったな…とか少し思いました。これはIDEOじゃなくて主催者が考えるべきことかもしれませんけど…。
展示されていたIDEOの作品には、実用化され市場に出回っているモノと、コンセプトとしての提案とが渾然一体としていました。前者は私も知っているものが多く、「あ〜、これも実はIDEOデザインだったんだぁ」と思ったりしました。逆に後者のコンセプトデザインは、知らないものが多かった。当たり前ですね。社会に出てきていないのだから。そんなコンセプトデザインの中で思わず吹き出してしまったのが写真[2]のサインです。運動不足の現代人たちに運動の大切さをそれとなく訴えるサインのデザイ ン。エレベータに乗ろうとすると、目につく場所に必ず“IN CASE OF FIRE USE STAIRS(火災時は階段をご利用ください)”というサインが掲示されていますよね。それと一緒に、“DON’T WAIT FOR A FIRE TO TAKE THE STAIRS(火事じゃなくても階段を使ってイイんですよ)”というサインを掲げて、さりげなく階段を使うことを促そうとしています。わたし達の健康がどうのというだけではなく、エレベータの利用頻度を下げることで電気使用量を抑え、二酸化炭素の排出量を軽減しようという地球規模のでっかい提案が実は奥に潜んでいます。
写真[3]も同じくエコ関連の提案。“表示有効期間”を設定できるインクがあれば、設定した期限に一旦使用済みの紙がまるで未使用の真っ新な紙に戻っちゃいます、再利用できちゃいます、というお話です。実現したらスゴイですね。10月はじめに幕張メッセで開催されていたCEATECで、(どこのメーカーだったか忘れてしまいましたが、たしか富士通さんだったと思います)データの“保存有効期限”を設定できるUSBメモリというのを提案されていたと思います。IDEOが提案する紙と同じように、事前に期限を設定しておくと、自動的にUSBメモリ内のデータが消滅するというもの。発想は似ています。 USBメモリのほうが実用的でビジネスシーンでのニーズも多そうですが、紙の場合も大きな反響が期待できそうです。同じ紙を、何度も何度も繰り返し使えるとしたら、ゴミ箱に入れられたり、シュレッダーにかけられたりする紙の量がすごく減りそう。実用化されたら(価格はどうあれ)試してみたいです。
IDEOが目先の商品デザインだけでなく、社会や政治や地球のことを考えてデッカイ難題に挑んでいるデザイン会社だということを改めて感じました。IDEO人気がただの人気で終わらずに、同じように考えたり、行動に移したりできる会社や人が日本にもたくさん出てくるとイイですね。