順路の示し方
2017年05月08日(月) 16:22
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 岐阜, サインやUIの話, マチとヒトの観察- ROUTE INFORMATION
- We have visited various tourist spots throughout Japan, and had encountered some trustless route information. There seem to be some trustworthy staffs who care about the route information at Takayama Jinya, the former local government office. When there's a branching point, the information should clearly tell which is the recommended route to move forward first. If we come back to the point on the way back, visitors would feel easy if we could see the information telling it's the way-back route. The staffs have done a good job, though the additional information is still only in Japanese.
飛騨高山は江戸時代、幕府直轄領でした。山々に資源が豊富だったから。明治維新にいたるまでの177年間、この地の政務が執り行われた御役所、お代官様のお住まい、年貢米の保管に使われた御蔵などが“高山陣屋”として保存・公開されています。で、その陣屋の紹介は省略。でも、その陣屋の順路案内を紹介します(笑)。
この手の観光施設へ行くと、順路案内がわかりにくくて「作った人、歩いてみたのかよっ」って思うことが少なくない。たとえば奈良の某所。順路が二手に分かれています(写真[1])。どっちも正解なのだろう。どちらからでもどうぞ、という意味なのだろう。でも、どっちから行っても必ずここへ戻ってくる流れなの? どっち先が効率いいの? 通はどっちから行くの? とかいう感じで慣れない観光客は迷って右往左往ですわ。
そこで高山陣屋。矢印が右にも左にも向かっていて一瞬「え?」となるが、すぐに“順路1”と“順路2”があることに気付きます(写真[2])。見た感じ“順路1”のほうの案内は新しいので、最近付け足されたものに違いありません。この辺りで迷っている観光客の姿を観察した結果なのか、この辺りで質問されることが多かったからなのか、そのあたりの事情はわかりませんが、とにかく改善策が講じられているのです。おかげで迷わず“順路1”へ進めました。
その先にある役宅や台所を見学した後、同じ道を戻ってくるときに目に入る位置には“帰路”の案内がありました(写真[4])。これまた親切。同じところへ戻ってきて間違いないのかどうかちょっと心配になった瞬間に“帰路”と言われたときの安心感。先ほどの分岐を過ぎたところには、もともとは“順路”としていたであろう案内に“帰路”と上書きしているものがありました(写真[5]の上の案内)。“順路1”と“順路2”の分岐を間違えてこちらへ進んでしまった場合に“帰路”を目にすれば、「あれ?帰り道?」と思う。どこかで間違えたのではなかろうか、と気付ける。と思う。後付け情報が日本語オンリーなのは少しもったいないですけどね。
入り口で靴袋を手渡されるのですが、その靴袋を入れている箱の内側に「こんにちは」「ありがとう」「靴(靴抜いでください)」「傘」を各国語でなんて言うかの一覧表が貼ってありました(写真[6])。観光客とのコミュニケーションに備えて準備を怠らず、良くないところは改善して、そんなちょっとした努力を積み重ねる町の人たちがいるからこそ、世界中から訪れる観光客が魅了されるのですね。素敵な人たちが暮らす町。飛騨高山でした。