武雄市図書館
2015年10月29日(木) 16:15
UXいろいろ, 日本発信四方山話, 佐賀, モノ+コトの話TAKEO CITY LIBRARY: On the way to Huis Ten Bosch, we drove out of our way to visit a public library in Takeo city, Saga prefecture. It is known as the 1st TSUTAYA library, which was refurbished by a collaboration between Takeo city and TSUTAYA (a major software rental company), united challenge by public and private sectors, in other words. Thanks to the exposure of some issues, such collaboration in other cities turned out to be open for discussion, and most projects seem to have been canceled. The renewed library, however, obviously attracts attention, and looked succeeding in bringing more people to the area, both citizens, who had not thought of spending their time in a library, and tourists, who were not interested in visiting the region. Miss, or lack of communication could be the most possible causes of the failure, I think, and such collaboration should happen again and more by developing from experience.
ハウステンボスへ向かう前に、実は武雄市図書館へ寄ったのだった(写真[1])。ハロウィンを間近に控えて、入り口や館内にはパンプキンがいっぱい(写真[2])。訪れた市民や観光客の目を楽しませていました。そして入り口すぐのところには“図書館の自由に関する宣言”書がババーンと掲示(写真[3])されていてなんとなく違和感。どこの図書館にも置いてあるもの? 昨今の騒ぎのおかげで私の目に入りやすかったというだけの可能性もあります。いずれにしましても、公共の図書館であることを高らかに宣言しておられました。
館内に足を踏み入れてまず感じたのは、市立図書館とは思えない人の多さ。良くも悪くも騒がれているおかげでその注目度は佐賀随一と言って違いないでしょう(って、他を知らないけども…)。我々のようにわざわざ東京から“ちょっと拝見”しに行く輩もいるくらいですから…。出入り口に近い部分は普通にTSUTAYA書店とスターバックスでした。もはや見慣れた感じ(笑)。
図書館の本に用事があって訪れている人は、自然と奥や二階へ足を運ぶことになりそうです。そこにはイヤフォンで音楽を聞きながら勉強している学生さんがいたり、蔵書をパラ見してどれを借りようかと物色するご老人がいたり、お子さんを連れてなんとなくぶらぶらしているお母さんがいたり、まー、普通の図書館で見られる光景が、普通よりも少し高い人口密度で繰り広げられている様子でした。全体的に静かだけどざわついている。ちょっとの物音で睨まれるような緊張感はなくて、本に囲まれてまったり過ごしたい緩い人には適度な空気感と言えなくもないです。図書館のピリッと張り詰めるような空気を求める人にとっては居心地悪いでしょうけど。
個人情報の取り扱いに関する問題や蔵書の選定基準がどうのという問題には真摯な対応が求められて当たり前ですが、これまで“図書館に行く”という行為が生活の中になかった人の足を向かわせるきっかけを作れていることは事実のようです。そこは純粋に評価されて良いのではないかと思いました。ただ一方で、行きにくくなったと感じたり、実際に行かなくなったり、足を運んだのに思うように滞在できず図書館を後にしたりしている市民が存在する可能性も無視できません。とりあえずは色々な立場の“利用者”の意見を広く聞いてみるとか、武雄市図書館のリニューアルが市(や県)にもたらしている波及効果を広く深く共有するとか、色々言われている問題が起こらないようにするためにできたかもしれない話し合いや情報共有を洗い出してみるとか、同様の取り組みをただ潰すための情報開示ではなくて、どうすればより上手く次の図書館を設えられるか、前向きな議論が展開されることを期待したい。
既存のモノコトに新しい視点や気持ちを込めて、大きな“変化”を生もうとすることは容易なことではありません。だからこそやり甲斐があるだろうし、楽しいだろうし、それはチャレンジする側とそれを受け取る側の双方に言えることではないでしょうか? 昨今の大騒ぎ、煎じ詰めればコミュニケーションの問題でしたってことではないかな? 出し惜しみした情報とか希望とか、あったんじゃないだろうか?双方に。あるいは希望や期待を正直に話し合える場を持たなかったとか、そういう雰囲気を作れなかったとか。せっかく生まれたTSUTAYA図書館が、武雄と海老名の二人兄弟で終わるのは、個人的には残念です。とりあえず、兄弟増やす前に二人をしっかり育てること、を目標にしてみてはどうか、とも思います。
★—–追記(11月9日)
ふるさと納税をしようとあちこちの自治体の取り組みや実績を調べていて、ふと武雄市の様子を覗いてみました。で、ビツクリ。2014年はわずか27件しかなかったのに、2015年にはその数が7,114件(しかも4月~9月の半年間)にもなっています。納税額なんて桁が二つも増えて、1億を超えています。すべてが図書館効果とは言えないと思いますが、少なからずの影響があったことは否めない事実でしょう。この税収を町のため、図書館のため、図書館を利用する市民のためにぜひ役立てて欲しいですね。