2025年7月の読書記録
2025年08月05日(火) 13:16
本&映画の紹介6月がちょい読み過ぎだったので笑、7月は15冊にとどめるつもりで読みました。計画どおりの15冊。
Audibleが1冊だけというのは、暑くて走れてないからなのです。しかも、湊かなえはあまり面白くなかった。池波正太郎をはじめて読みましたが、『堀部安兵衛』はすごく面白かった。歴史小説は、歴史だけじゃなくていろいろ考えさせてくれますなー。来年以降も、月に1冊は歴史モノにするってな縛りを設けようかとぼんやり思ってます。ちなみに『しをかくうま』も、芥川賞作家によるものだけあって深イイ。ぜんぜん理解できてないような気はするものの。
ものづくり界隈にいる人(特に男性)には『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』を読んでぜひ反省してもらいたい。
地球環境が気になる人は『マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険』がおすすめ。でも、質量ともに難易度の高い本なので、読書慣れしてない人には辛いかもしれません。
読んだ本の数:15
読んだページ数:4560
ナイス数:133
堀部安兵衛(上)月一ノルマ歴史小説7月分。上巻の半ばで大石内蔵助がちょい登場してやっと赤穂浪士の話で間違いなかったと納得する笑。うっかり坊主の安兵衛を爽やかに助けた中津川祐見がみるみる悪人と化していくのと裏腹に、安兵衛は菅野六郎左衛門、林光寺の和尚、北島雪山に細井広沢など出会いに恵まれ、諭され、導かれて立派な剣士に成長しつつある。お秀に大失恋した安兵衛と女剣士伊佐子との恋が初々しい。伊佐子の変わりようがスゴイし。そして、赤穂浪士の話にはまだまだ繋がりそうにない上巻の終わり。いつ堀部になるの?
読了日:07月01日 著者:池波 正太郎
あいては人か 話が通じないときワニかもしれませんシステム1をさらに「ワニ脳」と「サル脳」に分解して捉えるって感じかな…。感情的な「サル」の状態を通り越して「ワニ」になっちゃってる相手は「凍結」「逃走」「闘争」のいずれかの本能的反応を見せる。とわかっていれば対応方法が見えてくるよねと。最近「闘争」一辺倒で食ってかかってくる人を相手にしていたので納得感が高め。自分がそういう事態に陥らないようにするためのコツとしては「3回深呼吸!」がいちばん簡単に取り入れられそう。ただし「得るものは絶大だ。唯一難しいのは、やるのを思い出すことだ」ってさ。そこも納得笑。
読了日:07月03日 著者:レーナ・スコーグホルム
エピタフ 幻の島、ユルリの光跡札幌の本屋で遭遇。なんて美しい装丁なんだー! 表紙を飾っている馬の凛々しさも半端ない。即買いした。根室沖合いに浮かぶ無人島ユルリ。エトピリカ(海鳥)の保護を目的に人間の入島を禁止する島で自由に生きる、そして子孫を残す道を絶たれて死を待つだけの馬たち。「人間ぐらい悪いやつはいない」という別海町の牧場主大河原さんの言葉が染みる。生き物を飼うということはその生と死に責任を持つということなんだよな…。ユルリ島に現れる花園、それを実現する高層湿原、島の周囲の豊かな漁場と海獣との共存。考えさせられる読書でした。
読了日:07月05日 著者:岡田 敦
堀部安兵衛(下)高田馬場の決闘を息をするのを忘れるくらいの緊迫感で一気読みした後、菅野が安兵衛へ宛てた遺書を読んで涙腺崩壊。「こころたのしき酒」をわたしも呑もうと思った(違ぅ笑)。浅野内匠頭の思いつきでたびたび実施される消防演習がスゴイ。消防訓練はそうあるべきだとわたしは子ども心に思っていたぞー。そんなことより忠臣蔵。あの長い物語(読んだことないけど)がコンパクトにまとまっていて感動。ただの仇討ちではなく、政道に対する物言いが狙いだったのかー。堀部弥兵衛が安兵衛に向けたつぶやきで二度目の涙腺崩壊。安兵衛は幸せ者だった。
読了日:07月07日 著者:池波 正太郎
営業の魔法優秀な営業マンを目指す人だけでなく、コミュニケーション能力の高い仕事マンを目指す人には学びの多い良書だと思う。紙谷さんが弟子に教える論語の言葉「先義後利」の精神を、誰もが心に持って仕事に取り組めるようになれば社会は豊かに、生きやすいものになっていくのだろうなぁ。「商品を売るのではなく顧客の問題解決のお手伝いをする」のが営業の仕事。そして、営業が売りやすい、顧客の問題解決につながるものづくりをすることが根本にないといけないですよね。
読了日:07月08日 著者:中村 信仁
しをかくうま思考や知能を持っているのは人類だけで生物の最上位に人間がいるのだ!という驕りに対して疑義を呈する物語だった……のか? 「登録馬名の文字数制限が九文字から十文字に変更」というどうでも良い事象を皮切りに、馬と人間の関わり合いと人類が追い求めてきたテクノロジーの進化の歴史を遡り、そして未来へ飛ぶ。ニューブレインなしでは生きていけない世界を、わたし達は本当に求めているのか?と。同じ過ちを繰り返してはいないか?と。思考停止に陥ってはいないか?と。著者が埋め込んだメッセージをぜんぶ拾うには再読必須。2回でも怪しい笑。
読了日:07月11日 著者:九段 理江
女性政治家が増えたら何が変わるのか日本もやっと変わりつつある。ずっと先を行くスウェーデンやフランスもかつては同様の状態だったわけで、女性枠やペア立候補という仕組みの導入で男性有利のシステムを抜本的に変えるための足掛かりとしたと。「女性だから」という理由で昇進したり、当選したりするのはな……とぼんやり思っていたけれど、そこを経ないと男性優位の社会構造を変えるのは至難の業だということだ。女性やマイノリティに焦点を当てることは男性から特権を奪うのではなく男性を含むすべての人が生きやすい社会の構築に繋がるはず。男性はそこをはき違えないで。
読了日:07月15日 著者:秋山 訓子
境遇Audibleにて。「ハッピータウン」が「ハッピーターン」と聞こえていて、「人の記憶に残りやすそうなエコバッグだな…、目撃者の注意を逸らすための作戦か?」などと深読みをした結果、真犯人に途中で気づいてしまうという変な展開笑。本当の親を知らないという境遇に生きる人たちの気持ちを想像するのがちょっと難しかった。施設で育つ子ども達にとっても生きやすい世の中になると良いですね。他者を妬んだり、貶めたりしたところで自分の境遇や現状が変わるわけではなくほんのちょっとの自己満足を求めて犯罪に手を染めるのは愚かだ。
読了日:07月16日 著者:湊 かなえ
サクッとわかる ビジネス教養 認知バイアスステレオタイプと偏見とバイアスの違いとか、とてもわかりやすく説明されてました。全般的に要点を抑えた解説と構成で読みやすいし、入ってきやすい。とは言え、こういう入門書で「わかったつもり」になりがちな自己高揚バイアス高めで、メタ認知が低めの人には悪書ともなり得るので気をつけたいですね。自分としては、第3章「自己認識のバイアス」の理解がまだ十分じゃないということがわかってスッキリしたかな。
読了日:07月18日 著者:
マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険500ページ超の大作。森の恩恵を受けて暮らす家系に生まれ、木々と対話し、森を調べ倒す人生を選んだ女性の物語。女性研究者としてぶつかる理不尽な壁にも果敢に挑み続け、弟の死、離婚、癌などの不幸に見舞われながらも決して諦めない不屈の魂に敬服する。木々が地中でコミュニケーションを取っている。炭素の受け渡しをしている。土壌水分を地表に近いところへ運び、根の浅い植物に分け与えることもある。自分の子孫だけではなく森全体の健全さを保とうと懸命に生きている。人間はもっと、自然が持つ知性に耳を傾けなければならない。
読了日:07月19日 著者:スザンヌ・シマード
アイヌもやもや: 見えない化されている「わたしたち」と、そこにふれてはいけない気がしてしまう「わたしたち」の。土地を奪われ、言葉を奪われ、アイヌであることを表立って言いにくい状況に追いやられてきた彼らの歴史が「和民族」にも理解しやすいように綴られていました。北海道で生まれ育ちながら、アイヌについて無知でい続けたこと自体が、差別に加担してきたということになるのだと反省しきり。差別に関する知識という「差別ワクチン」を自分に注入し、いつでもアクティブ バイスタンダー(積極的に被害を止める第三者)になれるように心と頭の準備をしておきたいです。アイヌに限らず、いろんな人がいるから社会は成り立つし、楽しいんだぞと。
読了日:07月20日 著者:北原モコットゥナシ
note副業の教科書noteをはじめるにあたっての勉強読書。いつか収益化できると良いよね……くらいの軽い感覚で読みはじめたら、軽々と読み終わる質量でした。ご自身の成功体験がわかりやすく綴られているので、本気で収益化をねらう人にも参考になるのだと思う。まぁ、それほどトントン拍子でいくわけでもないだろうけど。タイトルの工夫とハッシュタグの適度な活用。サムネイル画像にそれほど凝る必要はないよ。このあたりを参考にして書き始めて、いつか有料記事を書こう!と思い立ったときに再読かな。
読了日:07月22日 著者:安斎響市
死ぬまで生きる日記「自分がミックスだからではなく、弱いから差別を受けるのだと思った」と自分に言い聞かせ、強くなろう!とがんばり、強がって生きてきた著者。『アイヌもやもや』からなにげに絶妙な流れ。「地球」は世間や常識のメタファーで、自分が逃げ込む「火星」は世間や常識に囚われない、自分の中にある精神世界。「火星に帰りたい」は「一人でも、独りじゃないと思える自分になりたい」という願望だったのかも……というメタ認知まで導いてくれた、「布の巻かれた松葉杖のような感触」で寄り添ってくれたカウンセラーとの対話の記録。
読了日:07月25日 著者:土門蘭
お金の減らし方流行に流されて、映え狙いで行うことにどれほどの意味があるのか?を自分でしっかり考えろ!と、適当に生きてる人たちをドヤし続ける本です笑。母親がデパートで買ってくれた五千円のニッパ。いまだに切れ味の衰えないそのニッパの教えがいちばん印象的かな。「自分の判断を疑う目を持つことにしている」というメタ認知の話も重要。日々の買い物ですら、必要なのか?欲しいのか?なぜそう考えるのだ?と自問自答してからの意思決定。そういう習慣を奥様と一緒につくりあげてきたということだろう。広大な敷地で機関車を走らせる著者を見てみたい。
読了日:07月29日 著者:森 博嗣
存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く男女の身体はそもそもつくりが違うことが勘案されていないうえ、交通、医療、テクノロジー、学問から政治まで、生活に関わるほぼあらゆる分野の意思決定が「標準的な人間=男性」という前提でなされている! という驚愕の事実を突きつけてくる。ということで、終始イラっとしながらの読書でした笑。多様性とかインクルーシブとか、あちこちで考えられるようになってきて良い方向に進んでるなーと思っていたけれど、人類の約半数を占める女性のニーズを拾ったり、女性のデータを取ったりするところもまだ未達成だという現実を直視しないとだわ。
読了日:07月30日 著者:キャロライン・クリアド=ペレス
