訪問調査のときの留意点その5

2014年12月18日(木) 16:48

UXいろいろ, 日本発信四方山話, 東京, モノ+コトの話, リサーチャーの知恵袋

TIPS FOR HOME VISIT IN JAPAN (5): As you may know, punctuality is an important cultural aspect of Japanese. As a moderator, I would never be allowed to be late for a home visit research, so I always try to arrive at the nearest station for the appointment 1 hour early. Sounds too early? If I have 1 extra hour, I wouldn’t feel pressed even if the train is delayed. When I arrive at the destination as scheduled, I just pop in a cafe to prepare, review, or relax. Whenever we arrive earlier than appointment, foreign researchers or clients are willing to visit and start the session early. I don’t like it, however, because I know very many Japanese participants just hesitate to say “No, it’s too early, I’m not yet prepared, so come back at the appointed time,” and they just welcome us reluctantly. It’s not a good idea to make the ice thicker to brake, and I recommend my team to wait outside for a bit and to ring a bell just a few minutes prior to the appointed time.

訪問調査に行くときは、とうぜん時間にたっぷり余裕を持って向かいます。遅れそうになって、走って、いざインタビューを始めようというときに汗だく…というのは個人的には絶対にあり得ないので、自分は必ず1時間前に最寄り駅まで行くようにしています。1時間余裕を見ておけば、電車が遅延した場合にも、別の経路を取ったり、タクシーに飛び乗ったり、落ち着いて対策を考えられます。ぎりぎりの移動時間しか見ていないと、急いで移動しながら、訪問先に「遅れそうです、ゴメンなさい」と電話を入れる必要も生じて、焦りに焦りが重なり、出る汗も倍増します(笑)。

順調にいくと早く着きすぎてしまいますが、事前に駅近辺のカフェを調べておいて、そこでお茶しながらインタビューの予習をしたり、前のセッションのデータを入力したり、時間の使い道はいくらでもあります。何よりも心の余裕満タンで訪問できるかどうかが訪問調査の鍵なのです。早起きくらい何のその。

他のチームメンバーやクライアントとの待ち合わせは訪問予定時間の30分前くらいに設定します。「もっとギリギリにして欲しい」と言われることもありますし、クライアントがそう言うなら仕方ないので了解しますが、その代わり、遅れたら有無を言わさずさようなら。私が誰よりも敬意を払わなければならないのは、調査に協力してくださる訪問先の方々なので、場合によってはクライアントをも切り捨てます(笑)。…と強気なことを書いていますが、実際には、モデレーターである自分だけは必ず約束の時間にピンポンできるように、訪問先の近所まで移動し、場所を確認してから本当にギリギリまでクライアントを待つといった対応になるのが普通ですかね。

問題なく早く到着したときに、約束の時間よりも早めにピンポンするかどうかで揉めることも多いです。欧米のリサーチャーは「もう行っちゃおうぜ」とほぼ必ず言う。私は約束している時間の2~3分前にピンポンしたい。早くても5分前。それより早く着いてしまって、早く伺いたいときには、まず電話。「予定よりも早く着いてしまったのですが、伺ってよろしいですか?」と確認してからピンポンです。

だって日本人は“断りにくい体質”の人が多いから(笑)。あと10分のうちにアレをやってしまおう、コレを片付けておこう、と思ってバタバタしているところに電話がかかってくるというだけで不快なのに、もう来るだと?!、いやちょっと待って~と思いながらも「ど、どうぞ…」と招き入れてくれる方が多いのではないかと思います。そういうスタートになると、片付けられなかったアレやコレやが心に引っかかって、なかなかインタビューに集中できません。そこをうまくアイスブレイクして本題に入っていくのがプロの役割なので、さほど大きな問題にならずにインタビューは進むのですが、たかだか5分や10分の前倒しをするためにブレイクするアイスを厚くしてどうすんねん?と私なんかは思うわけです。というわけで、約束の時間ほぼキッカリに優雅ににこやかに訪問できるよう、身支度と心構えをして臨みましょう。