デンマーク騎士の城

2020年10月01日(木) 18:09

ヨーロッパ所々方々, Skåne, スウェーデン
MEDIEVAL CASTLE BUILT BY A DANISH KNIGHT
Skåne was a part of Denmark in the Middle Ages, and this beautiful castle was built for the Danish knight Jens Holgersen Ulfstand. The illustration tells clearly how the castle was effectively designed and built such as the external flexible stairs for their daily use but not for the time of being attacked. You have to join a tour to look inside, and the English one ends at the end of September. The guide dressed up as a knight introduced known details and possible presumptions, as all historical recordings were burned when the castle was conquered by Sweden. Pity. It was pretty interesting to learn how the castle was designed to prepare for an attack.

Skåne(スコーネ)地方がデンマーク統治下にあった時代、その地を治めることになったデンマーク騎士Jens Holgersen Ulfstandが建てた城 Glimmingehus が、Skåneの南東部に保存状態の良い形で残っています。

その強固なつくりのおかげで箱はキレイに残っているのだけれど、騎士一家がもっと居心地の良いお城に移った後、近隣農家が穀物倉庫として活用し、よりたくさんの穀物を保管できるようにとお飾り的な家具や床板を取っ払ってしまったらしい。さらにその後、戦争に勝利したスウェーデンがこの地を治めるようになった際、城にあった過去の記録の一切合切を焼却処分したため、城の内部がどのようなものであったのかを後世に伝えるものがなくなってしまったという……。1924年にスウェーデン国へ寄付されて以来、歴史家さんたちが研究したり、議論したりしているけれど、目に見える形で残っている部分から推測することしかできず、はっきりと言えることは案外少ないらしいです。

1500年頃に建てられた城です。箱はキレイな状態で保存されています。

こちら↓は、完成当初はこんな城だったのだろうという予想イラスト。

往時はこんな感じだったであろうという予想図。記録が残っていないので本当のところはわからないらしいです

壁に転々と開いている穴は見張り用の回廊を支えるための棒を挿していたものだろうとか、その回廊から階段をおろし、平時の出入りに使っていたのだろうとか、敵襲があったときはそれを引っ張り上げられるようにしていたにちがいないとか、なるほど感いっぱいのわかりやすいイラストでした。

[1] 階上から攻撃するための穴 [2] ヒュッゲスペース…ではない [3] 入口真上の出っ張り内部

内部の見学はガイドツアー参加者オンリーで、英語のツアーは9月末で終了するって言うものだから駆け込みで行ってきました。入ってすぐの玄関にあたるところには、頭上から鉄柵が降りてくる仕掛けがあり、そのすぐ先の頭上には穴が空いていて[1]、階上から槍攻撃などができるようになっています。窓の内側はヒュッゲスペースっぽくなってますが笑[2]、城主がデンマーク人なのでヒュッゲしてたかもしれないけど、本来の意図は大砲をぶっ放すために必要なスペースと台の確保だったらしい。

先のイラストだけでは謎だった入り口の真上にある出っ張りは、内部から見ると[3]のようになっていて、熱した油や大きな石を入り口めがけて落っことして敵の侵入を防ぐことを想定していたと考えられています。騎士の城は要塞の役割も果たさなければならなかったから、随所に守備の仕掛けがあるんですね。

生活の名残りもありました。1階にある使用人たちの仕事部屋には巨大なオーブンを備えたキッチンがあって、そこから暖気を上階へ送る仕組みになっていて、煙が一緒にのぼっていってしまわないようにする工夫も見られるそうです。

[4] 床板が剥がされた形跡 [5] 窓の下の穴は排水用 [6] ボットントイレの形跡

城主が巨大なたらいでお風呂に入った後の残り湯を外にジャッパーンと棄てるための穴[5]やボットントイレがあった形跡[6]なども壁に残っていました。トイレの穴から勇敢にも侵入しようとする敵を阻止するために、トイレを使い終わったら、かならず外から(城の内部側から)鍵をかけるようにしていたこともわかっているそうです。なるほどねー感たっぷりの良いツアーでした。1.5時間はちょい長かったけども。