2023年8月の読書記録

2023年09月06日(水) 17:22

本&映画の紹介

まさかのギリギリ2桁でした……。夏休み中の借り読みがなければアウトだったな。月末の大阪出張3泊4日の間に2冊くらい読了するつもりでいましたが、移動中も含めて1ページすら読めなかった笑。なにごとも前倒しで進めておくことが大事。うん。

借り読み本はすべてゆるゆるなので特におすすめありませんが、小説は『ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス』も『刑事マルティン・ベック 笑う警官』もどっちも極上の物語でした。前者は子育て中の方々や進路に迷っている若者に、後者は刑事モノが好きな人に。ただし舞台がスウェーデンなので登場人物とか地名とかに読みにくさを覚える人はいるかもしれません。

デザインリサーチの教科書』はAmazonの高評価を裏切らない良書。ものづくりに関わる人にはぜひ目を通しておいていただきたいです。なかなかの厚みですが、スルスル読めます。本当に「深堀り」だけが残念。



読んだ本の数:10
読んだページ数:2673
ナイス数:92

ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプスロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス
「盗賊騎士」という偽の殻に閉じこもり、城で孤独に生きるロドリゴ・ラウバイン。そんな彼の従者になるべく親元をこっそり飛び出すクニルプス。ふたりが互いを敬いながら、それぞれに成長していく物語でした。junaidaの挿絵が読むものの想像力を絶妙に駆り立ててくれます。「おとぎ話とうそのちがい」をクニルプスに教え諭す姫、善悪の線引きができるようになるために「おそれ」を知るべきだと学び取ったクニルプス、天性の才能に恵まれていたことを知り、その道へ進む決意をしたロドリゴ・ラウバイン。素敵すぎるラストだった。
読了日:08月05日 著者:ミヒャエル・エンデ,ヴィーラント・フロイント

マイノリティ・マーケティング ――少数者が社会を変えるマイノリティ・マーケティング ――少数者が社会を変える
社会課題に対する解決策を提供するための手法としてマーケティングを広く捉えたうえで「マイノリティ・マーケティング」と聞けばすんなり入ってくるけれど、要らんものを狡賢く売りつける的な悪くて狭義のイメージのマーケティングが前面に出た状態でこれを聞くとしっくり来ないな…。内容は、少数者の境遇や想いを適切にまとめて、政策に反映させられる力を持つ人たちへ届け、社会に変革を起こす原動力となるべく奮闘する当事者の語りで説得力は絶大。トップダウンじゃないと日本社会は変わらない……という現実を突きつけられた感もありました。
読了日:08月07日 著者:伊藤 芳浩

日帰り旅行は電車に乗って 関西編日帰り旅行は電車に乗って 関西編
兵庫のお宿で借り読み。この夏から始まる月一大阪出張のついでに周辺日帰り旅行でもしよっかなーなんて思って読んでみましたが、コレは関西に「住んでる」人が目指す旅であって、出張ついで向けじゃぁなかった笑。関西の電車事情はむずかしいから、いきなりこんな遠出はできないなぁ(仕事で行くわけだし笑)。でも、「こんなところまで電車で楽々行けるんだ!」っていう発見がたくさんあって、将来のための布石になりました。いや、関西に住む予定は今のところ無いですが。
読了日:08月08日 著者:細川貂々

47 麺 MARKET – 47都道府県のローカルな麺から、日本の食の個性を見る –47 麺 MARKET – 47都道府県のローカルな麺から、日本の食の個性を見る –
兵庫の宿で借り読み。麺好きなのでワクワクが止まらなかった。北海道代表として、西村製麺ではなく上富良野のパスタから始まるあたりが少しカユいけど笑、確かにこのパスタは美味しそう。栃木のかんぴょううどん、静岡の富士宮やきそば、滋賀の焼き鯖そうめん、素麺の元祖奈良の三輪そうめん、岡山のかも川うどん、徳島の素麺とは名乗れない半田手延めん、佐賀の神崎そうめんなどを近々どこかで手に入れよう。大阪で無かんすいラーメンというのも買ってみるかな。お腹が空いてきましたー。
読了日:08月09日 著者:ナガオカケンメイ、D&DEPARTMENT PROJECT

魯山人の和食力魯山人の和食力
兵庫の宿で借り読み。表紙のイラストと帯の文句から、手っ取り早く和食力を付けるための極意をいただけるものと期待したが「結局、料理は好きでつくる以上の名法はない」と言い切られ、自分には無理だと結論。でも、美味しいものを食べることが料理上達の秘訣とも言っているので、美味しいものを食べ歩く方向で勉強を進めたい笑。しかしタニシはヤバイから食べないぞと。なめこ雑炊は速攻でつくってみようと思う。魯山人、明治大正昭和とかけて離婚と再婚を繰り返していて、たぶん変人だったんだろうな…。ま、天才だったから仕方ないか笑。
読了日:08月09日 著者:北大路魯山人

日本神話のふるさと 写真紀行日本神話のふるさと 写真紀行
兵庫の宿で借り読み。「ふることふみ」が正式な読み方って知らなかった…(え?常識?)。相変わらず、神々の時代は騙したり、約束を破ったり、恨んだり、妬んだり、人間の恥部というか、ダメなところが全部盛りな感じで、人間としか思えない。地方豪族同士の諍いの歴史みたいな物語も「神話」と括ればありがたいお話になるから不思議。初代の神武天皇がイハレビコ。このくらいはそろそろ頭に入れよう。草薙の剣を御神体とする熱田神宮へも、そろそろ行きたい。
読了日:08月10日 著者:清永 安雄

刑事マルティン・ベック 笑う警官刑事マルティン・ベック 笑う警官
スウェーデンの首相、オロフ・パルメ暗殺事件の真相を追ったドラマ『疑わしき殺人者』をNetflixで見た直後だったので、時代背景が重なり、超前のめりで一気読みでした。平等と民主化へ向けて急激に力強く舵を切っていた時代のストックホルム。真面目に地道に犯人の影を追う実直な警察官たちが「そこ、見逃すか?!」と突っ込みたくなるようなミスを犯してしまうところは共通点。スウェーデンの人たちって、切れ者と見せかけて天然みたいなこと多いよね(知り合いに怒られそうだが笑)。最後のオチにはめちゃくちゃ笑いましたー。
読了日:08月12日 著者:マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー

デザインリサーチの教科書デザインリサーチの教科書
「人々や社会などプロダクトが置かれる状況を理解するためのリサーチ」を「デザインリサーチ」と呼ぶ。で、「プロダクト」には「サービス化したプロダクト」も含まれる。デザインリサーチを実施するのは、考え得る可能性を広く捉えたうえで、その中のどこに焦点をあてるべきか意思決定をできるようにするため。リサーチ結果を次のフェーズへ渡すのではなくデザイナーと一緒にリサーチもデザインも進めていくべし。そんな大前提の話から実際の進め方と注意点まで網羅する良書。ただし「深掘り」が終始「深堀り」になっているのが残念でたまらない笑。
読了日:08月14日 著者:木浦幹雄

クセがつよい妖怪事典クセがつよい妖怪事典
兵庫県の福崎町で妖怪と戯れた今夏。出会った妖怪たちを復習するつもりで買ったのだが、クセの強さ基準で選抜された妖怪たちはマイナー妖怪が多くてあまり復習にならんかったわ。いちばん会いたくない妖怪は、奄美群島に伝わる「ケンモン」です。相撲好きなのに体臭がくさすぎて誰にも相手にしてもらえない悲しき妖怪。イヤだ~、臭い妖怪。きっとその昔、単純に体臭のキツイ相撲好きのオッサンがいたんだろうな…奄美のどこかに。妖怪にまで昇格?して後世に名を残すとは喜ぶべきか悲しむべきか。昔の人たちの想像力と妄想力の結集でした。
読了日:08月15日 著者:

東方見聞録 (世界探検全集)東方見聞録 (世界探検全集)
キリスト教なら「奇跡」で、イスラム教徒なら「インチキ」というスタンスが徹底していて、そこはかなりおもしろい。各地で見聞きしたことを細部に至るまで記憶できたわけもなく、ほとんどが嘘……もうすこし柔らかく言うなら記憶違いで歪んだ報告書という感じですね。伝聞を自分で見てきたかのように脚色や誇張をして語っている部分も多そう。とりあえずチパングの出番が少なすぎて仰け反ったわ笑。しかしまぁ、解説にあるとおりこのような記録が残っていることが貴重なわけで、興味深い追体験をさせてもらったという気分です。
読了日:08月23日 著者:マルコ・ポーロ