2017年9月の読書記録
2017年10月03日(火) 17:29
本&映画の紹介忘れないうちに9月分をまとめておく流れ。毎月10冊目標を順調にクリアしております。SF大好きな人ではないのですが、それでも『光の塔』のスケール感と未来を見せてくれている感には圧倒されました。そうかぁ、宇宙語ってこんな感じなのか…。そうかもなぁ~、という感じでぼんやり妄想。それはさておき、自著と完全に競合するけれど、『ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門』は、リサーチきちんとできるようになりたい人は読んでおきましょうねという一冊。でも、そう遠くない将来、これに勝る本をちょっと腰を据えて書きます宣言。宣言して自分を追い詰める作戦。
読んだ本の数:10
読んだページ数:2702
ナイス数:132
やわらかい頭の作り方: 身の回りの見えない構造を解明する
インタビュセミナーをするときに私が語っていること、伝えたいと思っていることと被る内容がたっくさん。こうやって日常生活に寄った書き方や事例の紹介をすればいいのか!と違うところに感心しきりです。最近いろんなところで言っているのですが、結局はメタ認知なんですよ。どのくらい自分の頭の中や自分が置かれた状況を客観視できるか、ほとんどのことはこれにかかってくる、ってもう勇気を出して言い切るっ!
読了日:09月02日 著者:細谷 功
光の塔 (ちくま文庫)
【自分で一万円選書⑥】いわた書店で買ってきた6/12冊目。今日泊亜蘭なるキラキラネームが怪しい…と思いつつ、帯にある“エンタテインメント全部盛り”の文字に魅了されて購入。解説に記されていた著者ペンネームの由来を読んで仰け反る(笑)。そして1962年の作品であったことを知り、震える。50年以上前に書かれた数百年後(だいたい)を描いた未来の地球存亡をかけた闘いの物語。しかも敵は……。SFはもちろん、痴情のもつれだの友情だの人情物語もあって、本当に全部盛りでした。お腹いっぱい。
読了日:09月09日 著者:今日泊 亜蘭
ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門
読後まっ先に言いたいことは、白地に薄オレンジ色の文字が極めて読みにくいということ。UXとかUCDとかを語る本は読みやすさとても重要ですぜ、というのを著者じゃなくて編集さんに言いたい。著者はおそらく、私と同じような仕事を同じようなことに気をつけながら同じような目標と態度で頑張っているリサーチャーで、たぶん歳も同じくらいじゃないかな。ということが分かるような内容でした。入門書として、よくまとまっていたと思います。次の本を書く時の参考にさせていただきまーす。
読了日:09月13日 著者:スティーブ・ポーチガル
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)
「シャープの堺工場とパナソニックの尼崎工場は、第二次世界大戦時に日本軍が建造した戦艦、大和と武蔵によく似ている」とな。なるほど。粉飾決算で大わらわの東芝、転がり落ち続けるNEC、液晶戦艦で海の藻屑となりかけたシャープ、もはや電機屋とは言えない道を模索するソニー、勝ち組っぽく見えるけどあくまでも相対評価に過ぎない日立などなど、各社がいかに衰退の道を辿ってきたのかがとてもわかりやすく語られていました。ここからどうやって這い上がっていくか、そもそも這い上がろうとできるかどうか、各社踏ん張りどころですね。
読了日:09月14日 著者:大西 康之
カラスの教科書 (講談社文庫)
【自分で一万円選書⑦】いわた書店で買ってきた7/12冊目。カラスの体重がわずか600~800グラムというのは意外。よくよく観察を続けると、樹上でイチャこいてる番がいるんですってよ。へぇ~。雑食のスカベンジャー(掃除屋)であるカラスが都会でいかに必死に生き、本能に従い子孫を残そうとしているのか、よくわかりました。人間から勝手に敵視されて随分と駆除されてしまっていますが、向こうも普通に生きようとしている動物に過ぎないわけです。とりあえず、見かけるとボソかブトか確認してみたくなるくらいには興味津々。
読了日:09月15日 著者:松原 始
東京の夫婦
【自分で一万円選書⑧】いわた書店で買ってきた8/12冊目。理由は違うが、わたし達も“子どもを持たないことを選択”した夫婦。どちらかが先に逝き、残されたほうがおひとり様として生きなければならない時がいつか来るんだよね…。切ない。そして本書は、どこを読んでも奥様M子に対する著者の山盛りの愛が伝わってきて、そういう視点では和む。しかし残念なのは、母上の介護云々で姉上ともめてしまったこと。節税対策としてこっちの扶養に入れるわ…って、お金だけ払って後は任せっきりにしてきた弟に言われたら、姉そりゃキレるよ、と思った。
読了日:09月17日 著者:松尾スズキ
問いのない答え (文春文庫)
昔、ツイッターとかいうのがあってね。ちょうど東日本大震災の頃に流行っていて、震災のときや震災の後、人々をつなぎ、情報を分かち合うのに使われたらしい……なんてことが語られるようになった頃、当時の様子を知るには『問いのない答え』って小説がいいよ…とか言われたりするんだろうなぁ。ツイッターいつかなくなる前提でスミマセン笑。なんとなくあの時のことを思い出して、まだ現在進行系で苦しい思いをされている方々がいることも思い出して、過去のことにするのはまだ早いぞ、と自分に言い聞かせたり。書評になってない笑。
読了日:09月18日 著者:長嶋 有
ほんとうは怖い沖縄 (新潮文庫)
【自分で一万円選書⑨】いわた書店で買ってきた9/12冊目。自分は唯物論者で無神論者で、と繰り返し差し込んでくるところが最高にウザイです。とか言ってごめんなさい笑。だったら、もっと客観的な視座から離れずに、沖縄の文化や思想や歴史を淡々と語ってくれたほうが、著者の言わんとする“ほんとうは怖い”ところが真実味を持って受け入れられたかもしれません。でもまぁ、わたし達が沖縄に移住するってのはいろいろな意味でまったく考えられないということの確認にはなりました。
読了日:09月23日 著者:仲村 清司
もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら
「おわりに」と「解説」が最高に面白かった。歴史に名を残す文豪の作品は実はあまり読んでいないので、なりきって書いてるのを読んでもピンとこないのが多かった。又吉直樹「若い芽を潰していくのも先輩の仕事」と水道橋博士「こうやって若手を潰していくのも大事な仕事」がしれっと被ってるぞ!とか突っ込みたくなったけど、ふつうに大笑い。米原万里「そして必ず、ペヤング(ルーマニア人)のことを思い出す」には腹を抱えて笑いました。村上龍と坂本龍一のありそうな対談もウケた。つまるところ、とても面白かったです。
読了日:09月25日 著者:神田 桂一,菊池 良
礼儀作法入門 (新潮文庫)
【自分で一万円選書⑩】いわた書店で買ってきた10/12冊目。昭和の時代を生きた方が“礼儀作法”をどのように考えていたのかを教えてくれる良書。今の時代にも通じること多数(すべて…とは言いにくい笑)。それにしても「エチケットの基本は健康にあり」と十数ページでいきなり語られていて唸りました。まったく同意。具合悪い人は無理して飲み会とか来ないほうがいいよね。と言いつつ、調査のときとかどうしても行かなければならなくて、風邪っぴきで行くことあってゴメンナサイ。礼儀作法とは、「他人に迷惑をかけない」こと。簡潔。
読了日:09月29日 著者:山口 瞳