旦那じゃない人と…温泉二人旅
2017年02月06日(月) 17:57
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 静岡, リサーチャーの知恵袋, 泊まるコトコロ- WHAT I LEARNED FROM A TRIP WITH MY BROTHER
- My younger brother and I went to a hot spring inn, and we were misrecognized as a married couple. Quite natural, and fine, but felt a bit uncomfortable. A pair of middle-aged man and woman look husband and wife, and it is appropriate to see us as such a couple as a default. But, the host should have the other possibilities in the back of his/her head to be professional. Heuristics can be a great help, but there are some cases which don't match with your heuristics. This is what I learned with a short trip with my brother.
先日、清水にいる弟が一人さみしく温泉へ行くというので、優しい姉は一緒に行ってあげることにしたのです。ええ、自分も行きたかっただけです。はい。
お宿からすれば、40過ぎの男女二人連れ。どっからどうみても夫婦。顔はたぶんあまり似ていないので、姉弟と気付くのは難しかったでしょう。到着早々に記入した宿帳には「関係」を書く欄はなく、あえて「姉弟です」と言う必要もないので特に何も言わずにいたら、宿の人々の呼び名は常に「ご主人様」と「奥様」でして、すこし居心地が悪かった(笑)。「夫婦」になりたくてもなれずにいるとか、そんな意味深なカップルという可能性もありますから、「夫婦」を想定して接するのが無難と言えば無難です。しかし夕食のときにガマンの限界に達し、「旦那ではなく弟なんです」と言ってみましたが、聞いていなかったのか、理解できなかったのか、その後も呼び名に変化はありませんでした。「お連れ様」にすればいいのにな…。
お部屋は4名まで泊まれるメゾネットで、上のベッドで弟が、下のベッドで私が寝ることにしよう…と思っていたところ、下のはベッドメイクされていませんで困ったな、と。フロントに電話をして、下のベッドで寝られるようにしてほしいと言ったところ、「そちらのお部屋に2名様でお泊りの場合は、1階のベッドはデイベッドとしてお使いいただくことになっておりまして…」と言われ、”どう使うかはこっちの勝手だろ?”と思いつつ、それをぐっと飲みこんで「でも、上と下で寝たいので…」と言うと、「2階のベッドをお使いいただくのはどうにも難しいということでございますか?」と言われ、”その言い方はどうよ?”と思ったりしたのだった。ハリウッドツインのベッドに並んで寝たって全然かまわないのだけど、横に並んで寝るのなんて小学生のころ以来だから、30年ぶりとかそういう感じ。いやホント、別にいいけど、下にもベッドがあるなら、別々のほうがお互い気兼ねなく寝たり起きたりできてうれしいっていうただそれだけ。結局はベッドメイクしにきてくれたので、お手間を取らせてすみません、という感じですが、やっぱりサービス業の言葉の選び方はとてもセンシティブだな…と思った次第です。
ちなみにマッサージとか整体とか大好きな弟は、日ごろの疲れを癒すべくスパまで利用し、1泊2日の滞在を満喫していたようですが、チェックアウトの際に、宿の人が「スパのご利用ありがとうございました」と言って、私にちょっとしたお礼のお品をくれました。”私じゃないし…”と思いつつ、笑顔で受け取りましたが、ここでも”スパを利用するのは女性”という先入観が全開ですね。ヒューリスティック(経験則)を活用して、可能性の高い方に寄せた対応をデフォルトにするのは悪くないどころか基本として良いと思うのですが、常に他の可能性があるということを意識の片隅に置いて接客すること、大事だと思う。という話。あー、また温泉いきたい(笑)。