2024年2月の読書記録

2024年03月05日(火) 15:11

本&映画の紹介

2月もほとんど仕事がなかったので、読書三昧の一か月でしたー。楽しすぎィ~。

そして、ただの1冊もハズレのないラインナップ。どれもオススメです。強いて、本当に強いて1冊だけ選べと言われたら『女ことばってなんなのかしら?: 「性別の美学」の日本語』かな。「男女平等ってあたり前だと思ってます!」と思っている老若男女に読んでもらいたい。「男尊女卑を実は受け入れてしまっている」という無自覚の部分を突っ込まれまくって苛立ったり、凹んだり、忙しく考えさせられます。

そして突如として訪れた落語ブーム。噺の一部になりたいので、近々ぜったいに寄席に行こう。



読んだ本の数:13
読んだページ数:3499
ナイス数:128

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめたあなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた
腸内の不健全な微生物集団は腸壁に隙間を生み、本来なら血液に入ってはいけない物質を通してしまう。その過程で免疫系が刺激されて起こる炎症が、肥満、過敏性腸症候群、アレルギー、自閉症など二十一世紀病の原因になっている…のかもしれないと。腸内細菌を大切に育むために、過度な抗生物質の利用は避けたほうが良い。皮膚の微生物にも役割があるから手や身体を洗うならふつうの石鹸が良い。最近患うようになった皮膚病の原因はコロナ禍で培った過度な手洗いだったりするのか?とりあえずの結論としては「野菜中心の食生活を」ってことで。
読了日:02月02日 著者:アランナ・コリン

博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか博多うどんはなぜ関門海峡を越えなかったのか
博多の文喫で選んだ一冊。半径1.5時間のビジネスモデルは「博多うどん」ではなく「牧のうどん」のものではないかと思うが、まぁ、牧のうどんが関門海峡を越えられないなら他店も無理でしょ…ってことなのかな。福岡へ行ったら博多ラーメンとしか思っていなかったし、コシのないうどんなんて……と思う気持ちが消え去りはしなかったけれど、タモリさんが推す「うどん 平」には行ってみたい。うっかり大好きなカレーうどんを頼んだりせず、ごぼ天うどんあたりから入門するのを忘れないように。よし、次の福岡ではラーメン無視してうどん行くぞ。
読了日:02月05日 著者:サカキ シンイチロウ

資本主義の中心で、資本主義を変える資本主義の中心で、資本主義を変える
日本経済に足りないのは、社会に緊張感と活力を生む規律。政策保有株式は、規律の対局にある忖度文化の象徴。投資と投機を混同しないこと。短期的な成長を目的とせず、社会をどう変えたいのか、その目的を見失わず、それに必要な時間とお金をどうやって調達し実行に移していくべきかを考え、取り組む企業だけが残っていけば良い。というか、それが資本主義。「Up or Out」の米国証券業界で生きてきた著者が日本の社会と経済を見捨てず、立て直そうとするモチベーションがよくわからなかったけれど、離脱せずぜひ助けてほしいと思った笑。
読了日:02月05日 著者:清水 大吾

古代ギリシャのリアル古代ギリシャのリアル
ものづくり界隈にいる身としては「自動で動いて食べ物をサーブする足つき鍋」とか作れちゃってた鍛冶の神ヘファイストスに親近感。醜く生まれ、足も悪く、それがゆえに母に山から落とされるとか悲劇の連続なのに、自分の腕一本で状況を切り拓いてきたとか。神は顔じゃない笑(古代ギリシャでは顔が重要だったようだが)。尻ぬぐいのスペシャリスト伝令神ヘルメスみたいな神も大事ね。でもわきが甘くて、だからこそ使いっ走りを脱せない。古代ギリシャは都市国家だったからこそ、神話にいろんなバージョンができてしまっていると。なるほどだらけ。
読了日:02月08日 著者:藤村 シシン

虫じゃないのに なぜ「蛙」は虫へん?虫じゃないのに なぜ「蛙」は虫へん?
今月のカエル本。「圭」は「ケーケー」という蛙の鳴き声に由来しているそうな。「鳩」は「クークー」から。音が由来の漢字がけっこうあるっぽい。あと「漢字」はそもそも大陸から伝わってきているので、かの国での事情とか物の見方、考え方が根底にあるってことも多いよな。言われてみれば確かにね……っていう雑学がいろいろと手に入る緩~い一冊です。
読了日:02月09日 著者:

おばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Areおばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Are
2024年のノルマ小説2冊目。後半で四谷怪談モノが出てくるまで元ネタの存在に気づかなかった…。落語を知らないんだなーつまり。しかし、そこは知らなくても相当楽しめた。短編集なのだけど絶妙にうっすら繋がっていて、「あのおばちゃんが再登場!」というのが楽しい。女性たちが、生きにくい日本社会をがんばって生き抜いて、あるいは耐えられずに死を選び、昔に生きた世界と緩く絡んで無理のない日常を送る(死んでるけど笑)という物語の数々。死んでからも働くのか~とちょっと思ったけど、あくせくせずに働ける世界。良いのかも。
読了日:02月09日 著者:松田 青子

ゼロから分かる! 図解落語入門ゼロから分かる! 図解落語入門
落語を素材にした小説を2倍楽しむためのお勉強。入門書として抜け漏れなく、隅々まで教えていただきました。代表的な噺もたくさん紹介してくれているので、予習や復習にも使い勝手が良さそうです。今年はいよいよというかやっと?!落語を見に行きたいなー。能と狂言を見に行く算段がついたので、その勢いで落語も一席計画しよう。カジュアルな落語会は観客が少なくて逆に緊張しそうなので、老舗ホールに紛れ込む作戦が良かろう。そんなときに役立つ情報も盛りだくさんで助かります。
読了日:02月15日 著者:稲田 和浩

やわらかな知性 認知科学が挑む落語の神秘やわらかな知性 認知科学が挑む落語の神秘
長らく積読していた一冊。落語の入門書と併読してみたら興味深くてシビレタ。噺を聴いて想像力を働かせる能動的な態度と噺家が提供する素材を想像力の材料として受け入れるという受動的な状態を同時かつ無意識に楽しむ体験へと客を導く噺家のうまさ。噺の中にあるコミュニケーションを巧みに口演する噺家と、あいまいさを許容する「やわらかな知性」で柔軟に聴く客とのメタ・コミュニケーションが落語を面白くしているのではないかと。この「認知科学による落語研究」を参考に、インタビューの極意について研究してみたくなってる自分がいる…。
読了日:02月16日 著者:野村 亮太

粗忽長屋の殺人粗忽長屋の殺人
てえへんだ! 初読のときは落語をぜんぜんわかっておらずそれでも単純に楽しめたのだけど、落語入門勉強してから読んだら3倍くらい楽しめた気がする。マクラと落ちは著者オリジナルなんだな。後半の2編は古典落語の組み合わせだから完全オリジナルと言っても過言ではない。この流れで立川志らくの『紺屋高尾』や立川談志の『粗忽長屋』なんかをYouTubeで見させてもらってめちゃ楽しかった。桂や柳家もすこし見たけど、これまでのところ立川談志師匠が圧倒的に面白い。そして、客の笑い声も噺の内だと実感した。
読了日:02月23日 著者:河合莞爾

乱読のセレンディピティ乱読のセレンディピティ
「われわれはよく知っているものごとや人間からよい影響を受けることが下手である」って、まさにそう!と思っているので旅を大事にしてる。「知的無能になってしまうのは、独創力に欠けているためである」から、具体と抽象を行ったり来たりする思考法が大事。知識偏重にならないように。などなど心に刺さった名言を記録するも、「心に刻まれないことをいくら記録しておいても何の足しにもならない」というツッコミもあったので笑、読書記録のモチベーションが下がったけれど、記憶容量は有限なのでやはりテクノロジーの力を借り続けよう。
読了日:02月25日 著者:外山 滋比古

勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
「いつもよりも長い距離を走った後だからラーメン食べちゃおう」とか言ってたのやっぱりバイアスだったか。「目標達成の代行」という名がついているらしい。禁酒日の翌日に飲み過ぎるのも同じだな笑。「自我消耗」も覚えておこう。意志力にも限界がある。「時間の認知バイアス」もおもしろい。オランダ語は、未来を遠く感じさせる表現を避けるようになっているとか知らなかった。という感じで、まだまだ知らない認知バイアスがあることを教えてくれる良書。追試に失敗しているものについては慎重に補足してくれているので信憑性も高い。オススメ。
読了日:02月27日 著者:エヴァ・ファン・デン・ブルック,ティム・デン・ハイヤー

女ことばってなんなのかしら?: 「性別の美学」の日本語女ことばってなんなのかしら?: 「性別の美学」の日本語
「女は愚かで弱い」から、西洋では「だから、俺のそばを離れるな」となり、日本では「だから、ひっこんでろ」となったと。日本ばかりジェンダー格差がなくならないのは「男女平等」という建前が西洋よりもずっと前に確立され、女でありながら好きに行動する自由やお金を使う自由を”男性からいただいていた”からではないかと。客観よりも主観を、能動よりも受動を、他動詞よりも自動詞を好むという日本語そもそもの特徴にも「女性らしさ」を暗に求める遠因があるのではないか。それらを平然となにも考えずに使う女性にも問題あるぞと。反省しきり。
読了日:02月28日 著者:平野 卿子

男性の繊細で気高くてやさしい「お気持ち」を傷つけずに女性がひっそりと成功する方法男性の繊細で気高くてやさしい「お気持ち」を傷つけずに女性がひっそりと成功する方法
『女ことばってなんなのかしら?』からの流れでコレを読んで爆笑してるんじゃダメなんだろうな笑。控え目で健気で男性を立てることに余念なく、それでいて求められた仕事は完璧にこなし(しかしそうは見せず)、怒らず焦らず怠らず、そんな「男性が求める女性らしさ」を捨てて怖い女になる決断をしないとシリコンバレーでも女性は成功できない。まー、そうだろうね。それが日本だとなおさら大変なんだろうな。「多様性枠」で昇進「させていただく」とかも嫌だよなー。やっぱり会社員は無理か……。
読了日:02月29日 著者:サラ・クーパー