来年のUXPAはシアトル

2015年06月28日(日) 11:17

UXいろいろ, アメリカ縦横無尽, イベントの話, サンディエゴ, リサーチャーの知恵袋

UXPA 2016 IN SEATTLE: The UXPA conference seemed to be having a lot of UX researchers like myself involved, and quite a few have a usability background. For those who are more focusing on UX DESIGN, it could be less-satisfactory, but for those who cannot help but get stuck with a minor usability issue like the understandability of a door knob ;-), it could be really comfortable to be among peers when you participate the conference. For Japanese UX research learners, the language could be a barrier, but it is a unique opportunity for YOU to learn how other UX researchers do and survive in the field. Consider joining the one next year? It would be a nice excuse to go to an amazingly nice city, Seattle.

UXPAという学会の特徴は、参加者に“リサーチャー”が多いことと話の根底に“ユーザビリティ”がある場合が多いことではないかと思う。というか、思った、久しぶりに参加して。

UXPA (User eXperience Professionals’ Association) はもともとUPA (Usability Professionals’ Association) だったんですよねー。なので当然と言えば当然なんですけども。

UXという言葉や概念が当たり前になってから入ってきた人たちは「こいつらなんでインターフェイスの話ばっかしてんの?」と思うのかもしれないけれど、ユーザビリティ屋としてキャリアをスタートした私のような人は、巷がUXUXウルサイ中でホームボタンがどうのとか、ハンバーガーメニューアイコンがどうしたとか、そういう地道な研究をして発表してくれている人たちがいるとちょっとホッとする。そういう細かいところもUXの決め手になり得る大切な一部分だということをここでなら声高に言っても変な目で見られないという安心感がある。そんな場所。

リサーチャーが多いのは、結局ユーザビリティからの流れを汲む学会だからという背景にまた戻るのかもしれないけれど、一般的にUXUX言う人たちはUXの“デザイン”を語りたがるし、リサーチの設計よりもプロトタイピングのほうが難しくて重要だと思っているんだろうし(個人的所見です…)、クロージングキーノートで会場を湧かせてくれた Milissa Tarquini によれば…

“デザインとプロダクトとエンジニアリングは仲良しなのよ…

そうそう、リサーチは仲間に入れてもらえないんだ(笑)。というか、リサーチだけやってる人とか特殊なのかもしれない。リサーチの先にあるデザインとか開発とかを見据えずにリサーチだけやるってことがそもそもあり得ないと考える人、大勢いるんだろうなぁ…(遠い目)。でも私はリサーチァーとして10年以上のキャリアなのだ。あり得るのである(自画自賛)。

同じくMilissaの話で面白かったのは、記憶頼りのエイヤー翻訳をすると…

 

[1] 対外的にUXを語るときの絵 [2] UXerの心の中の絵 [3] クロージングまで大勢の参加者

“他人にUXとはなんぞやという話をするときには、Dan Saffer の絵(写真[1])とかを引用して皆かっこよく語っているでしょ? でも本当のところは Dave Gray が言うようにUXがすべてだと思ってるはずよ、あなた達…きっとこんな感じで…

という話の流れで引用されたのがコチラ(写真[2])。すごい。UXが世界のすべてどころか世界をも覆っている(笑)。

“でもね、わたし達(UXer)は粘り強さと忍耐力を兼ね備えた兵で、日々、あらゆる問題、たとえばドアノブの分かりにくさとか…(ここでドッとウケる)に目を光らせている凄腕集団なの。

そうそう、日々細かいところが気になって仕方がないんだ。だから挫けず頑張ろー。わたし達の力を必要としているところがまだまだたくさんあるはずよ!というのが Millisa からのメッセージでした。なんかものすごい元気をもらった気がします。7~8月はまたもや鬼スケジュールだけど頑張っちゃう。学会のクロージングキーノートって、早めに帰ってしまう人も多くてスカスカになることが結構あるのだけど、今回は最後まで残っている人が多かったです(写真[3])。彼女の力か?

というわけで何を言いたいかと言うと、リサーチはモノコトが完成して世に出る以前に、新たな(あるいは次の)展開を見据えて実施される極めて黒子的アクティビティなので、その手法はともかくケーススタディなんかを楽勝で発表できるケースが少ない、と思う。しかし、UXPAには結構な数のケーススタディが出てくるので本当に有難いです。日本でこの手の情報共有はちょっと考えにくいような気がします。

だから、UXのあれやこれやに携わっていて(または携わりたくて)デザインだ、プロトタイピングだっていう話になる手前のユーザーリサーチの部分を(大きな声では言えないけれど)学び損ねているような気がしていて、そんなリサーチの現場仕事ってどんな感じなの?というところざっくり勉強したいとか、手探りで実施しているけどコレでいいの?と悩んじゃってるとか、自信満々だけど他社がどうやっているのか知りたいとか、そんなリサーチ回りを中心に学びたいという方には、やはりUXPAがオススメです。日本人の参加者は数えるほどしかいないので(写真[4][5])、ヒッソリ学ぶには絶好の場所です(笑)。ただし、英語というバリアを乗り越えられる人でないとダメです。その点、あしからず。

 

[4] アメリカの参加者が大半です [5] 日本からはわずかにしか… [6] 2016年はシアトル!

でもって次の開催地は…シアトルだそうでーす。2016年はシアトル(写真[6])。6月上旬だったかな。わたしは行きませんが皆さんよかったらどうぞ。