多言語の国の貨幣デザイン

2010年08月03日(火) 18:26

UXいろいろ, アジアのそこここ, インド, サインやUIの話, モノ+コトの話

先日、旦那が出張でインドへ行ってきました。そしてお決まりのように帰国後お腹を壊してダウン。可哀想に…。色々とお土産があったのですが、その中で一番わたしの目を引いたのはインドの貨幣でした。お土産じゃなくて、使い切れなかったから持ち帰る羽目になったというだけですけどね。

 

[1] インドの紙幣 [2] インドの1ルピーコイン [3] インドの2ルピーコイン

インドの主な通過単位はルピー。補助単位としてパイサがあります。100パイサ=1ルピーです。紙幣(写真[1])の表には、非暴力・不服従を提唱し、植民地解放運動や人権運動に平和主義的手法があり得ることを力強く世界に説いたインド独立の父、マハトマ・カンジーさんのお顔が印刷されています。まぁ、これは納得。それ以上に興味深いのは、両面あわせてなんと17もの言語で額面が記載されているということです。表面には英語とヒンディー語、裏面には何語かさっぱり分からない、わたしの目には意味不明の記号としか映らない15の言語でこの紙幣が10ルピーであるということが記されています。さすが多言語の国。

Wikipediaによりますと、数千人の話者しかいない多数の小言語に加え、100万人以上の話者を擁する大言語がインドには24言語もあるのだそうです。その中でも話者数の多い17言語が紙幣に印字されているというわけです。大変ですね。その17言語のどれも分からない人は数字に頼ることになりますが、コインにはもう一つ面白い仕掛けがありました。コインはなにぶん小さいので、17言語を印字するようなスゴイことはできません。ということで英語とヒンディー語のみの記述が基本なのですが、ここで1ルピーコイン(写真[2])と2ルピーコイン(写真[3])をご覧ください。手の指(親指)を1本立てているのが1ルピー、指を2本(人差し指と中指を立てたピースサインになっています)立てているのが2ルピーです。これなら言葉が分からなくても大丈夫。多言語の国だからこその発想と言えそうです。おまけに、通貨に慣れない旅行者にもとても親切なデザインですよね。感心。