船の避難訓練

2009年06月05日(金) 02:17

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飛行機に乗ると、離陸前に必ずセーフティー・デモンストレーションを見せられますよね?  キャビン・アテンダントが、救命胴衣の着用方法や緊急時の避難経路などを紹介してくれるアレです。飛行機にすっかり乗り慣れてしまった私(をはじめ多くの乗客)は、ほとんど見ていませんが…。“何度も見たから分かる”というのが建前ですが、本音は、運悪く緊急事態に遭遇したらもう為す術はなかろうという諦めの気持ちが大きいです、私は。

 

[1] 避難訓練に向かう人々 [2] 神妙な面持ちで訓練中 [3] 船内の避難経路マーク

クルーズでも、出航前に“Life Boat Drill(避難訓練)”がありました。法律で定められているので全員参加するようにとのお達しがあり、私たちも行こうかどうしようかと迷っていたら、みんなが続々と避難していくので、避難しないといけないような気になって(集団心理ってやつ)、救命胴衣を手に避難経路を確認しながら救命ボートのある4階へ向かいました(写真[1])。係員が壁際に乗客を並べて、救命胴衣を着るように指示します(写真[2])。汗をだくだく流しながら、みんな神妙に指示に従っています。この後、列は3重にも4重にもなって、暑さも比例して増していきました。それでも、みんなきちんと訓練を受けています。飛行機ではほとんど無視されるセーフティー・デモンストレーションですが、船ではしっかり注目を集めていました。

やっぱり、船であれば助かる確率が幾分高いと心のどこかで思ってしまうのでしょうか? 先に書いた集団心理も大きく機能しています。3,200人の乗客が全員助からなくて、もし助かる人が出るのであれば、自分はそちら側に入りたい。人間ですから、そう思うのは当然です。避難訓練を受けておいた方が、受けなかった人よりも高い確率で助かるのではないか?と無意識に考えてしまうのでしょうかね…。 

ちなみに写真[3]は、船内のあちこちで見かけるサインで、避難経路を示しています。最初に見たときはぜんぜん意味が分からなかった。待ち合わせ場所?みたいな。家族で待ち合わせてから左の方向へ避難するように、ということを伝えようとしているのかな? とすると、いまや世界共通サインとなりつつある白い非常口マーク(室内通路誘導標識)ではなく、この(分かりにくい)オリジナル避難経路サインを採用しているのはどうしてでしょう? 船の非常時には家族がまとまって避難することが推奨されるのでしょうか?