2016年12月の読書記録

2017年01月06日(金) 14:02

本&映画の紹介

いわた書店の“一万円選書”に当選して幸せな12月を迎えました。そのおかげもあって小説多めになってますし、最近大流行中のなんちゃらUXとか、UXなんちゃらとかいう感じの本が一冊もない…笑。昨年のはじめに立てた毎月二桁読書は、11月以外の11回達成しましたー。11月の未達成が悔やまれますな。ということで、目標継続。2017年もたくさん読むぞー。

 

読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3131ページ
ナイス数:72ナイス


きみのためのバラ (新潮文庫)
きみのためのバラ (新潮文庫)
【一万円選書①】ひとつひとつの物語が、とても深く重く、ときに美しく、ときには冷たく、しっとりと、いやじっとりと訴えかけてくる。『きみのためのバラ』に酸っぱい葡萄が出てきて驚き、『レシタションのはじまり』を読んで『弥勒』や『ヤマノミ』を思い出した。いわた書店の岩田さんから届いた本の一冊目です。オススメされた理由がわかりすぎて震えました。他の本に手を出すのが怖くて楽しみ。
読了日:12月3日 著者:池澤夏樹


悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験
悪癖の科学–その隠れた効用をめぐる実験
科学者の皆さんが、本気でやってる実験の数々を面白おかしく紹介してくれる科学のススメ的な一冊です。“悪癖”として括るのはどうかな?と思うものもありましたが、著者がきちんとした学者さんらしく、怪しいところは怪しいと鵜呑みにすべきではないことも書いてくれてるから信用できる。とりあえず一番面白かったのは、各章の扉に添えられているイラスト。「今夜、ひさびさに一杯どうだい?」「きのうも行きましたよ。」とか、笑えたわー。こういうの読むと研究活動に戻りたい…と一瞬おもうのだけど、すぐに思い直せる自分を褒めてあげたい。
読了日:12月7日 著者:リチャード・スティーヴンズ


ハーバードでいちばん人気の国・日本 (PHP新書)
ハーバードでいちばん人気の国・日本 (PHP新書)
ハーバードのMBAで使われているケーススタディのお題にはこんなのがあるよ、という話。かなりわかりやすく書いてくれているので庶民にもわかる(笑)。ハーバードのエリートさん達は、日本や日本人や日本の歴史について、こんなことを学び、それについて考え、議論して、そのうえで日本を、日本人を見るってことですね。そんな彼らと同じテーブルにつくことはないからいいんだけど、自国についての勉強、おろそかにしちゃいかんですな、とりあえず。
読了日:12月9日 著者:佐藤智恵


川の深さは (講談社文庫)
川の深さは (講談社文庫)
【一万円選書②】タイトルが深すぎる。その深さを絶妙なタイミングでリマインドしてくる。サリン事件の頃は札幌にいて、東京での事件はどこか違う世界で起きているニュースにしか感じていなかったけれど、あの事件をモチーフに裏にあれやこれや蠢くコワイ物や人や組織や感情が、実は本当にあったんだと思わせる力を持った臨場感あふれる物語でした。最後まで保に振り回される桃山がすごくステキ。決して抱きしめることのできない二人の子どもを遠目に見たときの音にできない歓喜の声を想像して泣きました。
読了日:12月11日 著者:福井晴敏


日本とドイツ ふたつの「戦後」 (集英社新書)
日本とドイツ ふたつの「戦後」 (集英社新書)
なんとなく、どこがどうということではないのだが、常に上から目線で書かれていてちょっとイヤでした。その国の持つ文化や歴史や宗教や地政学的な事情や周辺諸国との物理的心理的な距離感や、別物として受け入れなければならない点は多々あって、それを著者も当然理解して、視野に入れて書かれてはいるのだけど、なんか、本当になんとなく、読んでいて不快だった。いや、ドイツはいい国だし、ドイツ人も大好きです。一緒に仕事をするときの安心感半端ない。今後もお互い、助け合い、見習い合っていきましょう。
読了日:12月15日 著者:熊谷徹


増補改訂版 最新 世界情勢地図
増補改訂版 最新 世界情勢地図
勉強になりました。世界の見方は一つではないということ、頭では分かっていても、ならばどんな見方ができるのか、と問われれば即座に出てくる言葉はない。難しいことは分かったうえであえて書くなら、図解がとっても分かりにくい。色づかいもあまり上手くない。翻訳ではなく原著の問題です…。そしていよいよ政治や外交を知らないアメリカ大統領が誕生する日が近づいてきまして、世界情勢が大きく動く可能性が高いよな…と考えれば考えるほどドキドキするので、庶民の自分は足元をよく見ながら一歩一歩進んでいこう、とか思ったりするわけです。
読了日:12月18日 著者:パスカル・ボニファス,ユベール・ヴェドリーヌ


拉致と決断 (新潮文庫)
拉致と決断 (新潮文庫)
読まずとも想像を絶する苦労だっただろうことはわかる。読めば改めて、日本で普通に暮らしている私たちの想像の範疇を遥かに超える日々であったことを思い知る。奥様との再会の瞬間や経緯がまったく触れられていないのが少し不自然。語れない?語りたくない? 妻を持ち、子を持つことで、自分だけが逃げるという選択肢が奪われたとも言える。北が描いたシナリオなのかもしれない。だからこそ、子供たちを人質として取られつつの帰国の後、日本に残る決心をしたことは途轍もなく大きい。他の被害者の皆さんの一日も早い帰国を私も祈ります。
読了日:12月22日 著者:蓮池薫


新世界より(中) (講談社文庫)
新世界より(中) (講談社文庫)
子供たちが町へ戻れてしまった…。しかも全員。さらに力も取り戻すとな…。安心したのも束の間、その後、一人…、二人…といろいろあるわけですが、成熟途中の若者たちが交わり、子を持つことを避けるために同性愛が推奨されたりするわけですか。ふーむ。全編、主人公の手記という形になっていて、ところどころに“後から考えれば…”的な語りが入ってくるのが絶妙でした。自分の想像に引っ張られたり、主人公の語りに揺り戻されたりしながら、下巻へ突入します。
読了日:12月24日 著者:貴志祐介


なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか ~韓国人による日韓比較論~
なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか ~韓国人による日韓比較論~
蓮池さんの『拉致と決断』と並行して、日本大好き韓国人ブロガーさんの日韓比較を読んでみました。やはり…、北の惨状を読んだ後だと…、軽い(笑)。日本嫌いについては南北共通していること間違いありませんが、世界の情報に手が届き、違う物の見方があることを知り得る南と完全に遮断されている北とでは日本嫌いの態度にも違いが現れてきますね、はっきりと。日本を訪れて、日本人や日本文化に接して、そのうえでこうして語ってくれる方がいるのはうれしいことです。ちょっと日本贔屓が過ぎるかもですけど…。
読了日:12月26日 著者:シンシアリー


新世界より(下) (講談社文庫)
新世界より(下) (講談社文庫)
上巻のもたもたした雰囲気と比べると下巻のスピード感は半端ないです。結局は、持つ者と持たざる者の醜い争いに終始するわけで、バケネズミの正体がぼんやりと分かってきたところでゾクッとする。富子様の年齢にもゾクッとしたけども(笑)。呪力で不死を手に入れられるとか、コワイ…。一貫して図書の存在が興味深かったです。歴史を後世に伝えるには、この時代(約1,000年後の設定)になってもまだ本なのかいっと。SF的にはそこが少々物足りない感じですかね。私は紙本が好きなので、1,000年と言わず残ってほしいとは思ってますが。
読了日:12月28日 著者:貴志祐介