英語ラベルのリモコン
2018年05月15日(火) 12:02
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 愛知, サインやUIの話, リサーチャーの知恵袋, 泊まるコトコロ- ENGLISH LABELS ONLY
- I found a remote controller for a bidet toilet with English labels only at the hotel in Nagoya. I had found similar controllers but with an additional note that is telling which button is to flush like the 3rd picture. The hotel in Nagoya must have discussed if the controller with English labels could be an ideal solution. And, I think this is a fantastic solution, because most Japanese tourists who stay there should already know how to use the features and don’t need Japanese text labels as long as there are icons, but many other tourists from foreign countries who have never experienced the features would need those labels even just to flush. Great UX design, isn’t it?
名古屋の定宿にあっさり確定したLAMP LIGHT BOOKS HOTELですが、個人的には、ハンガーラックがすごく使いやすそうで気に入りました。ほんの少しの奥行がたぶん絶妙。マラソン大会の後の洗濯物干しに重宝しそうです(すごい稀なニーズだとは思う…笑)。
そんなことよりも書こうと思ったのは、トイレに備え付けられていたLIXILさんのシャワートイレのリモコンについてです。ボタンのラベルが英語オンリーのリモコン(写真[2])。これは思い切った、しかし斬新な意思決定だな、と。よく見かけるのは、圧倒的に多数派となる日本人客への配慮から…というか、あるいは特に何も考えずに日本語表記のリモコンを取り付けてから、外国人さんが「どうやって水を流せばよいのですか?」と悩んで流せなくて悲しい想いをするという事態をなんとかするために、「FLUSH」ボタンの上に張り紙したりとかいう対症療法です(写真[3]/京都のとあるホテルのトイレ)。せっかく美しくデザインされたものの使い方を知らせるための張り紙や付箋ほど残念なものはありません。そこでLAMP LIGHT BOOKS HOTELでは、もういっそのこと英語表記のリモコンにしちゃえば?と、誰が言い出したんでしょうね? でもこれ、スゴイと思う。
このホテルに泊まりに来る可能性のある“日本人”でシャワートイレを一度も使ったことがなく、このリモコンの表記が“英語”だから使い方が分からないという人の割合はおそらくかなり低い。アイコンを見れば、多くの日本人は使い方を理解できる。一方で、このホテルに泊まりに来る可能性のある“外国人”でシャワートイレを一度も使ったことがなく、しかしリモコンの表記が英語なのでなんとか使い方がわかるか、少なくとも用を足した後で水を流す方法を突き止められるであろう人の割合は結構高そう。この両者を天秤にかけたときに、単なる“日本人”対“外国人”や“日本語”対“英語”という視点ではなく、想定ユーザーの“既有知識の多寡”と“利用状況”に焦点をあてて、英語ラベルのリモコンを設置することにした、ということですよね、たぶん。深読みし過ぎかな?
これを地方の温泉旅館なんかで、なにも考えずに「そうか、いっそのこと英語表記のリモコンにしちゃえばいいのか!」と転用するとたぶん失敗する。という具合にいろいろと考えさせてくれる事例でした。そんな発見もあるLAMP LIGHT BOOKS HOTELに、また行きたい(また行く口実が欲しいだけ笑)。