UX Copenhagen 2019
2019年03月22日(金) 21:09
UXいろいろ, ヨーロッパ所々方々, イベントの話, デンマーク, リサーチャーの知恵袋- UX COPENHAGEN 2019
- I commuted from Lund to Copenhagen for 2 days to attend the UX Copenhagen 2019. The theme of the year was consent and privacy, which could be strongly related to the GDPR renewed about a year ago. Like eco-friendly has become a natural attitude, data ethics should be the same, but much faster, which was a memorable message from Gry Hasselbalch I received. To cope with GDPR and to prompt users to be more conscious about their own data, UXers need to take an action and become a role model. Yes, agreed. It was also interesting to learn some case studies shared by 2 local UX consultancies, one of them took a very qualitative approach and another stressed the convincing approach with biometrics. UX industry in Copenhagen seems to be developing through such friendly competitions...maybe.
UX Copenhagen 2019に参加してきました。フリーランスは 30% オフで参加させてくれるっていう優しい学会です笑。
今年で5年目を迎えるらしいですが、今回のテーマは「CONSENT & PRIVACY」でした。なんで今、このテーマなのかな……とぼんやり思っていたけれど、2018年5月に施行されたEUの一般データ保護規則(General Data Protection Regulation/以下GDPR)の影響ですねおそらく。
Data Ethics(データの取り扱いに関する倫理規定)をしっかり設けていかないと組織単独ではもちろん、社会全体として大変なことになるよと警鐘を鳴らし、この課題に取り組むための6つの道筋を提示した『“What is Data Ethics” with Gry Hasselbalch』が、今年のテーマをもっともダイレクトに扱った発表だったように思います。Eco Friendly(地球環境への配慮)が今や当たり前のことになったように、Data Ethicsもそうなっていくはず。ただし、もっと迅速に動かないとマズイよ!というのが彼女からの締めのメッセージでした。
データの扱い方によって人びとの生活を救うサービスが生まれることも、害をなすサービスが生まれてしまうこともあるという話を事例を添えて教えてくれたのはわざわざオーストラリアからお越しのスピーカーによる『“Navigating the Tensions of Consent and Privacy With UX” with Darren Menachemson』でした。個人と組織と、そして社会とをつなぐナビゲーターの役割を担うUXerが率先してガイドラインを設け、それを遵守して良い仕事をしていかないとね、という啓蒙。
ユーザー個々人が自分のデータがどこにどう吸い上げられて、どう使われる可能性があって、何に気をつけなければならないのかをしっかりと意識するようにならないとダメだし、まずわたし達のようなUXerが行動を起こして、手本を示さないとね……という指摘もいくつかありました。『“Make Google Stupid Again” with Julia Sommer』や『“Navigating Our Evolving UX Landscape: Why and How to Create Your Personal Code of Ethics” with Quinn Keast』といったあたり。
GDPRの施行でユーザー調査をするときのリクルーティングが少々大変になってきているらしき話もチラホラ。ランチのときにおしゃべりをしたドイツのみなさんによれば、リサーチも就業時間内にしか実施しないらしい。GDPRと関係ないけど笑。とりあえず、リクルーティングを優先するあまり週末とか平日の夜とかにインタビューしている日本のUXer(というか、わたし?!)、ワークライフバランスがどうのという世界的な動きに遅れを取ってはいないか笑。
それはともかく、GDPRに負けずこんな調査をして、こんな結果が出ました的なケーススタディは『“Informed Consent – UX Learnings From Organ Donation Registration” with Rune Nørager』や『“Uncover the Unconscious – a UX implementation case” with Jesper Melek Nielsen and Arif Mustafa of the municpality Capital Region Denmark, and Casper Bergmann of iMotions 』など、いずれもデンマーク国内のUXコンサル会社と公的機関のコラボ事例でした。前者は認知科学や心理学の専門家集団で定性のアプローチがメイン、後者はバイオメトリクス(視線追跡や脳波、表情分析など)を取り入れてエライ人を説得するならこっち!的なアプローチの事例で、デンマークでもこのあたりはいろいろな会社が切磋琢磨……してんだな、きっと。
北欧の新聞社7社のコラボレーションで、Cookieの取得にユーザーの同意を求めるダイアログのデザイン案を作ってユーザー調査をしてみたっていう大規模でわかりやすいケーススタディの発表『“GDPR Considerations for Designers” with Kathleen Asjes and Mikaela Saletti』もあったけれど、ユーザーにとっては、どうしたって “邪魔で鬱陶しいポップアップ” でしかないという結論しか得られなかったと笑。まずはユーザーの意識を変えてかなくちゃならないっていう先の話に通じました。
来年のテーマは「INFLUENCE」です。日程も3月のこの頃ってことで決まりらしい。年度末のあまった予算で来るにはなにげにイイ感じの学会ではないかと思います。日本のみなさんもどうですか?