2016年5月の読書記録
2016年06月13日(月) 18:12
本&映画の紹介5月は前半の読書ペースが順調すぎたせいで後半完全に油断した(笑)。後半仕事がヘビーだったというのもありますけどね。和田秀樹先生の『脳科学より心理学』はヒトを勉強中の方々には良い参考書となることでしょう。『The Customer Journey』はバズワードに引かれて買うと軽く後悔するでしょう。最近のマーケティング業界事情を知るための参考書と割り切れれば悪くないですけど。そんなところ。
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2583ページ
ナイス数:56ナイス
The Customer Journey 「選ばれるブランド」になる マーケティングの新技法を大解説
各社のマーケティング責任者が集って”JAPAN CMO CLUB”なる組織を作り、ともにカスタマージャーニーの研究をしているらしい。へー。で、各社のカスタマージャーニーコンセプトを図式化した事例がたっぷりで一見とても参考になるような気がするが、あくまでもコンセプトレベルであり、見せ方を変えてはいるけれど実に似たり寄ったりで無難なレベルまでしか開示していないことに気づいてガツカリする感じ。でも、マーケティングは歴史が長くて予算も取りやすいんだろうなー。いかに仲良くやっていくかが鍵だ(謎)。
読了日:5月2日 著者:加藤希尊
Never Let Me Go
ヒトのクローンをつくるということは、こういうことなのか…と。せめて心(原文では”soul”とされてました)を持たずに生まれて来ないと辛いに決まっている。教育を施すべきかどうか、それも確かに議論の分かれるところだろう。カセットテープの曲の歌詞に込められたメッセージが重たい。臓器移植を必要とするような境遇に立ったことがないので無責任だけれど、やっぱりこういう科学の進歩の仕方はコワイ。そこに怖さを感じなくなるのもコワイ。問題作の名に相応しい現代社会への問いかけの書でした。
読了日:5月6日 著者:Kazuo Ishiguro
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
御子柴礼司のモデルは彼ですね。日本中を震撼させたあの事件を嫌が応にも思い出します。モデルの彼がその後どんな人生を送っているのかは知りませんが、御子柴のように贖罪を背負いつつも前向きに生きていてくれるといいですね。やり直しを許せる、受け入れられる社会は素敵だと思う。ところで本書ですが、かなり早い段階で真犯人がわかってしまったのはある意味、残念でした。でも敏腕刑事、渡瀬さんも気づいていてくれたということで、気づくこと前提だったんだな、うん。
読了日:5月7日 著者:中山七里
だからデザイナーは炎上する (中公新書ラクレ)
東京五輪に関しては次から次へと問題出てきて、すでにお腹いっぱい感がありますが、エンブレム問題の発端やら対応の失敗やら閉じた組織の問題やら非常によくまとまっていました。と、それ以上に大事なこととして、デザインとアートの違いだったり、作り手と使い手の距離感だったり、”パクリ”の定義と範囲だったりが記されていることが本書の価値だと思う。ネットで炎上の引き金を引いたり、火に油を注いだりした人や、したい人にこそ読んでもらいたい。まー、読まないでしょうけど笑。
読了日:5月8日 著者:藤本貴之
辛酸なめ子の現代社会学 (幻冬舎文庫)
少し古かった。文庫を買うときは初版発行年だけチェックしてもダメですね。とは言え、世間のブームというやつが、ほんの数年でかくも様変わりするものだということ、中には一過性で終わらず、根深い社会問題として残っていくものもあるということなんかを気づきとして拾っておこう。前向きな読者笑。
読了日:5月11日 著者:辛酸なめ子
脳科学より心理学 (ディスカヴァー携書)
“心理学的生き方”をオススメするお話。メタ認知とメタ認知的活動の大切さ、スキーマの解説とそれから脱却する頭の柔軟性について、動機付けの種類と活用法など、”難しそう…”と思ったかもしれませんが、噛み砕いて分かりやすくまとめてくださっているので勇気を出して手にとって欲しい。子育て中の親御さん、部下とのコミュニケーションに悩む上司さんなど、きっと現状を打開する道が見えます。
読了日:5月12日 著者:和田秀樹
トレイルランナー ヤマケンは笑う。僕が170kmの過酷な山道を“笑顔”で走る理由
病院の待ち時間で通読。楽しそうで羨ましい。彼が山で見る景色、出会う人、待っていてくれる家族や仲間、文字を読んでいるだけなのに、すべてがキラキラして見えてくる。幻覚と闘うほどにキツイ時間も空間も、彼にとっては楽しくて貴重な時間。素直で、勝気で、でも柔軟で、だから周囲の人も自然も味方につけて楽しめる。そのすべてが彼を強くする。「お酒をやめると見えるものが違ってくるらしいよ」と旦那に言ってみたけど、「やめない」と即答だった笑。簡単に影響されないうちの旦那もなかなかのものです。
読了日:5月13日 著者:山本健一
光 (集英社文庫)
いろいろと書ける人ですね。今まで読んだ作品と色が全然ちがう。この物語は終始グレーだった。どんより、ねちねち、じっとり、一瞬たりとも心が落ち着くときがない。もっと違う出会いがあったら、信之は救われたのかもしれない。嫁がダメ過ぎた。いや、結婚したのがそもそもね…。生まれてきてしまった娘が誰より可哀想で、おまけに大きな闇を背負わされて、ちょっと残酷過ぎやしないか…と著者に言いたくなるくらい、誰一人報われない寂しい物語でした。
読了日:5月15日 著者:三浦しをん
IoTまるわかり (日経文庫)
デジタルネイティブの次はソーシャルネイティブ。確かに。そんな彼らが社会に出て、社会を動かすようになっている2030年はIoTによってこんな感じになっているのではないかな予想。現状から容易に予想できている未来なので、三菱総研としては書けるけど書かずにおいていることとかもきっとあって、おそらくはここに記された以上の社会がわたしの老後にはあるのだろうな…。楽しみだけれど、置いてきぼりにされないようにガンバッテしがみついていこう、と思った。
読了日:5月17日 著者:
UI GRAPHICS ―世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン
使ってみたい素敵なアプリがたくさん紹介されてました。帯にあるとおり、“使いやすさと美しさを両立する”魅力的なデザインの数々。いや、もちろん、まだ使ってみていないものばかりなので本当に使いやすいかどうかは未知ですが、でも美しさが“使いやすそうさ”を醸し出していることは間違いない。さて、何から使ってみましょうか?
読了日:5月29日 著者:水野勝仁,深津貴之,渡邊恵太,菅俊一,緒方壽人,iA,鹿野護,森田考陽