2016年4月の読書記録

2016年05月20日(金) 19:54

本&映画の紹介

ル=グウィンの4冊を個別にカウントするのはかなり小ずるいが(笑)、苦しかった4月もなんとか二桁達成ということで。そのル=グウィンの物語、猫好きにはかなりグッと来るものがありそうですが、猫嫌い(わたし)には少々辛かった。ちなみにその本との出会いは『断片的なものの社会学』だったりとかする。こちらは人や社会の観察が仕事の足しになるとお考えの人にはオススメの一冊です。新卒社会人には、三浦しをんさんの小説『神去なあなあ日常』が良いです。きっとガンバロウ!という気持ちになる。

 

読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2309ページ
ナイス数:72ナイス


断片的なものの社会学 断片的なものの社会学
著者の心に残った記憶や想いが、とても美しい“響き”を持って淡々と語られていく。じわじわとしみ込んでくる。目にしながらも気づいていないこと、きっとたくさんあるんだ。目を背けているのかもしれない。無意識のうちに気づかなかったことにしているのかもしれない。搾取と介入の境目は難しい。そうして距離を置くことを選んでしまう。いまの社会はそんな感じになってしまっている。誰もが孤独な社会。キツイけど楽。そんな社会。優秀な社会学者は気づきすぎてキツそうだな…とか思いつつ、気づきの中にある 喜びが羨ましくもありつつ。
読了日:4月3日 著者:岸政彦



中高年がキレる理由 (平凡社新書) 中高年がキレる理由 (平凡社新書)
夕方の満員電車で中高年男性諸君に囲まれながらこんなタイトルの本を読んでしまい、途中でふと「キレた中高年にボコられたら…」と怖くなって読むのを止めた笑。確かに今、中高年という括りに入る年代の人たちが“一億総活躍社会って本気ですか~”とかって思う気持ちは分かる。自分も中高年の括りに入るからか? いつの時代も、いくつになっても、他の人や他の世代と比べて自分の立ち位置を不幸とか不運とかって思うんだろうな…。そこで卑屈にならず前向きに自分の脳みそを使えた人が一歩抜きんでるということか。あとは何も考えないとか…笑
読了日:4月3日 著者:榎本博明



シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界 シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界
現状がほどよくまとまっていて勉強になりました。新参のサービスは、日本のように成熟した社会の場合、規制が厳しかったり、政府の対応が慎重で柔軟性に欠けていたりして一歩踏み出すのに時間がかかるけれど、一度まとまると急に迅速で柔軟になったりするので、これからどう動いていくか目を離せませんねー。そろそろ一回くらいAirbnbを使ってみようか…と思い始めてもう2年くらい。自分こそ、なかなか最初の一歩を踏み出せないのであった。
読了日:4月6日 著者:宮崎康二



神去なあなあ日常 (徳間文庫) 神去なあなあ日常 (徳間文庫)
遠野の山で出会った林業男子たちが素敵だったなーとか思い出しながら、林業の大変さ、林業に従事するからこその山との付き合い方、田舎ならではの恋愛事情や家族や仲間の繋がり、信頼関係、余すところなく盛り込んだ素敵な物語でした。高卒で身売り同然に行かされたのに、頑張ったなー、勇気。君の人柄と頑張りが山の男衆に認められて、わたしも嬉しいよ。
読了日:4月12日 著者:三浦しをん



空飛び猫 (講談社文庫) 空飛び猫 (講談社文庫)
こないだ読んだ『断片的なものの社会学』の中で紹介されていた童話。ル=グウィン好きの旦那が速攻まとめ買いしてて、挿絵の猫にイヤされるどころか軽く怯むくらいなわけだが、しかしそこは天才ル=グウィン(と村上春樹翻訳)が読ませてくれるわけです。猫が鳥の如く空を飛んでいたら…、それはビビる、どう考えても。しかし“人間”という生き物を知り尽くした母猫が子ども達の未来を見据えて飛び立たせる。子離れ親離れできない現代社会の人間へ向けたテーゼだろうか?
読了日:4月18日 著者:アーシュラ・K.ル・グウィン



帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫) 帰ってきた空飛び猫 (講談社文庫)
母猫が相変わらず素晴らしい。まさか、妹猫が現れるとはね。異父妹を快く受け入れられる二人…もとい二匹も素敵だな。それにしても、猫も大変な思いをして生きているのね。でも、空は飛ばないで欲しい。コワイ。
読了日:4月19日 著者:アーシュラ.K・ル=グウィン

 



素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫) 素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち (講談社文庫)
さあ、いよいよアレキサンダーの登場です。羽を持たない猫。いや、それが普通だからw。辛い体験により言葉を失ってしまったジェーンのために、アレキサンダーが“おせっかい”を焼くのだ。親切とおせっかいって紙一重ですよね。でも、おせっかいをまったく受け入れない社会って世知辛いですよね。見劣るからと卑屈にならず、自分にできることをやる。うん、大切な話です。どんなときもポジティブに自分らしく。学びの多い物語です。
読了日:4月20日 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン



空を駆けるジェーン (講談社文庫) 空を駆けるジェーン (講談社文庫)
やっぱり人間はダメだな。母猫が案じていたとおりの展開や。逃げ出すためのおつむと行動力のある子で良かったわ。“にんげん”と“いんげん”の訳が絶妙すぎて、やっぱり村上春樹はスゴイな、とちょっと違うところに感心して終わり。
読了日:4月22日 著者:アーシュラ・K.ル=グウィン

 



ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫) ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
先輩に利用されていたってところが何より辛いな。上司のパワハラも辛いけど、上司もいろいろ悩み抱えているのだろう…と思わないとこれまた辛い。やはり企業勤めはシンドイ。早めに見切りをつけた自分は偉かったぞ、うん。みんなよく頑張ってます。死にたくなる前に誰かに相談しましょう。“ヤマモト”はそうそう現れるものではありませんので。
読了日:4月25日 著者:北川恵海



21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由 21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由
留学中に学ばれたことをしっかりとまとめていてご立派です。自分のメンタリティや思考傾向がおもいっきり“ビジネス”のほうに寄っていることを気づかされました。まー、それが悪いとも思わないし、“デザイン”寄りの人と合わないのもしゃーないな、と。でもたぶん、なんちゃってデザイナーとは合わないだけで、優秀なデザイナーとはきっと合うよ。誰もが自分と同じように考えたり、受けとめたりするわけではない、ってことを認識して、チームを作っていこうとする素地がまずは大事ですね。
読了日:4月27日 著者:佐宗邦威



心配学 「本当の確率」となぜずれる? (光文社新書) 心配学 「本当の確率」となぜずれる? (光文社新書)
おもしろい経歴と趣味のオジサン…(年下ですが…笑)によるなぜ私たちはかくも心配性なのか、を紐解くお話です。知らない状態、分からない状態が心配の原因なのであって、その状態を脱すれば良い、あるいは脱するために考えるべし、ってことですね。オオカミ少年の物語が伝えるべき本当の教訓は「嘘をついてはいけません」ではなくて「ずっと大丈夫だからって次も大丈夫と思い込んではいけない」ってことだって。ほんと明快。
読了日:4月29日 著者:島崎敢



似ている英語 似ている英語
ほぼ復習という範囲の内容でしたが、文化差が言葉にこうして現れるというのを改めて感じられる良書です。選ばれている単語は中学英語レベルなので、英語にとっつきにくさを感じてしまっている中高生なんかにもおすすめ。英語を受験科目の一つとしてではなく、私たちが日常で使う”言葉”の親戚の一つとして、英語を見つめてみると違う接し方が見えてくるかも。
読了日:4月30日 著者:おかべたかし