旅で気づく力と想像力を鍛える

2014年12月31日(水) 06:39

UXいろいろ, ついにアフリカ到達, ヒトについて, モノ+コトの話, モロッコ, リサーチャーの知恵袋

TRAVELING AROUND IS TO TRAIN MYSELF: We happened to find some squares drawn on the walls in the Medina of Fez for a few times, and guessed they were the sign of parking for bikes at first, but some parked bikes didn’t look fitting with the squares. Some other squares had hoops recessed, which made us guess the squares meant a specified area to tether a donkey. Used in the old days, but abandoned now. It may make sense, if we didn’t see the squares out of the Medina, but we did. Gave up, and asked a local person, who explained us that the drawn squares were for an election! The pictures of a scale or horse, which we didn’t think they meant something, are logos of political parties. The hoops recessed had been there since long time even before the squares were drawn, there’s no relationship with the squares. What we learned is the hardness to make a hypothesis without cultural or contextual knowledge, but it’s such a big fun of traveling around to learn things beyond our imagination.

 

[1] 壁に何やら黒枠があります [2] 枠の右下に金属の輪っか [3] メディナの外でも黒枠発見

フェズのメディナを歩き回っていたときに見かけた壁の黒枠(写真[1])。最初に気づいた場所に、ちょうど二輪車が何台か駐車中だったこともあり、自転車やバイクの駐輪場をあらわすものではないかと予想してみました。でも、そうだとしたらバイクが壁に垂直に停まっているはずで、壁に平行に停められているのはいかにも不自然です。それに番号も意味を為さない。駐車場や駐輪場に番号が振られているのが自然と思うのは日本から持ち込んだ先入観でしかない。

別のところで見つけた黒枠です(写真[2])。枠の右下に何かを留めるのに使うっぽい金属の輪っかが刺さっています。これを見て、自転車やバイクではなく“ロバ”を繋ぐための場所ではないだろうか?と新たな予想が立ちました。メディナでは、ロバの力を借りて荷物の運搬をすることが当たり前だからです。しかしそれにしては、輪っかがあまりにも地面に近いところについていて、ロバを繋ぐには使い勝手が悪そうなのと、ここにロバをキレイに並べて繋ぐことに何のメリットも考えられないため、やはり別の意味がありそうだということになりました。

そして同じような壁画?!をメディナの外で見つけてしまいました(写真[3])。メディナの内か外かというのは関係なく使われるものだということが判明です。

自力で謎を解明するのは難しそうだったので宿の人に写真を見せて用途を聞いてみました。答えはまったくの想定外。選挙の告示に使う枠だそうです(笑)。メディナは確か世界遺産なんですけども、その壁を普通に選挙の告示に使うってーことですか。面白すぎます。枠の中に天秤や馬、鳥などの絵が描かれているところがあります(写真[1][3])。これらは各政党のロゴマークだそうです。ただのイタズラ書きだと思っていたので、意味があるとは驚きなり。意味がありそうだと思った輪っかは枠と関係していなくて、意味がないだろうと踏んだ絵には意味があった。意味や関連のないところに理屈を見出そうとしたり、然るべき意味を持っているところを読み取り損ねたり、難しいです。

 

[4] 天秤党支部を発見?! [5] マラケシュでは白枠でした笑 [6] 政党はどうも多数ある様子

ワルザザードで旅ランしたときに天秤マークを掲げた立派な門と奥にそびえる建物を発見(写真[4])。これはつまり、日本で言うなら“自民党ワルザザード支部”みたいな場所なのでしょうか(笑)。マラケシュのメディナでも壁に枠を見つけました(写真[5][6])。ランプ党やアップル党などもあるようですね。バッテンついてる枠もあります。立候補を取り下げたのでしょうか?

言わずと知れた観光地でガイドブックに載っている場所をただひたすらに追体験するのではなく、できればこうして町を歩き、普通は気にも留めないことに意識を向けて、気づく力や想像力を養いたい。生活や文化という文脈をまったく知らない状態で仮説を立てることは本当に難しいし、モロッコのように言葉の通じにくい場所だと仮説を確認したり、正解を突き止めたりすることはさらに難しくなります。でも、異文化に飛び込むことで、日頃いかに先入観を持って物事を見ているか、気づきの種をいかに見過ごしているかに気づくことになる。だから旅を止められません。ということで、旅は私の仕事の一環なのです! 来年も国内外を問わず旅します宣言なり。