2020年2月の読書記録

2020年03月06日(金) 18:08

本&映画の紹介

2月は東京往復に加えて、東京でもひとりで過ごす時間が長かった(人を誘って飲み歩く雰囲気ではなかったからさ……)おかげで読書がサクサク進みました。しかし、スウェーデンに戻ってからスウェーデン語と英語の本を急いで読了しなければならなくて大変だった笑。

おすすめは『笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考 (1)』ですね。藤やん実はスゴイ人で、かなり良いこと連発してました。2巻ももちろん買ってきたよ。『誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 』を久しぶりに読んで野島先生やなほみ先生を思い出して軽くうるっときたりなんかもしました。改訂版の読書会がコロナ騒ぎで中止になったのはとても残念だった。小説は木内一裕祭りを絶賛開催中でして、ヤクザから私立探偵に転職した矢能のハードボイルドな活躍が光る『アウト & アウト』が3冊の中ではいちばんかな。


読んだ本の数:14
読んだページ数:3575
ナイス数:63

笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考 (1)笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考 (1)
旦那の東京出張土産。レジ横の平積みで見かけて迷わず買ってしまったらしい。初見の印象は「すんごいくだらなさそう」だったのですが、思いの外にけっこう良いことを言ってる。エンターテインメントには主観性と客観性がバランス良く必要だとかいう話は目からウロコが落ちたぞ。水曜どうでしょうは全部見てるからDVDなんて買う必要ない!と思っていたけれど、編集し直しているとは知らなかった。ワカサギ釣りの会を見て、差分を当てるクイズ大会やりたい(それこそくだらない笑)。2月の東京出張で2巻をゲットするのこれマスト。
読了日:02月02日 著者:藤村忠寿


ユーミンの罪 (講談社現代新書)ユーミンの罪
『人生の諸問題 五十路越え』でユーミンが「苗場をあんなにしちゃった女」と表現されていたのが忘れられず、他にどんな「罪」を犯してきたのかを確認したくなった笑。良家の子女だったのですねユーミン。たしかに「荒井」より「松任谷」のほうがかっこいいよね。都心から八王子まで毎日送ってもらうってたしかに愛あればこそ。とりあえず『中央フリーウェイ』を聞くたびに情景じゃなくて笑いが浮かぶようになってしまった。ユーミンが40年前から時代を赤裸々に描写しつづけてきたことがわかりました。最近の歌も分析してほしい。
読了日:02月05日 著者:酒井 順子


誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論
読むのは3回目だけど初登録。改訂版の読書会へ行く前に、初版を読んで復習です。あらためて読みかえしてみると、ノーマン先生も野島先生も「アフォーダンス」についてはかなり慎重に書いていたことがわかる。それでもたしかにわかりにくいけど。あと話がかなりクドい。それは、内容をわかっていて読んでいるから感じることかな? 出てくる事例が古くてちょっと面白い感ありつつ、1990年の段階でIoTに通じる未来予測が語られているところがさすがの先見の明でした。
読了日:02月09日 著者:ドナルド・A. ノーマン


アウト & アウト (講談社文庫)アウト & アウト
ヤクザ引退して、栞の親代わりになって、探偵稼業をはじめた矢能が強くて優しくてあり得ない感じでした。クリントンを被っておいて本当に良かったね>数馬。せっかくがんばって道場を任せてもらえるほどになったのに、恩返しの方法を間違えてしまったね。墓場での栞とのやり取りがあたたかくて、その優しさにきっちり応えようとする矢能もかなり良い男で感動した。優しい性根を持った男たち(ただし全員犯罪者)がみんなで笑えるラストにこうもキレイに収まろうとは思いもよらなかった。痛快。
読了日:02月10日 著者:木内 一裕


スウェーデンを知るための60章 エリア・スタディーズスウェーデンを知るための60章
2009年初版発行。もっと古いかと思った……。総論としてはとても参考になる良書なのですが、編著者こだわりのカナ表記がやはりすこし無理なような…(実際後半ですこし破綻してるし)。でも、異国を知るためにその地の言語をまず学ぶべしというスタンスには同意。と言いつつ、スウェーデン文学の中で日本語でも読めるものを紹介してくれているのはうれしい。そんなのスウェーデン語で読めるようになる日はたぶん来ないから笑。
読了日:02月13日 著者:村井 誠人


バードドッグ (講談社文庫)バードドッグ
東京へ向かう機内で一気読み。栞の「お父さん」になった矢能が「ひとりぼっちになりたくない」と涙する「娘」と徐々にガッツリ心を通わせていく様子がすごくうれしい1本の筋。その脇で(こっちが本筋だけど笑)ヤクザ界隈の人たちからのラブコールに結局右往左往させられて、しかしここぞとばかりに大金稼いで、すっきり諸々を解決して見せた探偵矢能の凄腕っぷりが本当に気持ち良い物語に仕上がっていました。とりあえず、会う人みんなにイジられるほどカッコイイ矢能の髪形が気になる。そんな美容師との恋物語が次か?どうだ?
読了日:02月15日 著者:木内 一裕


エロチック街道 (新潮文庫)エロチック街道
『危険な読書』からの選抜2冊目。『中隊長』冒頭が段落の切れ目なくひたすら文字の羅列になっていて死ぬほど読みにくい……と思い、いきなり挫けそうになったが「いつも自分が馬へさかさにまたがろうとする」という中隊長の様子が丁寧に描写されるのを読んでまさかの吹き出し笑。あるか?そんなことあるか?おまけに馬上でほにゃらら…ってするか?マジで?ということであっさり取り込まれました。『寝る方法』や『歩くとき』なんかは、暗黙知化している人間の行動を思考発話するとはかく言うことか!と感心しかない。総じてたくさん笑いました。
読了日:02月17日 著者:筒井 康隆


歩行熱―ヒトはひたすら歩いて進化した歩行熱―ヒトはひたすら歩いて進化した
ステキすぎる装丁が気になっていた本。文喫にて借り読み。ステキ装丁はとりあえず読みにくかった笑。森で生きるために赤と緑を区別できるようになる必要があったのかぁ。なるほど。色彩の区別が進むのはそのさらにずっと先。立ち上がっただけではなく、立ち上がり歩くようになったことで進化に「刺激と相乗効果」が生まれたとな。分かりやすいぞ。そして、ヒトの進化は30〜20万年前には終わっているってことになるのか…。成長してないって言われてるげだけどそれはちがう話。ヒトの進化史たしかに30分でざっくり分かりました。
読了日:02月21日 著者:松田 行正


Another Room もうひとつの部屋 (牛若丸叢書)Another Room もうひとつの部屋
文喫にての借り読み2冊目。本当に何気なく手に取ったら、またしても松田行正さんデザインであった。好きらしい笑。糞尿を窓から外にぶちまけていたのはスウェーデンだけではなかったことがわかった(そこ?)。19世紀に流行ったド派手トイレの歴史が終わり、白を基調とする現代に通じるデザインが生まれたことをとてもうれしく思う。トイレと読書のつながりが中世にも始まっていたとは驚き。わたしはトイレで読書しませんけどね。しませんよ。本当ですよ。
読了日:02月21日 著者:海野弘


京都のおねだん (講談社現代新書)京都のおねだん
今こそ静かに京都を楽しむチャンス!と思ったが急に行けるわけもなく、とりあえずコレを読んで妄想にふける笑。もみじの色づきを助けるべくお風呂の残り湯は必ず冷ましてから流すんですってよ京都の皆さん。鮓と鮨と寿司の違いも勉強になりました。舞妓さんや芸妓さんとお座敷遊びをするという風流を味わういろいろな意味での余力を生きているうちに持ち合わせられるかどうかはわからないけど、人脈をたどれればそれほど素っ頓狂なお値段になるわけではないことがわかった。問題は人脈がないことだけど笑。あー、京都に行きたい。
読了日:02月23日 著者:大野 裕之


ぼんごのおにぎり おいしさのヒミツぼんごのおにぎり おいしさのヒミツ
宿泊したホテルの並びで大行列をつくるおにぎり屋さん、ぼんご。「ハラペコ過ぎて並んでる場合じゃない…」と思って素通りしたのだけど、ホテルの蔵書コーナーでこの本を見つけてちょいと拝読。たまごかけごはんをおにぎりで再現すべくあみ出された「卵黄」はたしかに食べてみたい。紹介されている具たちは、手巻き寿司の具にもバッチリなりそうなので、次回の手巻きパーティーでいくつか試してみようと思う。筋子のおにぎりも食べたいけどなぁー、しかし30人近い行列の末尾に並ぶだけの気合いはない。断念。
読了日:02月24日 著者:右近由美子


神様の贈り物 (講談社文庫)神様の贈り物
木内一裕祭り開催中。「エピソード記憶には扁桃体が関わっていて、そのときの感情が記憶固定を左右する」という説明を借用すること決定(なんのこっちゃ)。それにしても、ヨモギダが神様という展開は納得いかない。心を持たない少年を殺人マシンに育てあげ、違法な仕事で得た法外なお金をその両親にこっそり仕送りしていたという美談がなおさら鼻につく。心を取り戻し、愛とはなにかをすこしずつ体感しながら、愛する人のためにやっぱり殺人をくり返すチャンスの未来に幸せな日々があるとは思えない。しかし柾木は死んで良し笑。
読了日:02月25日 著者:木内 一裕


Goe-nissen, en äkta skånsk sagaGoe-nissen, en äkta skånsk saga
クリスマスマーケットで著者さん本人から購入したスウェーデン語の絵本。Skåne地方に伝わるトムテについて自分でリサーチを重ねて書き上げたそうです。農家の守り神として大切にされてきたトムテ、身長10センチくらいの可愛らしい小人をイメージしていましたが、身長50センチくらいの「小さいオジサン」がより正確な伝承らしい。最近ではめっきり見かけなくなったトムテ(いや、実在しないんだけどさ笑)は、猫や蛇に化けて、こっそり家を守ってくれているかもしれないから、猫を見かけたらやさしくするよーに!だって。いやだ。
読了日:02月27日 著者:Eleonore Nilsson Odén


100 Books that Changed the World100 Books that Changed the World
2月の英語本として駆け足での読了。これが実に良い本でした。「世界を変えた本」としてここに並ぶもののほとんどを読んでいないという事実を突きつけられて軽く凹みましたが、『ガリヴァー旅行記』や『ハックルベリー・フィンの冒険』などを読むべきだということを再認識したので近々かならず。『フランケンシュタイン』の著者が女性だったとか、それが女性解放運動の旗手の娘だったとか、へぇー度の高いお話もたくさん。19世紀半ばには毎年くらいの勢いで後世に残る名著が生み出されていたんですね。ちなみに日本からは『源氏物語』オンリー。
読了日:02月29日 著者:Scott Christianson, Colin Salter